小夜のこと

 「身体が弱かった小夜を優先して美優にはいっぱい我慢させちゃったね。ごめんね。」そう眉毛を下げて謝るお母さんに「大丈夫だよ。私ちっちゃい頃結構楽しかったんだよ?お母さんのお手伝いしてたからさ料理と家事上手くなったし!」そう気にしてないことを伝える。笑顔が戻った母に安心する。
 小夜は白血病だった。小さい身体で何度も辛い治療に耐えていて偉かった。幸い今は健康で元気だ。小夜とはよく恋バナをする。小夜は中学で同じクラスの松原くんが気になっているようで,バレンタインのチョコレートを一緒にデパートまで買いに行った。私には付き合っている人がいるのでその彼に渡す。
 昔は小夜とこんな関係性になれると思っていなかったので、それだけで嬉しい。小夜の笑顔はとびきり可愛いのできっと恋も上手くいくはずだ。チョコレートを買ってそう話す。小夜はうれしそうに笑う。小夜はその松原くんのかっこよさについて饒舌に語る。バスケ部でなかなかハンサムらしい。
 優しくて大人びた性格をしているので女の子に人気があるようだ。競争率が高くてやんなっちゃう。そう溢す小夜。「あんたなら捕まえられるよ。だって可愛いし性格いいじゃない?」姉の贔屓目でそう言ってしまう。そう言われて嬉しそうな小夜にこっちまで嬉しい。この子は可愛いなぁ。幸せを噛み締める。

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