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あなたならコレにお金を払いますか?(Web制作のおはなし)

これは冷蔵庫です。冷えます。

あなたは家電メーカー勤務の冷蔵庫開発担当です。
あなたには今すぐ必要なものはありません。
そこに他メーカーの家電セールスが来ました(家電のセールスってなんだ)
「これは冷蔵庫です。冷えます。」
あなたの家にはきちんと動く冷蔵庫があります。

セールスマンは熱心かつ真面目ではあるものの冷蔵庫に関する知識はあまりないようで「冷える」しか言いません。
冷蔵庫なんだから冷えて当然でしょう。「はぁ」しか返事ができません。
そしていま新たな冷蔵庫は必要ないですし、おすすめされている冷蔵庫は冷えると言う当たり前の機能しかないです。
更にどうも今持っている冷蔵庫のほうが高機能で優れているようです。
そして1行目に書いた通り、あなたは冷蔵庫の専門家です。

ちなみにその冷えるだけの冷蔵庫、値段は教えてくれません。

さぁあなたは買い換えますか?

買わないよね。

買う理由がひとつもない。

こう説明したら誰でも分かるのになぜあなたは同じセールスをするのか

前段は駆け出しWeb屋さんのよくあるセールスを冷蔵庫に置き換えて説明しました。
僕にも駆け出しの時代はあったし、駆け出しの人が仕事ほしさになりふり構わず営業をしなければならないのも理解できます。
同業ですし「頑張れー」とも思っています(鼻につく上から目線)

でもでもだよ。
前段の冷蔵庫営業(冷蔵庫営業ってなんだ)のように、「ウチはWeb屋です!Webサイト作れます!外注として使って下さい」
とWeb屋の僕に営業されてもだよ。

・同業だからね、Webサイトは僕も作れる。
・社内のスタッフも作れる(とても優秀)
・これまで頼んできたパートナー企業も作れる(とても優秀)

会社の受注限度はプロデューサーやディレクターの管理できる上限であり、このポジションの人間は大体90%〜100%の稼働をしています(でないと経営しんどいです)

社内の制作部隊はディレクターより早い段階でキャパシティをオーバーします。
よってリソースが足りなくなった制作部隊の部分を外注するわけです。

ここに「外注」として入る隙があるわけですが、

今もお願いしている外注先は実力、信用度、コミュニケーションの心地よさ、全てが合格点にあるワケです。
当然そーゆー人を選んでいるからね。
なので僕らはそこに相談とお願いをするのがとても楽。僕のクセもわかってくれているしね。
で。そこに新規で割り込む人ってのは、いまの外注先と比較して劣る点はなにもなく、かつ別に優れた点がなければ選ばれないですよね。

なのになぜあなたは、「とくに優れた点もないですし経験不足はいなめないけど自分を選んで下さいお金を払って下さい」と言うのですか。

先の冷蔵庫、買うタイプですか。
僕はね、買わないんですよ。たいていの人はさっきの冷蔵庫買わないです。
あなたはセールスされたら何個も冷蔵庫買うのかも知れないけど、一般的には買わないんですよ。

競争優位性を示せ

マーケティングでは「競争優位性」と言う言葉を使います。
簡単に言うと他社、既存製品と比較した際、優位に立てる何かと言うことです。

冷蔵庫だったら「ウチの冷蔵庫、扉が左右どちらでも開くんです」とか「自動で氷が出来るんです」とかそーゆー他社にない機能を宣伝するじゃない?
同機能で価格が他よりずっと安いでもいいです。すぐに届いて設置してくれるでもいい。
※ちょっと僕の冷蔵庫リテラシーが低いので強みが適切でない気がする

まぁ要は他と比較した時、「すげー」って思われる箇所を「競争優位性」と呼びます。

競争優位性の"ないもの"をあえて選ぶ理由などないんですよ。
だからあなたも競争優位性を意識し、それを言葉にして相手に伝えるべきなんです。

「あなたが自分を選ぶ理由はこれです」と。
「自分はこの分野めちゃくちゃ得意です、そーゆー案件あればぜひ」と。
「そこらのWeb屋にゃ負けないスキル○○があります」と。

スキルが多少稚拙でも「超早くて激安」なんかでも良いでしょう。

がむしゃらもいいけど無計画は疲弊するだけ

がむしゃらな事は僕も嫌いじゃないです。
僕も21年がむしゃらにこのWeb業界でやってきました。
大成功したとは言えないけど、これだけの期間食えてきたと言う自信はあります。

ただ無闇やたらにがむしゃらで脳汁を飛び散らせながら行動しても結果は伴わないですし、なにより上手く行かなかったときに「なぜ上手く行かなかったのか」を検証することもできません。
検証出来ないと言うことは反省も改善も出来ないのですよ。

改善できなければ良くなることはありません。
日々の営業に疲れ、預金残高は減り、メンタルが逝き、疲弊し倒れます。
僕と同じ職業を選んだ方がバタバタと夢破れていく姿をあまり見たくないですし、本来Web制作業はすごく楽しいもののハズなんです。
僕は1998年からWeb制作を始めて、いまもずっと楽しいです。楽しいんですよ。ほんとに。

お金が欲しいだけでやるなら他にもっと高単価、高収益な商材はいくらでもあります。例えば不動産営業とかね。
安定してお金を稼ぐならお勤めのほうがいいし、お勤めのなかでも稼げる職種はあります。
もちろん成果に対して厳しいけれど、結果を出せばきちんと収入にもかえってくる。

でもあなたはWebを選んだわけじゃん。
Web好きなんだよね。
個人事業主という働き方の選択をしたわけじゃん。
だったらもう少しだけ「自分だったらなんと言われたらお金を払うかな」を考えてみると、未来は少し変わってくるかも知れません。
がむしゃらに手を動かすより、ちょっと一息ついて価値について考える時間を作ってください。

僕たち老害長くやってるWeb屋さんはあなたの事が嫌いなワケではないし、むしろ応援したいとすら思っています。

Web屋さんとしての基礎力をきちんと身に着けた上で、他にないあなたの強み。
ぜひ考えてみてください。


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