仙狐さんとかいう凄いアニメ

僕はアニメが好きだ。といってもアニメを本格的に見るようになったのは大学生になってから。それまではドラえもんとかクレヨンしんちゃんとかそういう、所謂子供向けアニメしか見たことがなくて、深夜アニメなんてものがあるって知ったのも高校生くらいのときだ。ちなみに初めて見たのは禁書目録だったかな。3期はちょっとついていけなかったので見なかったけど。

で、季節が変わるごとに新しいアニメが放送されるわけで、ネットで「2019 春アニメ」などと検索して気になったものを見るのが常である。今期は鬼滅の刃とかフェアリーゴーンとかキャロル&チューズデイとかを見てる。そして、「世話やきキツネの仙狐さん」。

これを見ようと思ったのは、諏訪部順一さんが出ていると知ったので。Fate/stay nightのアーチャーかっこいいよね。あとはアポの黒セイバーとか将国のアルタイルのアビリガ。
まあとにかく内容とかどんなもんなのか全く分かってなかったので、とりあえず見てみるか、くらいの気持ちで見始めたのである。
あらすじは公式サイトとか見てもらえれば分かるけど、ブラック会社に勤めてる主人公(この人の声を諏訪部氏があてている)が家に帰るとそこには見知らぬ幼女(幼女狐?)が……という話。これだけ聞くとあーよくある空から女の子が降ってきた系か、と思われるかもしれないがそうではない。原作を読んでないので今後の展開が分からないが、たぶんこの主人公と幼女(仙狐という名前で、齢800の神使いの狐、というのが正体)は恋愛関係には発展しない。というかこの仙狐さん、バブみが深いというか、オギャリティーが充満しているというか、とにかくすべてを包み込む偉大なる母、というキャラなのである。おいしいご飯をつくり、主人公が会社に行っている間にお布団を干し、部屋を掃除し、耳かきもしてあげ、添い寝もしてあげる(ママ……)。なんだこれ。僕も仙狐さんに世話されたい……オギャア……。これ以上行くと限界なので舌を噛みちぎって踏みとどまろう。

とにかく、このアニメ、社会に疲れた男どもの願望をこれでもかと言わんばかりに凝縮しているのだ。さながら背油マシマシ全部乗せの二郎系のように。暗い過去を持った主人公が、様々な人と出会い、運命を背負って悪党と戦い、おれたち、戦場で出会わなかったら友達になれたかもな、なんて言って刃を交えるなんていうような王道ファンタジーのような。
おれ、ストーリーがあんまりなくて可愛い女キャラが出てくるだけのようなアニメは見ないんだよね、とブラウザバックをしようとしているそこのあなた、そなたにこそ是非見てほしい。恐らくこのアニメ、最初から見ようとして見た人よりも、たまたま目に入って見た人の方が夢中になるようなそんなアニメだと思う。仕事やバイトで疲れて帰ってきて、飯でも食いながら何か見るかと電源を入れたテレビに、画面いっぱいに広がる母性。気が付けば呆然とEDテーマを見ている自分に驚くに違いない。見る気はなかったのに、なぜか見入ってしまう。それは、これでもかと詰め込まれた母性に感化され、脳が過去に味わったママンからの愛を想起し、見たものを幼児退行させ、ただひたすらに画面を見ることに専念するからだ。赤ちゃんが夢中になって幼児番組を見ている姿を想像すればわかると思う。まさに我々は仙狐さんというアニメを見ることによって、赤ちゃんになるのだ。赤子への回帰。
さらにこのアニメ、スーパー仙狐さんタイムというコーナーがある。何を言っているのか分からないだろう?おれも初めて見たときなんだこれと思った。このコーナー、仙狐さんが我々視聴者に語りかけ、世話をしてくれるのだ。確かOne Roomとかいうアニメがあった気がするが、あんな感じ(見たことはないから知らんけど)。自分が主人公になりきって、仙狐さんに世話をされよう!というコーナーなのである。なんだこれ。難民出るぞ。

とまあ仙狐さんについて色々紹介したわけだが、一番気になるのは、こんなものが流行る日本大丈夫か……?という不安である。こういうアニメが流行るということは、仙狐さんみたいな存在を多くの人が欲しているということ。それはすなわち、そういう存在を欲するほど辛い環境に晒されている人が多いということなのだ。Twitterで何でも褒めてくれるbotみたいなやつがバズる時代である。働き方改革といってもイマイチ労働環境が改善されているのか分からない。それでも、我々は、生きなければならないのだろう。何かに縋り付いていかなければ生きていられない時代である。そんなとき、このアニメを見て、癒されて、明日も頑張ろうと思えるのなら、それでよいではないか。

自分の想いをつらつらと文章に起こしています。本当に、サポートなんて、気が向いたらで構いません。読んでくださるだけでも感謝です。