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自己の内側から捉え直す、社会変革の鍵〜ヒューマンテクノロジー研究家 後藤志果さん〜

6月から、TSUNAGUでは「TSUNAGU Regenerative Design Program(リジェネラティブデザインプログラム)」を実施します。自分自身、他人、身体、コミュニティ、経済、社会、自然・・・あらゆるものごとに対する自分の心のあり方を変容させ、それらすべてとのつながりを取り戻し、新しい視点で社会変革に参加していくための実践プログラムです。

このプログラムを通して、物事を循環させるだけでなく、人や自然を含むあらゆる存在や関係性を再生していくリジェネラティブデザインを学び、ファッションの世界に本質的な変革を起こすリーダー育成を目指します。

今回は、対話型ワークショップのナビゲーターである後藤志果さんにインタビュー。社会変革と個人のあり方がどのように繋がっているのかお話しいただきました。

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後藤志果さん / ヒューマンテクノロジー研究家
シャーマニズムや形而上学、太陰暦、ヒーリング、マクロビオティックといった多様な智恵を基に、スピリチュアルカウンセラーやドリームナビゲーターとして人の持つ意識の力の探求を10年以上にわたって行う。
その後、東京アーバンパーマカルチャーでの活動をはじめとした社会変革の活動に軸足を移し、世界中のアクティビストやエコビレッジを訪れたり、イベントの開催などを行う。 これらの活動の中でNVCに出会い、講座やリトリートなどを複数開催。 愛と共感の世界観を伝え、拡げている。 2018年に東京から高知へと移り、大地に根ざす循環した暮らしを実践。 現在、"暮らしと意識をつなぐ" をテーマに、人や地球が本来持つ様々な機能「ヒューマンテクノロジー」を研究している。

大地に根差した暮らしの探求

スピリチュアルカウンセラーでもあり、環境活動家・平和活動家でもある後藤さんは、「社会変革」と「個人の意識変容」の両輪を回す活動を展開されています。

幼い頃から、汚れていく地球に痛みを感じやすく、純粋な感性を持っていた後藤さん。そうした繊細な感受性のままではこの世の中を生きるのが難しいと本能的に察知し、感覚を閉じて生活していたと話します。

後藤さん:今の活動の一番のきっかけは、以前働いていた時に出会った人からもらったスピリチュアルに関する本を読んだ時に、幼少期の感覚が走馬灯のように戻って、目には見えない世界との繋がりをはっきりと思い出したことです。

ボディ(身体)・マインド(心)・スピリット(魂)が、自己の内側の平和を構成しており、これらを癒していくと「平和」に繋がる。そう確信した後藤さんは、食と人間の体の関係や形而上学など体系的に10年以上学び「内なる平和」について深めてきました。

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東京を拠点に活動していた後藤さんは、徐々にスピリチュアルの活動が大地に根ざした暮らしと結びついていかないことに違和感を感じていったそうです。その中で、2015年にスコットランドのフィンドホーン(自然と人との共存、人の在り方・つながりを学び続ける国際色豊かな共同体)やイギリスのシューマッハカレッジ(経済学者E・F・シューマッハの名前と思想を受け継いで生まれた大学院)を訪れたことで、そうした違和感が解消されたと言います。

後藤さん:シューマッハカレッジの創立者・サティシュ・クマール氏の「Soil(土壌)、Soul(魂)、Society(社会)が大切だ」という話や、フィンドホーンでの循環する暮らしにインスピレーションを受け、自分自身に欠けている部分は「種を蒔いて育てること」 だと気付きました。

今までスピリチュアリティの活動を通して探求してきた「ボディ(身体)・マインド(心)・スピリット(魂)」という自己を起点とした視点から、「Soil(土壌)、Soul(魂)、Society(社会)」という自己を起点としながらも自己のまわりに向けた視点へ拡大していくことの重要性に気が付いた後藤さんは、日本に帰国し一旦全ての活動をやめ、もう一度自分の「真の部分」を見つめ直すことになりました。

そして、パーマカルチャーやギフトエコロジーを実践する「東京アーバンパーマカルチャー」のソーヤー海さんとの出会いをきっかけに、都会からも始められる、命が持続する暮らしの基盤を作りたい気持ちになったと言います。

後藤さん:自分が足りなかった「種を蒔いて育てる」という部分は、すでに海くんが実践していることでした。そして、実際に私自身も「ギフトエコロジー」という与え合う生態系の中で生きていくことになりました。

後藤さんがヒューマンテクノロジーを探究する背景には、世界中の社会活動家との繋がりがあります。社会を変えようとする「外」へのエネルギーと、自分の暮らしと心を整える「内」に向けたエネルギーが本当の「平和」に繋がると気付いたそうです。現在は、東京を離れ高知へ移住し、大地に根ざした暮らしを実践しながら、社会変革を目指しています。

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自己の延長にある社会変革

今春スタートするワークショップでは、後藤さんを講師にお迎えし、月に一回対話をしながら自分自身が本当に望む生き方やそのためのエッセンスを学んでいきます。

普段、なかなか自分の内側の意識に目を向ける機会が少ない中で、あらためて「インナーサステナビリティ(心の持続可能性)」を見つめる時間の重要性を後藤さんは感じているそうです。

後藤さん:なぜ自分の内側に向き合う機会が少ないのかというと、無意識に「内側を識ることは(夢を実現することと)関係ない」と思っているからだと思っています。意識やイメージが全て私たちの周りにある社会や世界を作っているからこそ、自分の意識を整えビジョンを明確にすることで、私たち、そして社会にとっての「幸せ」に繋がると思っています。

今後ワークショップを通して、参加者それぞれが命あふれる暮らしや夢を実現できるようにサポートしていきたいと後藤さんは話します。

後藤さん:今回のワークショップは「自己の拡大」が一つテーマとなっています。自分の中を探求すると、外側に広がっていく。まさに、遠い存在に思える「地球」のことが、身の回りの「誰か」と繋がっていく感覚です。そうした感覚は、自己犠牲がない世界に入っていくとも言えます。

近年盛り上がりを見せる社会的なムーブメントも、「誰かのためにやっている」という立場だと、どうしても自分の中に苦しさが出てくる可能性があります。「自分はやっているのに、なぜあなたはやらないの?」「やってあげたのに、なぜ変わらないの?」といった自己犠牲の感覚は、自ずと自身の精神を削ってしまいます。

後藤さん:本当に、自分の内側を見つめることが社会の変革に繋がるのか?という不安があるとは思いますが、実践を積み重ねていくと確信が芽生え、そしてその確信は、命が願う世界を生きる道標となってくれると思っています。

「命」が願う生き方を目指して

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東京から高知へ移住し、10年前の自分が願うこともできないような夢を生きていると話す後藤さん。その場所は自分の核にあるスピリット(魂)が知っている場所であって、頭で認識している自分のマインド(心)が意図している場所ではないと言います。

後藤さん:自分自身の命の願い(夢)を叶えたいと思っているのに、なぜかその通りに生きられないと思っている人は少なくないと思います。このTSUNAGUのワークショップを通して、「夢」と読んでいるものが、単なる目標や目的ではなく、自分の命のエネルギーそのものであることを思い出し、夢を生きる力を感じてもらえたら嬉しいです。

何かを教えるというのではなく、ナビゲーターでありたいと語る後藤さん。まさに、地球規模の問題意識を共有し、ともに行動を起こす人たちとの出会いが、このワークショップの醍醐味だと言います。

後藤さん:この地球上で最も美しいものを一つあげるとするならば、純粋な命の願い(夢)だと思っています。このプログラムを通して出会う「仲間」の夢と深くつながりあい、ここから共に平和な社会を創造しあっていくことを願っています。

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近年様々な場面で「自分らしさ」や「ウェルビーイング(幸福)」など、自分を起点にした幸せのあり方が追求されています。

そうした言葉は抽象的かつ感覚的なものであるゆえ、なかなか腑に落ちないと感じる方もいるかもしれません。

その中で、昨今注目されているサステナビリティやエシカルなど、社会にとって良いアクションを起こしたいという自分の「外」に対する気持ちは、どこかで自分の内側の幸せと結びついているはず。

TSUNAGU FASHION LABORATORYでは、自分の内側の意識に集中するだけでなく、同時に社会に対する本質的な変革を起こす実践も探究していきます。毎月後藤さんのナビゲートのもと、「内」と「外」の両軸で物事を考え行動を起こすエッセンスを探ります。


今後もワークショップに関わる方々の思いをインタビューしていきます!お楽しみに♫

Written by Mari Kozawa


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