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二次創作における「神」を崇拝するということ(2)


こんにちは。美憶(みおく)です。

さて、今回も『私のジャンルには「神」がいます』について思うことを書きたいと思います。

前回を振り返って


前回のnoteのなかで、綾城に認知されるために葛藤する秀才字書きの七瀬(ななせ)と綾城のジャンル移動を阻止するために奮闘する友川(ともかわ)の行動について、本当に神(綾城)を崇拝しているのかという疑問を抱きました。

七瀬や友川も、綾城同様沢山の二次創作を投稿しており、「書き手」という点では同じ立場であるわけですが、彼女たちと神である綾城との違いについて考えていくと、そもそも「神字書き」とは何かという問題にぶつかりました。

そのため、今回は二次創作においての「神字書き」とは何なのかという点について考えていきます。

二次創作における神になるためには
何が必要か


ここでは、あくまでも『私のジャンルには「神」がいます』の作中での「神字書き」の定義について考えていきます。


1.作風や文体、着眼点が他の字書きとは異なりオリジナリティがあること

「その着眼点は無かったというか だけど言われてみると本当にそうしか思えないし」

「綾城さん自身の価値観っていうか ものの見方ってちょっと独特なんですよね」
第7話 天才字書きのアンチ P.114


上記は、柚木(ゆずき)の友人のやえとハコが綾城について語るシーンの台詞です。


2.ブックマーク数が多い

「神サイト」は無くなったけど「神絵師」「神字書き」は健在で上手い人にはたくさんブクマが付いていた
第2話 出戻り同人女の感情 P.55


これは、『私のジャンルには「神」がいます』2に登場する葵(あおい)が綾城のP支部を見つけた時のモノローグです。
※P支部とは作中出てくる小説、イラスト、漫画を投稿できるサイトのこと。


3.孤高であること

「しかし綾城からフォローが返ってくることは無かった」
第1話 天才字書きと秀才字書き P.10


これは、秀才字書きの七瀬が綾城のツイッターをフォローするもフォローが返ってこなかったシーンです。

「うわあ フォローの数が異様に少ない リプライにも最低限の返事しかしてないし」「なんだろ お高くとまってるこの感じ…」
第7話 天才字書きのアンチ P.109


上記は、綾城のアンチである柚木が綾城のツイッターのアカウントを見た時の台詞です。


4.ジャンル内で影響力をもっている

綾城さんが小説をUPするたびにTLがどよめく

みんなが綾城さんの小説に影響されている
綾城さんの解釈が正解みたいな雰囲気があるのも居心地悪い
第7話 天才字書きのアンチ P.110

上記は、綾城のアンチである柚木が綾城について語る場面より引用しました。

あらためてざっと挙げてみると、作中の神字書きとしての条件はこんな感じでしょうか。

1.作風や文体、着眼点が他の字書きとは異なりオリジナリティがあること 
2.ブックマーク数が多い 
3.孤高であること 
4.ジャンル内で影響力をもっている

今回挙げた4つの要素については、あくまでも、ジャンル内のクラスタが思い描いた綾城の姿であるため、実際の綾城とはかけ離れているかもしれません。
※クラスタとはある同じ趣味、思考、目的、属性などを持った人たちの集まりのこと

しかしながら、綾城というキャラクターを形造る上でこの4つの要素は重要なキーワードになると私は考えています。

結局のところ、神字書きとして崇められることは二次創作をしている書き手として「良いこと」なのでしょうか。

たしかに全く誰にも見向きもされないより、周りに認められて注目された方が気持ちがいいかもしれません。ただ、承認欲求のためだけに二次創作をするのはすこし虚しくもなります。

少なくとも綾城は神として崇められることは良い面だけではなく、弊害があることを身をもって知っています。

みなさんは、神字書きになりたいですか?


次回は、『私のジャンルには「神」がいます』に感じている違和感について書きたいと思います。

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