戦争

 クタクタの足でなんとか玄関まで辿り着いて、ドアを開けた瞬間しゃがみ込む。プラスチックのパックに入ったポテトサラダをプラスチックのフォークでお皿に出さずにそのまま食べる。つまんないテレビ観ながら、時折目に入ってくる月を睨む。たぶん世界が滅んでしまうまでこんな生活を続けるんだろうな......

 あと一個ジェンガを引っこ抜けば簡単に崩れ落ちるだろうに、絶妙なバランスを保っている。その造形に大した美しさを見出せず苛立ちすら覚える。何か起きて欲しい。刺激的なことが、この小さな世界を変化させることが。新聞記事の上がったり下がったりする数字の変化に自己啓発をさせようとする広告もつまらない。心底どうでもいい。ひたすら同じような毎日に反吐が出る。朝食の食パンも食べたくないけど、バターを塗って無理やり口の中に放り込んでいく。

 なんとなく付けていた朝の情報番組で中東の国で欧州の要人が殺されたというニュースが流れた。退屈だった平和が簡単に壊れていく。にこれまでの日常が惜しいと感じるようなことはなく、ただ自分たちの行く末が何処に向かうのかに思いを馳せる。まあ別にどうでもいいか、人はいつか死ぬしどんな殺され方をしようとそこにそんな執着はないしとか思う。一瞬で終わってくれ、なるべく苦しまずに身体の一部が無くなってしまったまま生きるのはつらいから、それだけは避けたい。なるべく静かな死で、

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