海外の画像生成AIのプロンプトで、見慣れないわけがわからない単語を見つけたので調査した結果(「copeseethemald」、「mald」、「malding」ネットミーム)
最近、海外の画像生成AIのプロンプトで、見慣れないわけがわからない単語を見つけたので、それが、何なのか?を調査してみた。
海外の画像生成AIのプロンプトで、見慣れないわけがわからない単語
「copeseethemald」というのを海外で、プロンプトに書き込んでいる人がいた。
自分は中の人が辞典学者なので、とりあえず、見慣れない単語は全部調査している。
この「copeseethemald」という見慣れない単語は、どうも、「海外のネットスラング、ネットミーム」で、元の状態の単語は、「Cope, Seethe, Mald」とわかれているようです。
(海外のネットスラング辞典「cope, seethe, mald」)
https://www.urbandictionary.com/define.php?term=cope%2C seethe%2C mald
<英語辞典>
cope (うまく処理する、うまく対処する)
seethe ((1)(怒りで)腹の虫が収まらない、煮えくりかえる(2)(水面が沸騰しているように)泡立つ、わき返る)
「cope」と「seethe」だけ普通の英語辞典に載っていて、「Mald」と「malding」は「海外のネットスラング」のようです。
((wiktionary)malding)
https://en.wiktionary.org/wiki/malding
下の海外のネットスラング辞典の解説の経緯がよくわかりやすい。
(ツイッチ(Twitch)用語の「Malding」誕生の経緯)
https://eigo-net-slang-jiten.blogspot.com/2023/08/malding.html
(1) 「mad(発狂したように怒っている)」+「bald(ハゲる)」 = 「mald(頭がハゲかえるほど狂って怒っている)」
(2) 次の段階で、「mald」が、単語化したので、語尾変化するようになって「~ing」が付いた「malding」となった。
(3) 次の段階で、「cope, seethe, mald」という海外のネットスラングになったようです。
(「cope, seethe, mald」のニュアンス)
「cope, seethe, mald」は、どうも、「レイジコミック」文化のニュアンスの意味合いが強いようで、
Cope: 難しいことに効果的に対処しようとしている
Seethe: 激しいが表現されない怒りで満たされること
Mald: 頭がハゲかえるほど狂って怒っている
という感じの意味のニュアンスのようで、海外の「レイジコミック」と呼ばれる、主に、「激おこ」顔のアイコンスタンプで多いニュアンスのようです。
「レイジコミック」という「激おこ」顔のアイコンスタンプは、見た事がある人も多いと思いますが、SNSの「スタンプ」は、テキスト文字では表現しづらい感情表現目的で使われる事が多いわけですが、伝統的な演劇やアニメなどの感情表現は、「喜怒哀楽」なのですが、
・SNSの「スタンプ」に必要な感情表現のスタンプ顔は、「既存の喜怒哀楽とかの単純な感情表現に納まらない、微妙な感情表現のスタンプ」が必要なようです。
それで、海外の「レイジコミック」と呼ばれる、主に、「激おこ」顔のアイコンスタンプで多い顔は、
・はらわたが煮えくり返るほどの激しい怒りを内側に抱えているが、表面上は、平静を取り繕おうとしているが、それでも抑えきれないほどの激しい怒りが噴出しかかっていて、変な顔になっているという、「怒りを必死にこらえて耐える、変顔」というのが多い。
「cope, seethe, mald」は、その海外の「レイジコミック」の、「激おこ」顔のアイコンスタンプの亜種のようで、
・「cope, seethe, mald」は、「難しいことに効果的に対処しようとしているが、だんだん、激しいが表現されない怒りで満たされることという状態になっていって、頭がハゲかえるほど狂って怒っている状態の変顔になっている」
という意味のようで、どうも、海外の画像生成AIの謎のプロンプト「copeseethemald」を書き込んだ人は、そういう、レイジコミックのような「激しい怒りに耐えて平静を装おうとしているが、それ以上に耐えられない激しい怒りで変顔になっている」という状態を作りたかったようです。
「レイジコミック」文化ができあがっていった順番と経緯(自分の記憶の範囲なので、正確な日時を調べると若干前後が間違っている可能性もある)
(1) 日本で、「2ちゃんねる」で、「アスキーアート」文化が発展して、「煽りアスキーアート」が流行る。
(2) ツイッターで、「自分のアイコン」+「ツイート」で、「アイコン絵」+「自分の意見を書く」文化が生まれる。
(3) 「アイコン絵」だと頻繁に変更できないし、ツイートの内容で絵柄を変更できないので、「LINE」で、「スタンプ」という機能ができて、「文字にしづらい」「自分の感情」をスタンプで表現できるようになり、そういう文化が発展した。
この「スタンプ」機能により、「言語に関係無く、人々がコミュニケーション可能」となった。
「言語に関係無く、人々がコミュニケーション可能にする」事を、「ノンバーバルコミュニケーション」という。
1964年の東京オリンピックの時に、「ピクトグラム(トイレや非常口マークの絵柄の事)」が大々的に導入されて、「ピクトグラム」も「ノンバーバルコミュニケーション」。
「ピクトグラム」は基本的には、オリンピックなどで、多数の外国人(や文字の読めない小さい子供など)が来る場合に、言語に寄らないで意味が伝わる必要があるので、基本的には、「ピクトグラム内に英語などの文字を含めない」のが理想なのだが、「ピクトグラム」はだんだん「デザイン性」ばかり重視したりしていって、「抽象的」になり、「意味不明」な状態になりがちに最近ではなってきたので、英語も一緒に書かれる事が多くなった。
どうして、「ピクトグラム」に「デザイン性」が必要になっていったのか?というと、例えば、「レストラン内に、文字の読めない小さな子供まで絵だけで意味が伝わるトイレマークをデザインすると、うんちなどの絵柄になってしまい、とてもではないが、レストラン内に設置できないし、長時間触れて見ていると不快になるデザインだとストレスから社会で暴動などが起きやすくなる」欠陥があるから。
また、「ピクトグラム」を使って、統計データの図解をすると、「間違ったバイアスがかかりやすい」事がよく知られている。
「バイアス」というのは、主に、統計やマーケティングで使われる用語で、「人の脳が正確に判断できない、判断の歪みが発生している事」をいう。
例えば、統計データで、「印象操作」により、「赤いピクトグラム」を使って他人に見せると、あたかも、それが「危険なものである」ように、他人を印象操作できるので、間違った統計データとなり数学的に使い物にならない。
このように、「ピクトグラム」には一長一短がある。
(4) 「スタンプ」機能の発展により、主に海外で、「レイジコミック」文化が発展した。
この「レイジコミック」文化の方の「スタンプ」の発展内容は、次のようなものが多い。
・内心はブチ切れているが、「必死に耐えている激しい怒り」の表情のスタンプ
・「既存の全ての人間の感情には当てはまらない感情」が芽生えた時の表情のスタンプ(「何ともいえない感情」が芽生えた)
・「(困った意味の)何ともいえない渋い顔」をしている。
など、主に、「(内心に限度を超えた感情が沸き立っているのを必死に耐えている感情の)変顔」のスタンプが、「レイジコミック」文化のやつ。
「レイジコミック」文化は、古典文化の感情表現であった「喜怒哀楽」などに新しい表情表現手法を追加した。
のような、「言葉にできない」、「(耐えているので)表情にも表われない感情」のような、微妙な表情を表す「レイジコミック」文化の方の「スタンプ」文化が主に海外で非常に発展した。
(5) 「レイジコミック」文化が発展した主に海外で、「ネットミーム」、「バズ」として、「レイジコミック」文化の方の「スタンプ」を利用せずに、「面白動画」などにある「何ともいえない感情をしたペット」などの画像の中に、テキスト文字で、いろいろと書き込むバズ絵文化が発展して、これらが、海外で、「ネットミーム」化するようにネット文化が発展していった。(ネットミーム「Doge」など)
人工知能や画像生成AI製作会社ごとの今後のクセが見えてくるキーワードだった
今回の調査は、
・人工知能や画像生成AI製作会社ごとの今後のクセが見えてくるキーワードだった
という事で、辞典学者や言語学としては、わりと重要な調査結果となった。
辞典学者というのは、「新語の調査」なんかをする仕事なわけですが、各辞典学者や辞典メーカーの方針ごとに、この「新語」、「スラング」への対応がまったく異なります。
・(伝統的な辞典メーカーの対応)「スラング」は、基本的に、「間違った言葉」なので採用しない。(はなから無視する)
・(「言葉の時代の流れ」を見るのを重んじる辞典メーカーの対応)「スラング」、「ネットミーム」も含めて、とにかく全部調査する。
という感じが一般の辞典メーカーごとのクセになるわけですが、「ビッグデータ」の解析と調査を行うという共通のしている仕事は、「辞典学者」と、「人工知能」は似たような作業をしているわけで、そこに、「クセ」が出てくるわけです。
それで、今回の調査は、
・人工知能や画像生成AI製作会社ごとの今後のクセが見えてくるキーワードだった
のですが、これは結構重要です。
まず、
・「Bing Image Creator」に、「copeseethemald」とプロンプトに書き込むと、ブロックされた。
・「Bing Image Creator」に、「Mald」のプロンプトを書き込むと勝手に、単語予測変換されるようで「maid(メイド)」の画像になる。
というような挙動で、「Bing Image Creator」の方は設計しているようです。
ただ、ここら辺は、最終的には、「ビッグデータ」の統計作業となるので、
・レイジコミック文化のような「激しい怒りに耐えて平静を装おうとしているが、それ以上に耐えられない激しい怒りで変顔になっている」ような表情のイラストを自分で大量に描いて、「mald」、「malding」というタグを画像に付けたものがあふれかえれば、この「新規プロンプト」創造という新しい人工知能や画像生成AIを使った人類の文化が創造されるわけです。
堅苦しい辞典メーカーのように、これらの、ネットスラングや、ネットミームを徹底的に排除しはね除けようと人力で行う人工知能製作メーカーは、「新しい文化を創造できない」というわけで、この境目の判断は結構重要になる。
人工知能、画像生成AIを使えば、アニメ、マンガの「新規感情表現」を作る事ができる可能性
もともと、アニメ、マンガという「線で感情を描き分ける」という難しい作業をクリエイターはしてきたわけですが、自分は、元のブログの方で、「人間の感情の種類はどの位あるのか?」とか考えて、とりあえず全部書き出していこうとかやってみた事があるのですが、「思ったよりも、微妙な感情のニュアンス」の方がたくさんあります。
伝統的な演劇とかの「喜怒哀楽」なんて単純な表情だけやっていては、「描ききれない世界」というものがあって、この領域はもっと「感情表現の豊かさの描き分けの研究が必要となる」
例えば、「恋愛感情」がわかりやすいが、
・「単純な恋愛感情の描き方」→「頬を赤らめる」だけ
しかし、実際にストーリーで必要なのは、
・「耐えて相手に譲る悲恋」の表情
・「とにかく大好き!」という表情
・「シャイな女の子の好きという表情」
とか、これだけで数千以上のそれぞれのストーリーの微妙なニュアンスの違いで、表情を描きわける必要がある。
これを、「mald」、「malding」は、ちょっと極端な例だが、
・現在の「Stable Diffusion」系の「モデルマージ」の技術発想を使えば、「無段階の微妙な表情変化を全部作れる!」わけで、ここの段階で、人工知能開発は、未来にどの程度まで進化できるのか?「人工知能は新しい文化を創造できるのか?」には大幅な差が生じてくる!
というわけです!
20世紀以前のアニメ、マンガは、単純な「喜怒哀楽」を線のみで描かないといけなかったので、こういった「いろいろなニュアンスの状態の微妙な感情の描き分けの難しさ」というものがあったが、21世紀の現在、人工知能や画像生成AIを使いこなしていけば、昔は不可能だった「新しい表現」というものが可能になってくるわけです。
現在、人工知能、画像生成AIの開発は未来の分かれ目にある
(1) 「人工知能は新しい文化を創造できる」という方向性に進んでいるのは、「Stable Diffusion」系とかの、「オープンソース」にした人工知能、画像生成AIの方では、プログラマー、クリエイターの「自由な発想がどんどん盛り込まれていっている最中」で、現在の「Stable Diffusion」系の「モデルマージ」の技術発想を使えば、「無段階の微妙な表情変化を全部作れる!」わけで、ここの段階で、人工知能開発は、未来にどの程度まで進化できるのか?「人工知能は新しい文化を創造できるのか?」には大幅な差が生じてくる!
(2) 「Adobe Firefly」とか、「Bing Image Creator」なんかのように、「検閲」、「コンプライアンス」を重視するあまり、「自由度が著しく減っていく」という設計になっている人工知能や、画像生成AIの方は、「未来が閉ざされている」
いわゆる、
・「無難で当たり障り無いものしか作れない」=「ただの、ライセンスフリー素材と似たようなものしか作れない失敗AI」と成り果てていき、面白みの全く無い「ライセンスフリー素材」は、「人間でも簡単に作れる」ので、やがて廃れる。
前にも書いたが、
・「検閲」、「コンプライアンス」を徹底的にやった最終結果は、ヒトラーのナチズムの時代にやっていた「検閲して芸術作品を燃やす運動」の結果、「文学作家、芸術家の多くは知能萎縮してしまい、最終的には、バーバパパ、ムーミンのように、極端に線分を省略した表現のみしか許されないと、作家やクリエイターの脳に植え付けていく」という最悪の「検閲社会」の状態になります。
今は、「検閲」、「コンプライアンス」を重視するあまり、「Adobe Firefly」とか、「Bing Image Creator」なんかは、面白みの全く無い「ライセンスフリー素材」に似た画像ばかりしか出力できないという悪い段階にあるが、このまま、「検閲」、「コンプライアンス」の分量を増やしていくと、最終的には、「線分が極端に削除されていく」というバーバパパ、ムーミンのような絵柄しか出なくなっていくというのが、「検閲」ビッグデータのやり過ぎの状態になっていくという傾向で、そうなったら、その人工知能や画像生成AIは、「死んだAI」となる。
面白みの全く無い「ライセンスフリー素材」は、「人間でも簡単に作れる」ので、そのような「検閲やり過ぎ」の人工知能、画像生成AIは、最終的には廃れて無くなっていく失敗AIとなっていく事でしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?