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旦那さんはすべてわかっていて悪者になっているだけだと思いますよ。【#10】

病院には様々な人が訪れます。脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。厳しい結果を伝えないといけないときもありますが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。
脳外科外来では、夫の苦悩 を推し量ることができます。


コニさん。いわゆる田舎の過疎地に住んでいますが、毎回1時間以上娘に運転させて外来に通ってきます。

脳梗塞になって、精査で頸動脈狭窄を認めた80代の方です。ステントで頸動脈の狭窄を広げた後の経過フォローで通院しています。
小学生が大好きなコニさんです。これまでも何回か取り上げています。

いつもコニさんと娘さん二人で外来の診察室に入ってきます。定期のMRIフォローの結果を説明した後の、外来での会話です。

コニさんは数か月前に白内障の手術をうけました。
すごくきれいに見れるようになって誰彼構わず勧めているそうです(娘談)。

3週間ほど前、コニさんの旦那さんも白内障の手術を受けたそうです。
手術から帰ってきた翌日に旦那さんは発熱、調べるとコロナだったそうです。

コニさん「夫は白内障手術のために入院したから、そこから感染したことになってるの。」

わたし「コニさんと娘さんは大丈夫だったの?」

娘さん「私はコロナに感染しました。40度近い熱をだして大変でした。」

コニさん「私は大丈夫だったのよ、でも娘にうつしたからね、旦那はすごくすごくおちこんでるのよねぇ。」

わたし「だんなさん落ち込みますね、それでコニさんは本当に大丈夫だったの?」

コニさん「私は大丈夫だったのよ。」

娘さん「お母さん!!お父さんが白内障の手術で入院する数日前、お母さん咳してて熱もあったでしょ。本当はお母さんが〇〇診療所でもらってきたんだと私は思ってるんだからね!」

コニさん「そうなの、たぶん私が最初にコロナにかかったんだと思うの。けど、それはまだ旦那には秘密なの。」 



コニさんは重症化しなくてよかったですね。旦那さんお疲れ様です。
旦那さんはすべてわかっていて、コニさんには何も言わず、自分が悪者になっているだけかもしれませんよ。

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