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入山65日目 歩荷

今日は歩荷day。

歩荷とは人力で荷物を背負って荷運びをすること。
荷物の大きさによっては体が荷物に隠れてしまい、荷物が歩いているように見えることから「歩荷」と呼ばれています。

今日の歩荷は隣の山小屋まで行って荷物を受け取り自分の小屋まで担ぎ上げます。

行きは概ね1時間。
水と防寒着、最低限の装備で身軽にサクサクと。

帰りは約40kgの荷物を背負子(しょいこ)という器具にくくり付け帰ります。

一般的に登山で背負う荷物の重さは山小屋泊まりなら10kg以下。

テント泊で20kg以下。

大学の部活で30kg。

そもそも2泊3日程度の一般的な登山であれば20kg以上の荷物を背負うことはまずありません。


さてその常識を振り切った40kgという重さ、

まず重すぎて下に置いた状態から
普通のリュックのように
肩まで背負いあげることはできません。

ベンチなど少し高さのある場所に荷物を置いて
そこで肩ひもに腕を入れてから
前かがみになって
荷物を持ち上げ、立ち上がります。

今回の40kgくらいだと普通に立っていられますが
50kgくらいだと立っているだけでも苦痛です。

ちなみに歩荷自体を生業としている方は
100kgの荷物をかつぐそう。
私はまだまだ歩荷初心者です。

歩き始めはまだ余裕、しかし上りに差し掛かるとすぐ息が上がり始めます。
ゆっくり同じペースで歩いて行かないとバテてしまいます。

普段は気にならない僅かな段差も、
重い荷物を背負っていると気になってきて
「ここに一段ステップが欲しいな」などと登山道整備の参考にもなります。
また山小屋を訪れる初心者の方やご高齢の方の気持ちもわかります。

いかに登山道整備が大事か、ということを身をもって思い知らされます。

出発から1時間くらい経過すると徐々に肩紐が肩に食い込んできて痛くなるのに加え、
血管が圧迫されているのか貧血気味に。

やっと到着した時には顔色悪いぞ、と言われる始末。


そんなしんどい歩荷業務ですが
運びきった達成感は
山小屋仕事の中でも類を見ないほど。

また他のスタッフが労をねぎらってくれるのが
恐縮ながら嬉しくもあり。

そして一息ついた後に
自分で担ぎ上げたコーラを飲むのが、
最高の贅沢なのです。





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