私の不妊治療⑲「避難」

連日の大雨は全国に渡って「警戒レベル」とされ、私の住む地方でも、しばらく注意報が解除されません。
私は山手に住んでいるわけではないのですが、地域によっては避難指示が出ているようで、
帰宅した家に娘がいることに気付いた母は「大雨で避難してきた」と思ったようでした。

関係ないんですけどね。


この避難生活、いつまで続くのか、続けるべきなのか…今のところ分かっていません。


夫の勤め先に陽性者が出ました。
ただ経緯が複雑で「PCR検査陽性者」は社内にいません。
…今のところは。


“社員の家族に陽性者が出たらしい”という話から、その社員と職場で接触した可能性のある社員複数名が抗原検査キットを使ったそうです。
発熱や倦怠感など症状を訴える人はおらず、陰性を確認するためでした。
社員の家族、であって大事をとって休んでいる社員自身のPCR検査結果も出ていない段階です。

結果は…“抗原検査”陽性者が複数。
みんな同じ事務所の狭い部屋の中で。

抗原検査の種類もよく分からず詳しいことは書けないのですが、
その話を聞いてすぐ荷物をまとめました。

例えその陽性者が本当にPCR検査で陽性だったとしても、夫は「濃厚接触者」には該当しないと思います。
それでも、接触が完全にゼロなわけではなく、人を介して万が一にでも感染していたら、感染してしまったら。。。


私はどうなるのでしょうか?



ここ最近よくデルタ株の脅威についてニュースが流れていますね。
私のTwitter界隈は産婦人科に通う人が多いので、余計なのかもしれませんが、
「妊娠後期の妊婦の重症化リスク」「周産期医療の逼迫」などという非常に怖いニュースを毎日のように目にします。


私は今妊娠30週です。
つまりもう妊娠後期に到達している、重症化リスクの高い人間です。

妊婦の重症化リスクが高い理由を詳しく知っているわけではありませんが、
妊娠後期ともなるとかなり大きくなった子宮に圧迫され小さくなった肺で呼吸をするのが当たり前。
非妊娠時より明らかに息苦しく感じる日常。
この状況で肺炎になったら?
酸素飽和度なんてすぐ下がり、酸素が必要になるのは予想できます。

酸素が足りなくなったら?
私のお腹に宿る小さな命は、生きていられるのでしょうか。



実際28週を超えて新型コロナウイルス感染症に罹患した場合は、
妊婦の状況によっては即帝王切開、と聞きます。
28週ともなれば、母体なくとも、医療の力で生かすことができる。
弱る母の体に頼るより生きられる可能性が高い。
生きてくれることはいいこと、だけれど、
本来ならまだ臨月にすら届かない「早産」の時期。
そんな状態でこんな世の中に誕生させてしまうのを、良しとする母親はいないのではないでしょうか。
増して母親が感染者の場合、帝王切開で取り出された乳児は即隔離。
2年近い不妊治療を経てやっと授かった小さな命。
その誕生直後に、この手で抱くことすらできないのかと思うと……


その不安は陽性者が出る前から何度も夫に伝えてきましたが、
心配なのは子供のことだけではありません。
夫は「帝王切開すれば子供は助かるだろう、でも心配なのは重症化すること」と。


重症。
これもまたTwitterでよく見る有名なスライドがありますよね。
医師の言う重症とはつまり「助からないかもしれない」段階であること。
帝王切開後我が子を抱くことも…顔を見ることすらできないまま、生涯を閉じてしまう可能性がゼロではない。
考えたくない事態です。
実際のところそうなる可能性は高くはない…と思いたいですが。


でも「どこに蔓延しているか分からない」という状況を目の当たりにした今、
改めて強く感じます。


何故ワクチンを打てないのか。


夫も私も30代ですが、私たちの自治体は大阪府下でも特にワクチン供給が遅く、
私たちよりさらに上の世代ですら、
「接種予約」が出来ない状況が続いています。


基礎疾患持ちであろうが予約できずいつワクチンを打てるか分からない人たちがいる。

大規模接種会場は決してアクセスの良いところにあるわけでもなく、そこに行くまでに普段通らない場所を通り、接さない人と接するリスクがある。


この状況がどこまで、国や府のトップに知られているのか疑問でなりません。
だって首相官邸公式Twitterですら「妊婦の重症化リスク」について述べているのです。
「妊婦及び妊婦と同居の家族は積極的に接種を」というのです。

だったら何故現状打てるようにしてくれないのですか。

何故この状況を無視され、自分や胎児の命の危機を感じるまで追い詰められているのでしょうか。



確かに自治体によっては12歳以上であれば接種が出来るようなところもあるそうですが、
そんな自治体がどれほどあるのでしょうか。


Twitterにつけられたコメントには「打ちたくても打てない」「予約できるようになってから言ってくれ」というものも多く、
同じような危機を感じている人は少なくないようでした。


“3回目分のワクチンも確保”…
違うそうじゃない。

まず2回、とにかく1回だけでも、接種を望む国民全員に打たせて欲しい。

どうして届かないのか、動かないのか……


近年の政府はそういう存在だったな、と
また呆れられる一つの要素にしかならないのでしょうか。

私はいつまで実家にいることになるんでしょう。
お腹の中の子供に、夫の声を聞かせたいのに。



次回「奇跡を知る」

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