#002 米中メガテックの競争戦略 GAFA × BATH 田中 道昭:書評 no.1

本の概要

さて、続いては直近ちょうど読了した本を紹介します。概要と自分の感想を載せますが、詳細な内容については記載しないので、興味を持たれた方は読んでいただければと思います。

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【書名】 米中メガテックの競争戦略 GAFA × BATH
【著者】 田中 道昭(立教大学ビジネススクール教授)
【出版社】日本経済新聞出版社
【概要】 GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)及びBATH(Baidu, Alibaba, Tencent, Huawei)各社の会社の事業内容の分析と今後の戦略

米中のテクノロジー覇権を巡る争いに注目が浴びる中、事業内容や展開の類似点及び相違点をもとに今後の展開を考えたいと思い購入しました。

こんな方におすすめ

上記の各社の強みと事業内容・収益状況や、足元のテクノロジー動向や今後の展開について知りたい方
・アマゾンは、事業内容(EC(イーコマース)やアマゾンプライム)につ
 いては知っているけど、収益はどこからどれくらいあげているのだろう?
・Facebookは使っているけど、どのように収益をあげているのだろう?
・中国のメガテックってどんな会社がどのような事業を行なっているの?
・各社今度どのような事業を展開しようとしているの?

各社について基本的な内容が網羅されていること、関連する書籍の紹介があること、定性情報だけでなく、各社のデータも紹介があることから、詳しくは知らないが興味を持っているような方にはよい本ではないかと。特に、米各社の本は巷にたくさんありますが、中国の各社についてあまり馴染みがなかった自分にはよい学びになりました。

良かった点

・祖業が同一の米中各社を同じ観点から比較分析するという視点
 
- Google vs Biadu
 - Apple vs Huawei
 - Facebook vs Tencent
 - Amazon vs Alibaba
・中国のメガテックの情報が網羅的にまとまっていること
・引用情報やデータが多く、きちんと紹介されていること
 
- この書籍を出発点として、興味を持った内容について追読(追加で読書するという造語)しやすい

個人的な感想(上記に良かった点をあげてるので、物足りなかった点を中心に)

・主な内容が各社の現状と方針の説明になっており、8社の関係性(どこが伸びる、伸びない 等)の内容が乏しい
 
- 各社の現状が詳細に記載されている分、今後の未来予測(筆者の考え)となる部分の記載が少なかった。(個人的にそちらに重きを置いていたため、気になった)
・比較の軸は、祖業ではなくこれから進出しようとしている事業領域の方が面白いのではないだろうか?
 - これからどこがどの分野で勝つのか負けるのかを考えるのであれば、今後の事業展開が競合する企業を比較した方が示唆があるのではないか

本を読んで:今後の米中メガテックの行く末

これは書籍関係なく個人的な考えです。
米中のテクノロジー覇権の争いはどのように帰結するのか。を少し考えてみました。ぜひ、皆さんの考えも聞かせて下さい。

上記の8社の中で大きく方向性が異なる会社があり、その会社は勝ち続けるのではないかと考えています。。それはHuaweiです。他7社がデータ × AIへ注力している一方で、Huaweiは通信インフラに注力しています。なので、Huaweiが戦いに勝つかどうかは、上記の7社との戦いではなく、同じく5Gのインフラを提供するエリクソン・ノキア 等との戦い次第です。そして、私はこの戦いにHuaweiが勝つと考えています。

確かに、この戦いには政治も絡んできて欧米諸国を中心に欧米諸国を中心にHuaweiを除外する動き※がありますが、今後成長を見込めるアジア・アフリカ地域における影響は限定的なのではないかと考えています。
※ 2019年5月米ホワイトハウスが大統領令で、Huaweiによる米企業への製品提供及びHuaweiへの製品供給を禁止
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-16/PRM8LH6TTDS001)

加えて、ハードウェアも関わる通信インフラの領域において、中国政府による補助があり(実際に援助があるかどうかは定かではないが中国政府が重視している領域を担う企業に援助があるのが自然ではないかと考えている※)他社より有利に戦えることは戦いの初期においては影響が大きく、現に特許件数が圧倒的な世界一位になっていることもそう考える理由の一つです。
※https://jp.techcrunch.com/2019/12/27/2019-12-27-huawei-reportedly-got-by-with-a-lot-of-help-from-the-chinese-government/

さて、残りのAI × データの領域において7社の競争はどうなるでしょうか?正直、よくわかりませんし、どこかが負けどこかが勝つというより地域や事業領域において住み分けが起こり、全ての会社が次のイノベーションが生じるまでは、引き続き大きな影響力を持ち続けると考えています。

ただ、一社少し足元が危ういなと考えているのはFacebookです。これについて話し出すと、またおいおい発信できたらと思います。

オススメの本や、テクノロジー覇権についての考え 等気軽にコメント下さい。

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