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テレ東シナリオコンテスト「知らない人んち」プロット/シナリオ案②“奇妙な家”系

第1話台本

和室の戸が開くとそこにはキャンとジェミがいた。
ジェミ「大丈夫だ、、」
キャン「うん、、」
きいろ(家族の絵を折りたたみながら)「大丈夫って何がですか?」
ジェミ「ううん、何でもない。」
きいろ「え、気になりますよ、、」
その言葉を遮るように2人は戸を閉めた。
きいろ「え~、どうしたんだろ、、でも、絵のことはばれてないみたい、、」
きいろはそっと戸を開ける。2人がいないことを確認してから和室を出る。
きいろ「よし、、さっきは止められたけど、、、」
そう呟きながら階段を登る。
きいろ(声をひそめながら)「やっぱりここに入るしかないですよね~」
そう言って、先ほどジェミに入るのを拒まれた暗室の戸に手をかける。
そっと戸を開けて、暗室に入る。完全に中に入りきると、突然戸がしまってしまう。
きいろ「え!何?!嘘、、閉じ込められた?!やだやだ、最悪だ、、、やめとけばよかった、、誰か!誰か助けて!」
バンバンと暗室の内側から戸を叩くきいろ。しかし誰も助けに来る気配がない。もう一度、ドアノブに手をかけて暗室をこじあけようとする、、と、するりとドアが開いた。
きいろ「あ、出れた、、、え、、?」
外に出ると、再び背後でバタンとドアが閉まった。そしてきいろは愕然とした。先ほどまでとは廊下の景色が違う。そこは和室の中だった。
きいろ「これ、、どういうこと、、」
きいろは不思議がりながら、和室の戸に手をかける。するとまたしても戸が開かない。
きいろ「えぇ!ここも?ここもなの、ちょっと誰か!アクさん、キャンさん、ジェミさん、怖がらせないでください!ちょっと!」
またしてもしばらく戸をこじ開けようとしていると、すっと開くタイミングが訪れた。急いで和室から脱出するとさらに愕然とする。そこは風呂場だったのだ。
きいろ「なにこれ、、部屋が違う、、どんどん別の部屋にワープしていく、、どういうことなの、、」
風呂場の扉も同様にしばらくは開かない、しかししばらくするとガチャリと空き、きいろはまた足を踏み出す。
そこはリビングだった。そしてそこにはアクとキャンがいた。
きいろ「あ~、やっと会えた!!ちょっとこの家、どうなってるんですか、絶対変ですよ!」
アク「どうなってるじゃないよ!君、あの×って書いてある部屋空けたでしょ、、」
キャン「空間が歪んじゃったじゃん!」
きいろ「く、、空間??なんの話してるんですか?」
アク「知られたからにはしょうがない。順を追って説明する。まず、僕らは元々この家の住人じゃない。この家に迷い込んでしまったんだ」
きいろ「迷い込んだ、、??」
アク「君がジェミに初めて会った時、ジェミは何をやっていた?」
きいろ「え、、空き地で穴のところで落とし物を探してましたよね?」
キャン「あの場所、、実は本当は空き地じゃないの。」
きいろ「え?」
アク「正確に言うと、あの場所が"空き地"に見えてしまう人間がいて。その人たちが、この家に辿り着く運命になっているんだ。」
きいろ(頭を抱えながら)「ちょっともうちょっと分かりやすく説明してください、、」
アク「どういう理屈は分からない。でも僕も、あの場所を先月偶然通りかかった時に空き地に見えたんだ。あれ、ここ空き地だったかな、って思いながら。そして自分の家に帰ろうと、この家とは反対側の道を歩き出そうとした。でも、前に進めなかった。」
きいろ「え?」
アク「まるで透明なバリアが張られたみたいに、自宅への道を塞がれてたんだ。で、何が起こってるか全然わからなくてめちゃくちゃ怖かったし、焦った。で、なんとか、通れる道はないかとバリアをつたって進んでみた。そしたら、自宅とは反対の道には行けて。進めるほうにどんどん進んでいったらこの家の玄関に辿り着いたんだ」
きいろ「いやいや、、そんなことあるわけないでしょ」
アク「僕はこの家を隅々まで調べた。家具や生活用品から恐らく5人家族が住んでいた。しかしその痕跡はまるでない。カレンダーは2018年12月で終わってた。何度もこの家を出て、このバリアの抜け道がないか探した。でも全くダメで。仕方ないからこの家で生活することにしたんだ。」
きいろ「助けは呼ばなかったんですか?」
アク「呼ぼうとしたさ。でも、どこをどう調べてもこの場所がどこかを伝えることができない。」
きいろ「どうして?」
アク「スマホで地図を開いてみて」
きいろはカメラ機能を一旦閉じ、地図を起動させる。きいろの現在地は、広大で何もない空間が広がっているのみだった。
きいろ「え、これ、、、」
アク「ここ、地図上では何もない空間ってことになってる。一応警察とか、かたっぱしから連絡したけど、説明しようがなくて結局頭のおかしいやつが連絡したと思われただけだった。」
きいろ「位置情報がバグってるわけじゃないんだ、、、いや、でも一か月間も、食事とかどうしてたんですか?」
アク「食事は冷凍庫に食料があったからそれを食べてなんとか。水道や電気は通ってたから。で、なんとか脱出しようとこの家のことを調べ始めたんだが、、そこで君もさっき感じた現象に僕も出くわしたんだ。」
きいろ「その、、部屋がワープするっていう?」
アク「そう。で、何度もワープして、何度もパニックになっているうちに法則に気付いた。それは、あの暗室に入るとこのワープ現象が始まるということだった。」
きいろ「だからXって書いてあったんだ、、」
アク「ああ。部屋の扉がランダムに繋がって、ぐちゃぐちゃになる。何度も何度もワープして、廊下にうまく出れた時に、部屋が元通りになることが分かった。」
きいろ「それは、、すごい時間をかけたんですね、、」
アク「そう。だから、この現象に二度と陥らないように厳重に注意してたんだよ、、
キャン「まぁ私とジェミが来た時は騙したあの部屋に入れてきたけどねこの男」
アク「いやあれは、、」
きいろ「え、どういうことですか」
キャン「私とジェミも同じようにしてこの家に辿り着いたんです。2人で同時に迷い込んで。正直、男の人だし怖かったからアクを頼るのは抵抗あったんですけど、仕方ないから家の中にいれてもらって。それで私たちの部屋として案内されたのがあの暗室。」
きいろ「うわぁ、、」
アク「いや実験だよ実験。自分以外の人間が入ってもあの現象が起こるのか。起こるとしたらその"空間の歪み"はあの部屋に入ってない自分にも降りかかるものなのか。」
きいろ「で、どうなったんですか。」
アク「部屋はランダム化したし、自分もその迷路に迷い込んだ。なんとかワープを突破することができたんだけど、もう絶対にあの部屋に立ち入らないようにXを描いたんだよ。」
きいろ「なるほど、、そうとは知らずに、、すいませんでした。あ、ジェミちゃんは?」
キャン「それは、、、」
きいろ「え、まさか、、」
アク「多分、、部屋のワープに巻き込まれてる、、」
どこからか、ドアを叩く音が聞こえる。
きいろナレーション「とんでもない家に来てしまった、、、こんな奇妙なことが起こるなんて、、ジェミちゃんは私のせいでワープする部屋に取り残されてしまった、、ん、、、待てよ、、私はこの家に迷い込んだわけじゃない。この3人に連れてこられたんだ、、!!)

(第1話幕)

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家そのものが奇妙、という設定で作ってみました。部屋がワープする描写は、うまく繋げてくれれば違和感なく成立するシーンだと思います。

伏線については貼りっぱなしですが、緑の袋の中身ははバリアを壊すために作った爆弾だったとか、ジェミの「このままは帰せない」は帰す方法が見つからないという意味だった、など、いくつか回収案はあります。

この家は何なのか、というのは色々考えようがありそうです。取り壊された家の亡霊なのか、誰かの思念が取り憑いたものなのか、もしくは誰かの脳内に作られたものなのか、バーチャル空間なのか、、などなどです。

#コンテスト #テレビ東京 #テレ東シナリオコンテスト #脚本

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