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Spotifyデータで昭和歌謡とボカロ曲のテンポを比較してみる

カラオケに行くとOfficial髭男dismさんやKing Gnuさんの曲を歌おうとして途中で諦めている御人をよく見かけます。難しいですもんね

一昔前は、スピッツさんの曲を入れて、サビのところで喉が崩壊している方を見かけてものです。

でも同じ難しい曲と言っても、かつての難しさは、主にキーの高さを要因としていたように思えます。

一方、近年の楽曲の難しさは単純に「キーの高い曲」というわけではないように思えます。

キーの高さはもちろん、テンポの速さやメロディの上下の激しさ、急激な転調、舌を噛みそうな歌詞の音の密度…

その中でもまずは単純に、テンポが速い曲が多くなっているのではないでしょうか?

そこでSpotifyデータを用いて、「昭和歌謡」と「ボーカロイドの楽曲」のテンポの比較を視覚化してみました。

すると予想以上に両者のテンポの速さに違いがあって驚きました。

昭和歌謡のBPM中央値は124.7。例えば桑名正博さんの「セクシャルバイオレットNO.1」がこのくらいです。

そして昭和歌謡で非常に速かった曲の一つは、フィンガー5さん「学園天国」でした。

「学園天国」を聴いてみましょう。

客席のみなさんが一緒に「ヘイ!ヘイ!」と絶叫している素晴らしくリズミカルな曲ですね。

一方、ボカロ曲のBPMの中央値は、145.0。なんと昭和歌謡のBPM中央値124.7と比べて、20ポイントも速い。

BPM=145のボカロ曲は、例えば、DECO*27 さん「モザイクロール」。

ディストーションの効いたギターサウンドが印象的な、ノリノリな楽曲ですね。

そして非常に速い曲のひとつには、かいりきベアさん他多数の方々に歌われている「アンヘル」があります。

こちらの曲も聴いてみましょう。

これは速い…!そしてテンポだけでなく、歌詞の密度もすごいですね。

Spotifyは配信している全曲を解析し、acousticnessやdanceabilltyなど、独自の指標で分析してデータとして保有しています。

その中にspeechiness(話し言葉の多さ)という指標があるので、このデータを使って、グラフの中のマーカーの大きさに対応させています。

ご覧の様にボカロ楽曲の方が、円が大きい=非常に言葉が多いと判定されていることがわかります。

テンポがとても早く、言葉が多い。

ここにおそらく、機械だからこそ歌唱できるダイナミックなメロディーの上下や、複雑な転調などが加わっていると考えられてます。

その結果、現代のポップスはこの影響を受けて、人間が歌う楽曲でも、Official髭男dismさんのような歌唱難易度の高い曲が生まれているのではないでしょうか。

それはあたかも将棋界において、AI将棋の出現によって、かつての定石にとらわれない新しい指し方が、人間の棋士の側にも次々に生まれている状況を見ているかのようです。ワクワクしますね…!

一方昭和歌謡のゆったりとしたテンポは、カラオケで歌うのに向いている。

ここに、若年層にも昭和歌謡が受容されている一因があるように思えます。

でも一番ゆっくりと思っていた谷村新司さんの「昴」、Spotifyの判定のよると意外と速かった...さすが…!

以上、徒然研究室でした。


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