月明かり、盗人現る。

 月か明るすぎる夜、その少年は神のお賽銭をくすねた。今日食べるご飯にも困ってたからだ。草鞋などもなく裸足の足は傷だらけで、顔は土で汚れていた。近所の田圃を少し手伝い、なんとか食べ物を貰っていたが、弟や妹のご飯がない。まだ働けない小さな彼らを食わすためにはお賽銭をくすねるしか無かった。
 その少年は神のお賽銭をくすねた。今日食べるご飯にも困ってたからだ。草鞋などもなく裸足の足は傷だらけで、顔は土で汚れていた。近所の田圃を少し手伝い、なんとか食べ物を貰っていたが、弟や妹のご飯がない。まだ働けない小さな彼らを食わすためにはお賽銭をくすねるしか無かった。
 幸い弟が働けるようになったのでなんとかやっていくことができた。妹も内職をやってくれるようになった。生活が安定してきた頃、三兄弟は寺に拾われた。食うことに困らなくなったのでそれだけで幸せだった。妹は尼寺に拾われたので離れて暮らすことになったことが心残りだったが。
 3食食べ睡眠を取りよく働く。そして手習や念仏唱える修行などをした。そうこうしている内に四季が過ぎてゆく。少年はお賽銭を盗んだことも忘れ、しかし毎晩悪夢に苦しむことになった。夢では恐ろしい顔をした怒った赤鬼や死んだ母さんがやってきて首を絞めてきた。夢なのに現実のようで苦しかった。そうして少年は旅に出て、盗んだお賽銭を返し参拝していくことにした。徐々に悪夢は薄れ悪夢はピタッと止まった。ようやく安眠できるようになった少年はその後、僧として大成することになる。

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