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「こいうた百首」 つる 詠

まえがき

こんにちは。
noter の つる です。

この歌集は、
恋について詠いました百首です。
自分の恋、恋愛を出し尽くすつもりで
数日掛けて詠んだものです。

想像、経験、妄想、
わたしという人間全部でもって
ときには考え、
ときには勢いで詠みました。

とても拙い出来は
お恥ずかしいですが、
今自分にできる精一杯です。

ここまでお読みいただけただけでも
感謝申し上げたい気持ちです。

お立ち寄り下さり、
ありがとうございます。

日々、感謝。
本分である短歌は
ある意味言ってしまうと
おまけみたいなものです。

私の恋を読まれましたところで、
そう面白くもないと思われますゆえ。

わたし自身は、
一歌人として恋をテーマに
百首詠めたことに満足を
覚えております。

これ以上の挨拶は無用かもしれません。
かさねまして、
私の note へお越し下さります方へ
感謝申し上げつつ。

つる かく
令和五年六月二十一日木曜日


こいうた百首

         

               つる



1.手をつなぐ恋の薬はよく効いて二人で落ちる副作用です

2.じゃあまたね小雨降る中きみが去り町はこんなにも灰色だった

3.肉まんを二人で分けて食べている仲よく恋の黙秘権なり

4.恋心きみへ配達受け取って欲しいサインはOKがいい


5.春がためより黒髪のうつくしく陽光よりもまぶしき理論


6.駅前で夜用の動詞携えてあの人を待つ息はずませて


7.満たされぬ思いはあれど見過ごして恋は焦らずとも言えなくも


8.春の朝深呼吸して君の朝イメージしつつふうと吐き出す

9.風の音街の音など聞きゆけばふと葉桜にも会えて君かな

10.わがせなをきみ戯れて叩くただそれだけで恋う腫れし心な


11.片や恋片や何思う聞きたきはきみのそのストライプ・シャツのわけ


12.受験とは関わりの無く唐突に一次の恋が試されている

13.恋に手をついて願えばの人よわたしについて来いと言えれば


14.真夜中のブランコに乗るきみを見て少女かと見るまた恋のする


15.なんとなくキスの長さは比例して恋の長さと思われたいな

16.留学をして来て何も得ぬ人のように恋とは問わず語りの

17.待たせたらすごく怒って僕のせい好きなの責を負って好きなの

18.あらかじめルールを決めて付き合うも悪くないかもレモンしぼりぬ

19.わたしたちどうでもよくて世の中はどうでもよくない恋愛中です

20.気づくこと傷つくことと築くこと恋愛の気でつねに居たいな

21.要するに疲れてるから恋心箱入り娘のように居るのよ

22.自転車の後ろに乗れば後ろから抱きしめていることよ恋過ぐ

23.脈は無くラインだけがつながっている既読はつづく線路はつづくよ

24.恋愛観バリアフリーにしてくれたらきみへのスロープのぼり易いよ


25.失恋の収集車あれば可燃でも不燃でも持ち去って下され


26.夕焼けの橋われ先へと駆け出してふり向くきみの笑み後光さす


27.心配を真面目にされて改めまして恋をするなり恋愛処方


28.部屋はゴミ箱のようなり恋文を書き損じてはクシャリと捨てた

29.あやふやな意味になりゆく恋すれば世界が心地よくゆらめいて

30.ふたりして体操すれば距離感も濃かった恋も整ってゆく

31.「アノ辺」で恋をしているような事付き合ってから二年目に


32.気がつけば横顔ばかり見ているの知らないきみを見ていたい恋



33.出会いから別れに至る恋愛にしおりを挟むことは叶わず

34.この恋はスルーできないヨーヨーで遊ぶ心を上下させてる

35.雰囲気をまとえば仕草も無いけれど束ねた髪の先は潤い

36.残念 今は恋していないけどカロリー摂取無駄にしてます

37.雨音が二人の部屋を囲んでる等圧線とうあつせんの変わりゆくなか

38.珈琲は恋のわき役だったのに気づけばカップばかり見ている

39.ままごとのように差し出すハンバーグ彼女の料理冷めないうちに

40.再会の改めて見る彼女との関係少し大人になった

41.単純に好きと思えば単純なあなたと見える海辺に立ちて

42.恋仲になれたら僕のイヤリング外すよ君が輝くならば

43.今ここでチークタイムをはじめよう聞こえるかいさざ波を聞きつつ

44.流れ去る二人の仲のなにかしら貝殻と海の音に託して

45.新月の暗さのなかで向き合ってきみを見つめる二人はきっと

46.僕だって君だってだって泡沫うたかたよ ゆめゆめ恋の終わり見ますな


47.コーヒーを独りで飲むため別れたの正直言うとねそういうことなの


48.相手がね居るから恋をしているの当然だけど当然泣くの


49.きみが着るボーダーシャツのきみらしさ越境できたらいいなと思う


50.略歴に恋愛卒とあってふと窓枠見やる夏が来ている


51.ドレミからソラシドを聞くピアノから子供の恋は始まるのかも


52.夏の夢夏の恋など大まかに過ぎてゆくかな麦茶飲み干す


53.恋の鳥飛び立ちてゆけ空は青く色に染まれば羽ばたき大きい


54.青春の恋にぶつかれ疲れたら二人で木々の下に休もう

55.言い足らぬけれど物足りないんじゃない一杯詰まった恋愛のびん

56.飛んで来て小鳥がキスをし合うかな少しずつでも近づいて行こ

57.詠む歌をよくよく選んで詠むように恋の言葉も慎重につ愛

58.元よりは恋にハードルなんて無いわたしであればあなたであれば

59.7割はキスするために歯を磨こうあと3割は愛に暮らして

60.今日もまた無事の手紙を読むようにきみの「おはよう」聞きたい朝よ

61.パッと見て好きになったがパッとしない自分になって日々に隠れる

62.忘れてや覚えててなんて言えなくて過去の恋愛かたどられてゆく


63.まだ愛のカタチを知らず付き合った恋で終わった二十代夏


64.いきなりさ本気の恋がやって来た必死で生きた半年だった

65.おめかしをした恋だった今はもう朽ちた木のよう肌を見せてる

66.羽ばたけど飛べなかったよ今はもうステッキ突いて歩くように恋


67.情報は重力があり恋には無いそんなわたしはあなたが好きだ


68.好きと言うべきなのにあなたの前だと言葉の優先順位下がってく


69.この香りきみの香りとちがうけどそして遠くの思い出と知る


70.失恋は試練だったよ立ち直るまでに何度も花を見ていた

71.二十代だった本気の初めての恋は小さな器になった

72.塩分が多かったんだ追憶の恋をかさねて水を求めた


73.年を経るたびに「だった」が増えてゆく落ち着いてゆく海の見方も


74.青春は優しくなくて心身を削って『私』を彫刻してゆく


75.もし仮に世界が嘘だったとしてもこの恋を告ぐわたしの本当

76.長生きと幸せが欲しいそして優しさで賢くきみの手を取れるよう

77.つねに向くわたし自身にアナーキー恋は前進一歩先進

78.人間がご褒美になることなんてあるのかなきみに告白したい

79.好きになりいやと思われる場合もあるだろう恋そのものは愛するのかな

80.配達のピザを頼んで30分恋に落ちるのに充分な時間

81.きみを待つ30分は充分の恋を確認するための時間

82.世の中が特別なんだぼくたちは数えて二人ピザをほおばる


83.ぼくが月を形容する前にきみと手をつないで見よう満ちてゆく月


84.「こんにちは。」ってやっと言えたよぼそぼそと何か言う笑顔聞こえなかった

85.まるできみの時間に生きているようだ伸びたり縮んだりアナザー・スカイ(第二の故郷)


86.インスタント・コーヒーのようなぼくの人生きみは軽く飲む目を細めつつ


87.望むこと違えどふたり付き合っておよそでいいの人生アベニュー


88.叶うならきみを10センチ持ち上げる視線送りたいアイ・コンタクト


89.「好き」と言う 言葉をきみが理解するまでに往復して来るアルタイル


90.ふりだしに戻るみたいだすごろくのまた恋をしたときの感じは


91.なにもできなかったよついに言えたのは別れようだなんて今に思えば

92.傷ついて傷ついてまた傷ついて侵蝕されゆく恋愛してゆく

93.分からない分かりにくいねこんな歌になるのね恋愛っていうのはそもそも

94.一日のデートの終わり来てみればテイクアウトの品は選べなかった

95.途中から川下りして降りるような恋をしたそして海で誓った

96.失恋の痛手を負って海辺にて水平線を見つつ癒した

97.上流へのぼるかな山手にはぼくを待ってる人が居るかも

98.求愛をどこで覚えた鳥の声 まだ見ぬ人に備えて泣いておこう

99.なぜだかは知らないけれどウケたらしく機嫌直した恋愛続行


100.非常ドア目指した先の花畑そこに笑顔の君を見つけた



(以上、百首です)


あとがき

まずは、お読み下さります方へ
感謝申し上げます。
大変ありがとうございます。

あまりに拙い詠みぶりに恐縮するばかりです。

心地、気分の良くなる歌を詠みたいと
思いつつも、働きが足りなかったと
反省しております。

今現在、私は歌詠みに試行錯誤の日々を
送っております。
そういう状況の中で詠ませていただきました
恋の歌百首。

目だって採り上げる所も
ありませんけれども、
わたしの腕などたかが知れていると自嘲しつつ。

こうして、不完全な作品群を
自身目にして、
やはりまだまだ気張らねばと思います。

エネルギーをまた貯め込んで。
51歳、まだまだがんばります。

まだ書き足りないことも
ありそうですが、大抵言い訳にしか
なりそうにないですので、この辺で。

かさねまして、読者の方へ
ありがとうございました。
みなさまのこれからの幸せを祈らせて
いただきます。

つる かく

令和五年六月二十二日木曜日深夜

お着物を買うための、 資金とさせていただきます。