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みかんを採る人たち

しばらく愛媛にみかん採りに来た話や
実際のみかん収穫の仕事を書いてきましたが、

今回は仕事に来ているの話を。


みかん収穫に来るアルバイターは全国から集まります。それこそ北は北海道から南は沖縄まで。

農家さんが所属する「JAにしうわ」の管内だけで、300人以上のバイターが集まるそうです。

農家さんいわく、「みかん収穫の時期は市内の
人口が目に見えて増えるんだよ。」とのこと。

1年のうちたった2か月だけ人口が増える街とは
都会では考えられません。


そんなアルバイターさんには
どのような方がいるかと言うと、

まず私のような山小屋スタッフ。

以前書きましたが、
山小屋シーズンの終了後にみかん採りが始まるため、非常に仕事の相性が良いのです。

私の同僚も2人来ていますし、
別の山小屋の方にお会いすることもあります。


そんな中最も多いのは、
第一次産業をしながら日本を旅する人たち。

トマトやサトウキビ、キャベツといった農作物や帆立や昆布など海産物に関わる人まで。

その時期の収穫物や繁忙期に合わせて移動をしているのです。

これは個人の動きだけではなくて、
アルバイターを斡旋しているJAも仕組み作りを行っています。

「JAにしうわ」は
「JAおきなわ」と「JAふらの」と提携して

みかん(愛媛)→サトウキビ(沖縄)→野菜(北海道)→再びみかん(愛媛)

と、1年中仕事が途切れないように
仕事を斡旋する仕組みを作っているようです。

日本を縦断しながら1年を過ごすのも
なかなか魅力的です。

そんな日本を股にかけて仕事をする人が多いためか、生粋の旅人さんも多く、

コロナ前は海外で働いてました、
ワーホリしてました、

なんて人も多数。

私の同僚のアルバイターさんたちもオーストラリアやヨーロッパで就業経験があり、
作業中の会話も結構ワールドワイドな話題が出ます。


他にはゲストハウス経営者や葬儀屋さん、ミュージシャン、アーティスト、過去にはお坊さんや占い師がいたなんて話も聞きます。


一般の社会で、これほど多様な人が集まる企業なんてあるのでしょうか。

「農業」というと、なんだか保守的で、
例えば「多様性」なんて言葉とは無縁だろうと思っていましたが、とんでもない。

下手な企業より、よほど面白い経歴の人が集まっているのです。


日本の第一次産業って、
農家さんはもちろんですが、
単に「フリーター」とか「季節労働者」では表せないような人たちが支えているんだなと。

農業を経験して見えてきた新しい発見でした。


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