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自然素材ってどんなもの?

住宅を含む建物には、多くの材料が用いられ、作られています。
それらの材料は大きく分けて、2つに分類されます。
ひとつは新建材、もうひとつは自然素材と呼ばれるものです。
それぞれどんな特徴があるでしょうか?

-新建材とはどんなもの?

石膏ボード

新建材、あまり聞きなれない言葉ですよね。
新建材は、工場で生産される建築材料のことです。
主な品目として、石膏ボードやビニルクロス、合板などがあります。
現在の住宅にはこれらの新建材が多く使われています。
その特徴は狂いが少なく、扱いやすいように加工されていることです。

-自然素材ってどんなもの?

丸太

自然素材はその名の通り、自然由来の原材料を組み合わせ、建築材料として利用したものです。
建築に使われる自然素材にはいくつかの種類があります。
代表的なものは木や石、漆喰、土などです。

木は様々な部位に使われます。
日本の多くの住宅は構造材に使われていますし、下地の多くも木で組まれることが多いです。
石は玄関や外壁などに多く用いられていましたし、漆喰や土も壁に使われていました。
しかし、高度経済成長期以降、建物の建築される数が多くなり、新建材が普及していきました。
流通する量も増え、価格も安く提供されています。

安価で安定して手に入る新建材はとても便利です。
しかし、新建材には大きな欠点がひとつあります。
それは時間が経つと劣化してしまうこと。

建物は長く在り続けることがとても重要です。
木造住宅の税務上の法定耐用年数は22年とされていますが、実際は2倍以上の53年以上と言われています。
しかし、古い建物では、原因は様々ですが、ビニルクロスが劣化し剥がれている様子をご覧になったことがあると思います。
張替えをしようにも、メーカーさんでは数年でデザインが変わってしまい、一部が傷んだだけでも全て張替えなければならないということもあります。

-自然素材を使うということ

フローリング

つなぐデザインでは、安価ではない自然素材を多く使います。
床には無垢のフローリングを、外壁には漆喰や木材、内壁には珪藻土などを選択します。
では、なぜ自然素材を使うのか。

住宅を建てるには大きなお金が必要であり、何度も建てられることはとても稀です。
何度も建てられないからこそ、使われる素材はとても重要になります。
使われる素材が劣化しやすかったり、経年によって耐久性が落ちてしまうことは望ましくありません。

自然素材にはいくつかの良い点があります。
その中でも、新建材に含まれる化学物質などによる、健康被害が取り沙汰されることもあり、その比較として自然素材がフィーチャーされたりもしています。

ですが、つなぐデザインではその点はあまり重要視していません。
健康であることは、もちろん大切です。
しかし、素材単体が自然由来のものであっても、完全に自然由来の素材は稀だからです。
製造過程や品質の安定のために、
そして、それを使ったとしても、建築として健康的であるかもまた別なものだからです。
建物は多くの材料が組み合わされた複雑なものであり、施工においても化学物質を完全に排除することは事実上、不可能であると思われるからです。

では、何故か。
つなぐデザインは『ロングライフデザイン』を重視しているからです。

-ロングライフデザインとは

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『ロングライフデザイン』とは、大量消費される社会の中で、「長く作られ、使われ、愛されているもの」の価値を再評価しようという価値観のことで、建築業界でも重要なことです。
スクラップ&ビルドを繰り返してきたこれまでの流れとは決別し、長く使い続けられる建物を提供したいという思いが根底にあります。
そのためには、経年を許容できることがとても重要です。

建物は時間が経過することで、必ず傷みます。
それは、新建材でも自然素材でも同じです。
使うのであれば、長く使えるものを選択したい。
そして、長く使うためにはメンテナンス性が大事です。

フローリング材は歩くことで表面が傷みます。
塩化ビニール製のフローリング材は木目が印刷されていますが、表面が削れてしまえば、木目は失われてしまい、張り替えるしかありません。
そこで、つなぐデザインでは表層が無垢のフローリング材をオススメします。
無垢の木は手入れをすることで、色が変わり、艶が出ます。
使い込まれることによって生じる艶はとても魅力的です。

ビニルクロスは、壁紙や接着剤が劣化し剥離します。
時間が経つと、メーカーが生産を中止してしまい、同じ柄が手に入ら無くなります。
そうなると「ツギハギ」になってしまうため、全面を張り替えるしかありません。
そこで、珪藻土や漆喰をオススメしています。
珪藻土や漆喰は、傷んだ部分だけを取り除き、補修することが出来ます。
しかし、調色している場合、同じ色を再現するのはほぼ不可能です。
そこで、素材そのものの色での使用がベストであると考えています。

-まとめ

メンテナンス性の高いものを選択することは、建物を長く使えるようにすることです。
そして、長く使うからこそ、普遍的で飽きのこないデザインを目指しています。

飽きられ、陳腐化してしまうようなデザインではなく、暮らしの根底となるような、シンプルな設えとすることで、長期の使用にも耐えられるデザインをご提案しています。
それこそが、建築事務所が『ロングライフデザイン』を実践していく意義だと考えています。


少し長くなりましたが、自然素材とは何か、そして、つなぐデザインオフィスが自然素材を選択する理由をお伝えしました。
参考にして頂けたら幸いです。

【心地よい暮らしをつくる建築設計事務所・つなぐデザインオフィス】
家づくりのこと、デザインのこと、お気軽にご相談ください。

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