見出し画像

memeで爆発中のバーニー・サンダース議員ってこんな人。市長だったバーリントン市はSDGsを猛烈推進中。

今ネットを賑わしているmemeに、大統領就任式のバーニー・サンダース議員のものがあります。memeとは、ネット上のネタ、面白い画像や映像などのことです(発音はミーム。) ついつい「愛すべき」と形容してしまうこの不思議な魅力のおじさん議員について、ヒューストン在住で英語を教えている私がご紹介します。

バーニーってどんな人?

米国上院議員であるバーニー・サンダース氏が実現しようと何十年も活動しているのが、公的医療制度の実現をはじめとする、格差のない社会。そして持続可能な社会です。

人々が安心して医療を受けられる社会、日本では当たり前です。ところが世界一の経済大国アメリカではそれがまだまだかないません。保険会社、医薬品会社の利益が優先される仕組みになっているからです。病院に行きたくてもいけなかったり、治療を受けて破産する人もいます。

アメリカには共和党と民主党の二大政党があります。バーニーはずっと無所属で通していますが、選挙の時は民主党候補として出馬しています。共和党支持者や保守、右派からはsocialist (社会主義者)と呼ばれることが多いです。

社会主義は「危険で、人々の自由を奪うもの」と捉える人も多いので、socialistというレッテルは、否定的なイメージです。バーニーの考え方は社会民主主義と呼ばれるもので、進歩的(Progressive)な政策を掲げています。

いつも変わらないバーニー

さて、1月20日の大統領就任式ではほとんどの人が正装をしていましたが、バーニーは、この特別な日もいたっていつもどおり。お馴染みのバートンジャケットと、手には暖かそうなミトン。これは、小学校の先生である彼の地元の支持者が、古着のセーターをほどいて編み、内側にはリサイクルプラスチックでできたフリースを施したものです。この手袋が、こう、なんというか、バーニーにぴったりで、人々の心を掴んでます。

手袋を作ってプレゼントした小学校の先生Jen Ellisさん「I believe in you, I like you, I’ve always voted for you」
https://www.wbtv.com/2021/01/21/bernies-inauguration-mittens-woman-who-made-them-speaks/

SDGsに最も近い街

バーニーが1981年から1989年の間に市長を務めた、バーモント州のバーリントン市はアメリカでも最も住みやすい場所に選ばれています。環境保護のため、自然エネルギーを取り入れ、女性や子供、そしてLGBTQ+コミュニティーを保護する、弱者に優しい、全米でも屈指の先進的な地域です。カナダ国境に近い、湖沿いの大学や医療機関が経済の中心の市です。

今や自然エネルギー利用率が100%。SDGsの実現に最も近い場所の一つが、このバーリントン市でしょう。

数十年にわたって、どんな時も変わらず、市民や国民のために信念を持って働く姿が、memeのもとになった、この写真に凝縮されています。

memesはこちら https://www.boredpanda.com/bernie-sanders-mittens-memes-inauguration/?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=organic

新型ウィルスの影響で、経済的に困窮している人々が溢れる中、バーニーにとって高級な洋服を身につけることなんて、これっぽっちも頭をよぎらなかったんだろうなぁ、だからこそこれだけ支持されているんだろうなぁ、と思います。

若者に支持されるバーニー

2016年の大統領選挙を争ったのは、民主党のヒラリークリントンと共和党のトランプ氏。が、民主党代表となるためにヒラリーと猛烈に競い合ったのがバーニーです。2020年の大統領選挙もジョー・バイデンに敗れて民主党の代表にはなりませんでしたが、「社会を変えよう」という熱い意志を持つ若者に絶大な支持を受けています。

このmemeを流行らせているのも、そんな若者が中心で、数々のバーニーグッズも販売されています。

オフィシャルグッズも販売中 収益はチャリティーへ https://www.teenvogue.com/story/bernie-sanders-sitting-meme-official-merch

政治家を応援するのは、特別なことではない

国会議員の「ファン」って、日本人から考えると変な気がします。が、多くの人と同じように、私も、バーニーをはじめとする、特にお年をめした政治家のみなさんが、暑い日も寒い日も、無事にハードなスケジュールをこなして活動できますように、と応援しています。そして誰もが安心して暮らせる、平和で可能性がある社会が実現しますように、と心から願います。

ヒーロー達が一斉集合!大統領選前に作られたこの動画が最高すぎる。
https://twitter.com/_gh0stn/status/1324801623781122048?s=29?

生きた「ことば」と「生き様」が届く時

バーニーが激戦を繰り広げたヒラリークリントンも、アプローチは全く違いますが、素晴らしい政治家だったと思っています。バイデン さん、カマラ・ハリス副大統領然り、就任式で詩の朗読をしたアマンダ・ゴーマンさん然り。彼らのスピーチを聞くと、心が震えるようです。そう、人の心を動かす「ことば」を持っている人が世界のステージにはたくさんいます。

日本の子供達にはそんなスピーチが身近にあるでしょうか?

先日のレッスンで、アマンダ・ゴーマンさんの話をしながら中学生の生徒達に聞いたら、心に残る日本語のスピーチを聞いた経験があまりないと言っていました。残念なことですが、それは私も一緒でした。書き言葉では、確かにあります。でも生きた言葉として、同じ時代を生きる人からのリーダーとしてのメッセージを、感動して聞いたことは残念ながらとても少なかったように思います。(加藤寛は凄かった...)

わかりやすくて、力強い、平等や平和を希求して語られたスピーチは人々の心を一つにする力があります。それが英語ならば、瞬時に世界を駆け巡ります。だから、スピーチを英語で理解すると心の地平線が広がるよ、と子供達には伝えました。

バーニーのスピーチも多くの人々を鼓舞します。そして何よりもバーニーの良さは、多くのmemesに象徴されるように、生き様とファッションにも彼の考えが表れているということ。

政治をお笑いで切る土壌

アメリカでは政治や政治家はコメディーの格好のネタです。毎晩毎晩トークショーで誰もが揶揄されます。日本でも人気だったオバマ大統領だって副大統領時代のバイデン さんだってターゲットでした。

memeについてLate Night Showで語るバーニー https://www.youtube.com/watch?v=A7beCOs4yAw
Saturday Night Liveのバーニーそっくりさん。ヒラリーも見ものです(2:00ごろから)https://www.youtube.com/watch?v=pfmwGAd1L-o

人々の考えが真っ二つに割れていて、分断の深いアメリカには、新しい政権になった今も不安材料がたくさんあります。

ですが、政治が日々お笑いのネタになり、memeとなって広がり、一般市民の笑顔や会話のもととなる、そんな側面を見るたびにアメリカの良さを感じます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?