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家電のセンチメンタルジャーニー
家電量販店をうろつくのもまだ憚られるこの時期に、冷蔵庫を買いました。いろんな家電がありますが、どんな生活リズムや生活レベルであっても、必要なのが冷蔵庫ではないでしょうか。
個人的には電子レンジもマストですが、まぁ、なくても生活は出来ますし、洗濯機がなくてもコインランドリーに行けばいい。エアコンは近年、夏場に間に合わなければ自殺行為ですが、今はなくてもぎりぎり耐えらえる。トースターやオーブンは料理をしないひとり暮らしからすれば、狭いキッチンをさらに狭くする贅沢品と言ってもいいでしょう。
でも冷蔵庫。彼はいてくれないと困ります。家の中の唯一のオアシス。生命線。今日も大好きなビールをきんきんに冷やしておくれ。・・・ん?あんまり冷えてない。まさか。
ということで10年来の長い付き合いの冷蔵庫さんもとうとう代替わりのときが来たわけです。
最近の家電は、と語るほど家電には詳しくないのですが、それでもやはり、故障しにくくなったなという認識があります。毎日ハードウォーカーなわりに、しっかり働いてくれる。実家の冷蔵庫に至っては20年近く使っているのではなかろうか。
家電って調子が悪いときは、叩いたり再起動したり、なんやかんやと強く当たってしまうのは自分だけだろうか。そのくせ当たったあとに、いざ買い替えの色が強くなると、急に寂しくなり、その仕事を終えたからっぽな後ろ姿に「ありがとう」を伝えてしまったりする。
彼らにとってはなんと身勝手な人間よ・・・と思われているでしょう。あんなに古くなったとか小さすぎるとか文句を言っていたくせに、と。
ふと内弁慶な自分は同じことを人間にもしていないかと、ちょっとドキッとしたりします。家族や友人、会社の同僚など、距離が近くなればなるほど気心を許しすぎてしまうのが人間の性。親しき中にも礼儀ありとは、本当によく出来たことわざです。
別れるとき、距離を置くとき、退職するとき。それどころか永遠の別れとなるその時に、慌てて後悔をするのは人も家電も同じなのかもしれません。後悔するころには遅いのに、遅いのになんで後悔するようなことになってしまったのか、と自分に悶々としてしまうもの。
さて、そんなことは前世から重々に分かりきっているのに、なかなか日ごろに還元できないのも、これまた人間の性。だから人は争いと過ちをを繰り返す・・・と、気を抜くと急に、今日からここは倫理ですかって感じになっちゃいますね。
とはいえ、不出来な人間らしく、思い出すたびに慌てて関係修復を心掛ける気遣いの連絡をするのも、何もしないよりは幾ばくかマシかもしれないと、不出来さには目をつぶって、あの人のLINEを検索してみましょうか。
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