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英語ディベート大会の結果を聞いて、思考の訓練について考えた


第7回PDA中学生即興型英語ディベート全国大会で中2生徒MさんがベストPOI賞を獲得!

即興型英語ディベートとは:英語でのプレゼンテーション力やコミュニケーション力、論理的思考力、幅広い知識、チームワークなどが総合的に試される議論バトル。
第7回PDA中学生即興型英語ディベート全国大会結果

Mさん(当時中2)が受賞したのは、POI(point of information/相手チームのスピーチ内で、効果的に発言すること)です。

小学低学年から一緒に学んできてくれたMさんは、自分の意見を英語で速やかに伝えられる方です。Mさんの英語力、思考力はディベートという場所でますます伸びていくことでしょう。これからの活躍を応援しています。

この記事を書いている途中で、またまた嬉しいニュースが飛び込みました。中学3年生Rさん(現在オーストラリアに留学中)が24年7月の全国大会で優勝されました。
留学先のオーストラリアからzoomで大会に参加しての快挙です。

英語スピーチやエッセイに取り組む中高生たちへ

つながるえいごの中高生のオンライングループレッスン参加者は、二週間に一回エッセイライティングをしています。翌週のプライベートレッスンでは、個人の課題(多読と要約、英検対策、定期テスト対策など)のサポートをしています。

Mさん、Rさんが参加された即興型ディベートではお題を与えられた後、短時間でチームとして意見をまとめ、発表し、ディベートをします。日本語でも大変そうなことを英語で行うわけですから、タフな思考と表現バトルです。

エッセイを書くときに、自分と反対の意見はどういうものがあるか、根拠となる理由について自分は具体的に説得力を持って伝えられているか、書いたものを振り返ってみる時に「もしこれがディベートだったら」と考えてみたらどうでしょうか。

日頃から問題意識を持って思考をめぐらすことが大切なことはいうまでもありませんね。

第7回大会のディベートトピックで考える

皆さんのお仲間がどんなトピックで議論を巡らせたか、見てみましょう。

1回戦
Japan should accelerate its investment in small rockets.
日本は小型ロケットへの投資を加速すべきである。

2回戦
It is better to spend time on various experiences rather than studying for university entrance exams (traditional written exams).
大学入試(従来の筆記試験)に向けた受験勉強よりも、各種体験に時間を 使う方がよい。
3回戦
For violent crimes, the names of offenders should be disclosed, regardless of age.
凶悪犯罪について、年齢に関わらず、犯罪者の氏名を公表すべきである。
決勝
Limited medical care in times of disaster should prioritize the young over the elderly.
災害時の限られた医療は高齢者よりも若者を優先すべきである。

https://pdpda.org/convention-info/the7th-jh-zenkoku/

決勝のトピックはトリアージ、命の選別についてですから、一度は思考を巡らせるべき、非常に重要な議論だと思います。

トリアージとは、災害時 など一度に多くのケガ人や病人が発生した際に、治療の優先順位を決めるためにおこなわれる行為のことです。

https://bousai.nishinippon.co.jp/1090/#index_id10

「あなたの価値観を伝える」ことが目的

ディベートにしろ、エッセイライティングにしろ、お題に「自分事」として向き合う心構えが求められます。

回答に正解はありませんが、問われるのは「あなたの価値観」です。ではその「価値観」の拠り所は何ですか?中高生の君たちはまだ人生経験は少ないですが、家庭や学校での経験や、読んだ本や映画を通して抽出した、君なりの「世界観・価値観」を言語化することになります。

今回コーチが拠り所にしたのは、とある本を通して感じた医療従事者の苦悩、そして感謝と社会全体の責任でした。

命の選別について考えてみよう


先日読み終えたKristin HannahThe Womenはベトナム戦争に看護婦として従事した女性のストーリーです。
ちなみにKristin Hannahは史実を背景に、フィクションの女性主人公をかき上げるスタイルが特徴で、歴史好きにおすすめの作家です!

 主人公のFrankieは、従軍看護士として職務を全うし、母国アメリカに帰還しましたが、彼女や兵士らを待っていたのは、ねぎらいやお疲れ様の言葉ではありませんでした。ベトナム戦争が泥沼化して、反戦デモが全国に広まっており、帰還兵は罵倒され、唾を吐かれるという状況だったのです。
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉もまだない時代、帰還兵に対する国の援助体制は十分ではありませんでした。輪をかけて困難だったのが、存在さえも認知されていなかった、女性従軍看護士たち。ジェンダー差別の時代に理解やサポートを得られないFrankieたちの心身の病は深刻化しますが、それを乗り越える女性たちのストーリーです。

 話が逸れてしまいましたが、極限の戦時下で、若い兵士を救う術がなく、ただ寄り添うしかできないFrankie の心情が描かれます。誰もが死と背中合わせ、そして訓練を重ねた兵士が対象であっても、彼らの命の選別を行うことが、医療従事者の精神に長年にわたって重くのしかかるのです。

 もし一般市民が大災害に飲み込まれ、医療機関が分断されて人的物的資源に限界があり、公平な医療が全患者に提供不可能であったら。
命の選別(トリアージ)に「年齢」要素が考慮されないとは言い切れないと想像します。

 だからこそ、この重大な命の選択と責任を医療従事者に押し付けてはいけない、と私は思います。国が先導して国民の中で議論を深めガイドラインを設定するべきトピックで、安楽死の議論も関わってくるのではないでしょうか。

 つまり、医療を受ける立場の市民が災害時のトリアージに対して情報を持っておくこと、議論に関わっていることが、避難経路の把握や避難グッズの準備と同様に不可欠だと思います。

 コロナ禍を契機に、医療従事者が「エッセンシャルワーカー」である、と多くの人々が以前にも増して強く認識と感謝の意を深めたと思います。 
私も、裏方で命を救う人々とその苦悩をFrankieの物語を通してしみじみと感じました。

明確なガイドラインの設定で、厳しい決断をせまられる医療スタッフの精神的な負担が減り、法的に訴えられる危険が減るように祈ります。

もう一度ディベートの決勝トピックに向き合ってみましょう。

Limited medical care in times of disaster should prioritize the young over the elderly.
災害時の限られた医療は高齢者よりも若者を優先すべきである。

皆さんはどんな主張を展開しますか?

お読みいただき、ありがとうございました。

第7回PDA中学生即興型英語ディベート全国大会結果

https://pdpda.org/convention-info/the7th-jh-zenkoku/

参考:大学生のディベートの様子
https://www.youtube.com/watch?v=n0br5gmqdKA


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