生きていく痛み
また失恋をした。
今度こそ本当の失恋かもしれない。
君が私に対してそっけなくなってからしばらくが経つ。
相変わらず君のことを考える度に、どす黒い痛みが私の胃のあたりを占領する。
きっと彼女には変わらず優しいのだろう。
いや、ほかの女に対してですら以前と変わらず接しているのだろう。
そんなことを想像するだけで私の身体は世界を拒絶しすべてを破壊する超越した存在になりたいを願う。
どうしたらまた私に優しくしてくれるの。
どうしたら君にとって価値のある人間だと思ってもらえるの。
そんなことばかり考えてかろうじて生きながらえている。
好きだって言えたら簡単なのに。
君と永遠に一緒にいたいって素直に伝えられたら簡単なのに。
それすらできない私は。
世の中の人間は少なからず失恋や決別など受け入れ難い思い出を抱えて生きている(だろう)。
彼らは一体どうやってこの耐え難い悲しみや苦しみと共存しているのだろう。
目の前が真っ暗どころではない、明日の希望どころではない、今どうやってやり過ごしていけばいいのかもわからないこの感情とどう向き合って生きているのだろう。
人は言う。
時が忘れさせてくれる。
新しい恋が忘れさせてくれる。
仕事が趣味が忘れさせてくれる。
私は君を忘れたくなどない。
手に入らないのなら、いっそ思い出のまま永遠に私の中に閉じ込めておこう。
記憶のホルマリン漬けになった君のぬるくぼやけた笑顔をいつまでも眺めていたい。
本当に好きだった。
全身全霊で愛したし、愛されていると錯覚し続けてきた。
唐突な失恋は、まるで君を愛した私という人間が無価値だと告げられたようだった。
君の中で私は重要登場人物なんだと自惚れ続けてきたツケが回ってきたんだ。
そう思うしかなかった。
君のヒロインになれる日がくるのか。
不遇のサイドキックで終わるのか。
To be continued...?
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