ナンバガをスマホ越しに観る。

ナンバーガール。
そのバンドを知ったのは、大好きなバンドcinema staffのメンバー・三島想平が大好きだと何度も公言していたから。
いつだって本当に好きなものは連鎖していて、終わりがない。それが音楽が面白くて大好きな理由のひとつだろう。
私自身はなんでもない、ただの一観客で、全然楽器も詳しくない。
でも、いろんなバンドのライブを観てきた中で、衝撃を受けたので感想を書くことにした。

今回、ナンバーガールのライブを初めて観た。
自分よりも一回りも年上の日本人が、狂気をはらんだ初期衝動を掻き鳴らしていた。そこには誰一人観客が居ないのに。それとも観客が居ないからだろうか。(途中、森山未來がフロアで踊り狂っていたが)ライブ始めから中盤あたりまでの張り詰めた緊迫感、何かが感性を刺激してぞくぞくとした。
向井秀徳の奏でるギターは繊細で綺麗だ。無色透明で浮遊している。ボーカルは、私には語れないような代物。なんでこんな年齢でこんな自由に、初期衝動を抱えたまま歌えるのだろう。年齢を重ねて失われるはずのものが、ずっと変わらず彼の中に内在している。私が聴いたCDのクオリティを超えている。
田淵ひさ子のギターは、大人しそうな本人の外見と裏腹に、激情を掻き毟るような暴力的とも取れる部分を持ち合わせていた。多数の色をしたギターの音たち、粒ぞろいのタイトなリフから、時に剥き出しで襲う轟音。自由にステージで遊んでいた。
中尾憲太郎のベースは、理想なラインを突いてくる。音がこんなに曲になじむものなのか。主張しない正統派とも取れる飛び道具のないベースの音色なのに、存在感が確かにある。曲に寄り添う音が心地よい。
アヒト・イナザワのドラムも、主張しない音の作り。手数も多いのにぶれず、しかもバンドの音に溶け込んで、スネアの音の粒の揃い方が印象に残る。これまた心地よい。このリズムを支える2人があってのナンバーガール。

これはYouTubeに今日(3/2)まであがっている、ライブ配信を観ながら感想を書いている。なんとも良い時代になったものだ。
私は、今の時代、この年齢でナンバーガールに出会ったことを嬉しく思う。このバンドは、味が気持ち良すぎる。この配信という粋な計らいも、この時じゃなければ観れなかったのだと思うと感動する。
どうか生で聴きたいので、少しでも長くライブ活動を続けてほしい。

NUMBER GIRL TOUR 2019-2020 
『逆噴射バンド』追加公演 Zepp Tokyo
2020/03/01 YouTube配信より

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