女が母になるとき

 女は好きな男に従順だった。言われるがまま男根を口淫し精液を飲み干す。恍惚とした表情を浮かべ、男に気持ち悪いと殴られる。それでもヘラヘラ笑っていた。こんな男でも好きだったのだ。とにかくその男の家に入り浸り不埒な日常を送っていた女。気づけば男の子どもを妊娠していた。
 堕ろせという男、泣きじゃくって産みたいという女。女はこの男の元を離れひとりでこの小さな命を育てる決心がついた。夜逃げみたいにして男から離れ小さな港町で暮らす。最初は簡単な内職をして過ごし、徐々にスーパーで働くようになる。大変だけど幸せな暮らしだった。1人での出産は心細かったが産んだらとてもかわいい子どもが生まれた。女は幸せだった。幸せに暮らし男の子を育てた。

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