夏休みの宿題ごときで親子ゲンカしたらあかんて
昨日やったインスタライブでも少し話題に出したのだけど,
「夏休みの宿題を子どもがやっていないことにイライラします」と言う話をそこかしこで耳にする。
長らく教員の仕事をしてきて,私は宿題で子どもの学力は伸びないと思っている。じゃぁ宿題はやらなくて良いのか,と言われたら,それは宿題の目的による。
例えば複雑な手順のものを正確に覚えるためには反復練習が必要なので,それを家でも決められた回数やってきなさい,という宿題であれば,自分がきちんと覚えきれていなければやったほうがいい。
明日の授業で討論をする。そのために意見をまとめる時間が授業中十分に取れなかった人は,宿題にするので残りは各自家でやって来なさい,という宿題ならやっておかないと翌日の授業で困るのは自分なのだから,終わってないならやったほうがいい。
授業で学んだことについて,各自が不足しているものを家にいる時間に補うのが本来の「宿題」。
だから基本は授業の中で完結することが望ましいし,宿題をやらないと成立しない授業というのは本来よろしくないと思う。
子どもが自分の現状と達成したいゴールとのギャップを考えて,そこを埋めるための手段が宿題なのに,手段が目的化するなんて本末転倒。
質の低い学習塾なんか,講師が教える内容は大したことなくて,授業後に大量の宿題を生徒に課して「勉強した気にさせる」という手法をよくとる。お金をもらって規定の時間内に生徒の学力を上げるのが塾のサービスなのに,宿題出すってどういうこと?それこそ詐欺じゃない?と思ったりする。
宿題をしないと塾の先生に怒られるので,学校の授業そっちのけで内職しながら塾の宿題をやり,ロクに授業も聞かないまま,また放課後になると塾へ行き更に大量の宿題をもらって帰ってくる悪循環の中にいる子も。これ最悪。
親も子供も,宿題というタスクが目の前にあって,それをこなしていればそのうち学力が上がるだろうと信じて,なんの効果もないのに塾に通わせ続けてしまうことも多い。これこそお金をドブに捨てるようなもの。
そのお金で子どもとどっか旅行でも行った方がよっぽどいい。
じゃぁ改めて夏休みの宿題の「目的」は何かって言ったら,「夏休み中子どもを遊んでばっかりにさせないこと」「1学期に学習した内容を忘れないようにすること」の大きく2つだろうか。1つ目の目的はもはやただの「意地悪」と「大人の都合」。そして目的の2つ目に関してはいわゆる「知識を忘れさせないようにする」ということなので,本質的にはこれもなくてもいい。
なぜならこの先いつAIに仕事をとられるかもしれないと人類が戦々恐々としている今「知識を覚えておくための努力」なんて,もはや不要になりつつある。人間覚えたことなんてすぐ忘れる。自分の生活や人生にとって重要でないことだからこそ忘れる。別に忘れていいし,忘れたならまた覚えればいいじゃん。その作業を面倒くさいとか,効率が悪い,と思える人間としての賢さがあるなら,宿題やればいいんじゃないか?という話。
夏休み明けから進級するアメリカなんて夏休みは「思いっきり遊ぶもの」。日頃できない経験を!ということで親たちもこぞって我が子をサマーキャンプに送り込む。もちろん学校の宿題なんて一切ない。それだっていいじゃん。
夏休みの宿題なんて,そんなもん。学びではなく「作業」。だからつまんないし子どもはやりたくない。「これ何の意味があるの?」と思いながらやる作業なんて地獄ですよ。大人だったら多分耐えられない。
だからあえて言うけど「こんなもん」のために親子ゲンカしたり,子どもとの関係が険悪になって,夏休み中嫌な空気で過ごすなんて絶対にダメ。
「やりたくないことから逃げたりしないで,ちゃんと向き合う力をつけさせたい」ともし思うなら,子どもと一緒に「やりたくないこと頑張る大会」でも開催して「ママも今日はやりたくないこと23個も頑張ったわー!まじすごくない!?」」とか言って「お互い今日も嫌なこと頑張ったから,アイスでも食べに行こっか!」
ってやってる方がいい。
アイスの食べ過ぎには注意だけど。
ちなみにだけど,もし,宿題やらせず学校行かせたら親が恥をかくから,という理由で宿題をやらせようとしているなら,その思考のままでいるとこの先もっともっと親子関係が悪くなるので,お1人で悩まずに早めにご相談ください。いつでもお話聞きます。
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