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釣った魚を二日間楽しむハレとケの料理



それぞれの好きな魚


先週末のこと、夫と友達二人が釣りに行ってきました。

夫が持ち帰ってきたのは珍しいSnake Fish(雷魚)1匹でした。
しかもとても大きい個体!

この時点でまだ生きていました。

実は、これは夫自身が釣ったものではなく、夫の親友が釣り上げたものらしいんです。

この日、夫自身が釣ったのは大きめのティラピア3匹と小魚数匹。
夫の親友は、この雷魚の捌き方や美味しい調理の仕方を知らない(できない)ので、夫のティラピアと交換してもらったらしいのです。
親友の家では親友自身しか魚を捌いたり調理をしないので、一番簡単な”揚げ魚”しかしないのです。
もう一人の友人は、彼の子供たちが小魚を揚げたものが大好物なので、小魚のみが欲しいというので、夫と夫の親友が釣った小魚をあげたそうです。

夫はというと、この雷魚を貰えてラッキー!と感じています。確かに、揚げるという調理法にはあまり向かない魚ですが、タイの高級魚の中の3つに入るくらい人気の美味しい魚なんです。

つまり、この日は3人とも釣れた魚の交換をして幸せに帰宅したそうです。

雷魚の味

自宅に戻った時点でまだ生きていた雷魚を
台所で夫が捌き、3枚におろし、
身の部分、
骨、頭、尻尾の部分、
とに分けます。(内臓以外は全て調理します)

大きな雷魚の身の部分はなかなか厚く、大きかったので
せっかくなのでそのままソテーすることしました。

とっても綺麗な色!

それをニンニクとマクエンペッパーと塩で焼きます。

付け合わせには、椎茸のステーキ、大根とツナのサラダ、にんじんの酢漬け、ライム

雷魚の身は、フワッとして柔らかで脂がよくのっている印象。
味も淡白なので、食べる時に各自で醤油とライムをかけていただくととても美味しかったです。
私の好みでは、どちらかというとティラピアの味の方が好きかもしれないです。もし次回雷魚が来たら、トマトとハーブのソースで食べた方がもっと美味しい気がしました。
ただ、この写真を夫の親友に送ったところ、
おいしそう!食べたい!と思ったらしく、次回釣ったら自分で持ち帰って食べてみるそうです(笑)

アラと骨はラーメンに

さて、雷魚の頭、アラ、骨類は、一度ジップロックに入れて冷凍しておきます。そして、今回は海老サラダを作った時に海老の頭と殻で出汁をとったので、その出汁と一緒に雷魚のアラ・骨でも出汁をとることしました。

最初はさっと茹でて、その湯は捨て、
その次からじっくりと煮込みます。

魚の出汁の取り方は独学で学んだ方法ですが、結構いけると自分で思っています。
大切なのは、一番最初の湯で汁は捨てて、次から煮込んでいる時に出てくるアクをしっかりとることだと思っています。それで魚の臭み・汚れがとれ、味がよく感じられる気がします。

海老と雷魚の出汁です。

ここで骨やアラは全て取り出し、スープを濾して密封できる器に保存します。アラ・骨についていた身もちゃんと取り分けて、こちらは朝にいただくお粥に添えて食べます。

さて、夫の家に続く我が家の伝統の料理の一つが自家製ラーメンなんです。
何か祝い事、集まりごとがある時に作ります。

日本の”ラーメン”とは少し違い、トッピングや味付けを自分達それぞれの好みで”器の中で”仕上げていくスタイルです。

まず、出汁スープは時間をかけて前日までに大鍋に作ります。伝統的には鶏ガラを自分達でスープにするのですが、ある時から私が魚の骨やアラを使ったのがとても美味しく、海鮮ラーメンも作れるようになりました。
具材、トッピングとなる野菜も好みで揃えますが、一番大切なのが、

  • 揚げニンニク

  • ラー油

  • ローストピーナッツ

を必ず自分で作ることです。
私は何度か外で購入したものを使ったことがあるのですが、自分で作ったものとはおいしさが全く違うと実感しました。

今回は、密封できる器に入れた海老と雷魚の出汁に、少しだけ塩を入れて軽く味付けをしただけの出汁スープを使いました。海老と魚の香りがとても良いスープです。

用意した付け合わせはこんな感じ
白菜は茹でたものと生のままと両方用意しました。

器に麺と出汁スープを入れ、あとは具材とトッピングをテーブルで好きなだけ、好きなものを入れていきます。調味料を使った味付けで仕上げます。使用する調味料は、黒糖と魚醤、ラー油、ライムの絞り汁です。

好きなトッピングをし、好きな仕上げの味付けを各自でして
よく混ぜて食べます。

私は食べている側から野菜を追い足しできるので、このスタイルが大好きです。少量を完璧自分好みの味にできるので、本当に楽しいし美味しいんですよね。

手作りのラー油

中でも手作りラー油は簡単で本当に美味いので最高。
唐辛子の香ばしい香りというのは、ほんの少しだけ垂らすと
食欲をそそるいい香りとなってパァ〜っと広がります。

命をいただく

魚釣りをし、釣った魚を捌き、調理し、いただく。

この一連の作業をするようになってから、食=命をいただくありがたみを日々感じられるようになりました。

スーパーマーケットで魚の切り身を買うのとは全く違った印象です。

スウェーデンにいた時には、大学の帰りに近くの魚市場に立ち寄り、サーモンを1匹購入して、自宅で捌き、保存・調理していました。
それでも、市場でのサーモンはすでに漁師さんかお店の方がしめていたので、また感覚が違います。

夫の釣りに同行し始めた頃は、魚をしめる瞬間、
どうしてもかわいそうで目を瞑ってしまったり、そっぽを向いてしまうことがありました。”鳴く”魚もいるので、その時の声でたまらない気持ちになったのです。

でも、食べるということはどうしたって他の命をいただくということ。
(野菜も含めて)

そいういうことなんです。

ただ単に「かわいそう」と思うのではなく、
ちゃんとそれを見とどけて、自分の行為を理解し、その時の足りる分だけをいただくことに感謝します。そうすると、自然と自分も「生かされている」という感覚になります。

山岳民族のハレの日に呼ばれると、今でも庭で生きた鶏を捌いているところもあります。魚よりもその工程がより大変だし、鶏の体は温かく、グロテスクなので、私は慣れません。この先慣れることがあるのか疑問ですが、

でも、そんな体験をしているので

魚や鶏などは、ちょっとしたハレの日に食べることが多く
ケの日は成長サイクルが早い野菜や保存加工食品を食べることが多いです。

魚釣りはどちらかというと、ちょっと特別なイベントです。
毎日働いている”普段”から離れて、命をいただきに行く日。

その命は、余すところなく、身も骨も、数日かけて美味しくいただきます。
それが人間ができるクリエイティビティではないかとも思うのです。

いつからかは忘れましたが、
私は毎日、夜は台所でお線香を焚くようになりました。
夕食後に必ず調理場を綺麗にし、生ごみを含めた部屋中のゴミは全て外のゴミ捨て場に捨てます。
そして調理場でお線香をひとつ焚きます。
(※日本の仏壇に添えるものではなく、日本・インドのお香でいろいろな香りのものを楽しみながら使っています)

最初は、寝ている間にゴキブリや蟻(や他の生き物)がくるのが嫌でなんとなく焚いていたのですが、今では殺生をおこなう場所でその日の終わりに感謝する気持ちを込めた習慣となっています。




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