推しとヲタクの幸せな関係


前回のエントリーの続きです。

「非日常」であり、興味ない人からしたら「無駄」でしかない「ライブに行く」という行為にこそ、自分の幸せがあったという話。

(いちおう補足すると、日常にももちろん幸せはあるけど、日常に欠けていた幸せのピースがライブであるということです。
たぶん旅行とか飲み会とかの方が共感は得られるのかもしれないけど、それは個人の価値観なので)


前回書いた、最近行ったライブというのはすべて、このコロナ禍で新たに出会ったアイドルたちのライブ。

自分の特性かもしれないけど、好きな音楽ってそればかり聴いているとどうしても飽きてしまうので、定期的に新しい音楽をインプットするようにしていて、なんとなくツイッターやYouTubeでみつけて気になったものを聴いていたら、いま推しているアイドルたちに出会えた、という感じ。

残念ながらライブに行けるようになるまでに活動休止してしまったグループもいらっしゃって、自分のなかで後悔はないけど、ラストライブに行けなかったことはとても残念だしさみしい気持ちです。
でも、メンバーや運営、周囲の方々がいろいろ考えて決めたであろう結論に対して新参のヲタクが言えることは何もないし、今まで活動してくれたことでコロナ禍の自分の心がどれだけ救われたかわからないので、ただただ感謝しかないです。
出会えて幸せでした。ユレルランドスケープさん、終わらないで、夜さん、本当に本当にありがとうございます。


さて、アイドルってハマるためのきっかけや要素がたくさんあると思うんだけど、ただのヲタクの自分があえて書いてみると、以下の5つに分けられるのかなと思っています。

①キャラクター
②楽曲
③歌唱力
④ステージパフォーマンス
⑤ホスピタリティ

①はいわゆるルックスを含めたメンバー個々の魅力。
②と③はいっしょにしてもよいのかもしれないけど、自分には大切な要素だからあえてわけてみた。
④はライブでのパフォーマンスで、歌とかダンスとかはもちろんだけど、いい意味で音源のイメージを裏切ってくれるかどうか。
⑤はファンサービスと言ってもよいけど運営を含めた居心地のよさみたいな感覚。
それ以外もあるのかもしれないけど自分的にはこの5つ。

このなかでどこを重視するかは、きっとアイドルヲタクのなかでもばらつきがあるんだろう。
個人的な感想としては、ドルヲタではないひとであればあるほど①を重視する(というか①しかみてない)傾向がある気がするし、だからテレビに出るような超メジャーなアイドルも変な既成概念にはめられて結局同じような見え方になってしまって魅力が伝わらない(気がする)のが残念だなと思う。
とはいえ自分だってめちゃめちゃルックスに惹かれてフォローしているうちに楽曲にもハマるパターンあるし、①もとても重要な要素ではあるけど。

ただ、自分は通勤中の車内が音楽に触れるほぼ唯一の時間なので、自分にとっては②と③が特に重要な要素になっている。
あくまで自分の好みだけど、いわゆる王道のアイドルソングがあまり好きではなくて、ちゃんと楽曲が好きだなと思えるグループが好き。
そして、正直、楽曲は好みなのにな…と思うアイドルもいて、②ほどではないけど、③もやはり自分の中では大事。
逆に、②と③が自分の中でハマったらそのグループはほぼ間違いなく推してる。

④はライブに行きたいかどうかに直結するので自分としては②③の次に重要。
上でも書いたけど、よい意味で音源のイメージを裏切るようなステージパフォーマンスを見せてくれると、ライブの満足度がすごく高まるから。

①と⑤は自分はそれほど重視していなかったな…昔は。
ただ、さっきも書いた通り、ツイッターたまたま見た自撮りにめちゃめちゃ惹かれてフォローして、ツイートをみているうちにその人の人間的な魅力に惹かれるようになると、あとは好みの楽曲に出会うまでの時間の問題になる。
⑤も、ファンサービスがよいからといってそのひとやグループを推すことはないけど、それ以外の理由で推し始めたグループやメンバーがめちゃめちゃファンサービスがよかったら、出会った時よりも何倍も推してしまうな、と実感してる。最近。

自分は②③が特に重要だけど、より好きになったりファンを続けたりするうえでほかの要素もとても大事だし、ほかのひとも入り口は違っても同じようなものなのかなと思う。
コアなドルヲタほどアイドルのよいところをみつけるのが上手で、推しのよいところをみつけては、より深い沼にハマっていく気がする。
でも、沼にハマっているときがいちばん幸せなんだよな。


逆に、こんどはアイドルの立場に立って(本当は立てないけど)考えてみる。

アイドルにとってアイドルは仕事なのだろうか?
仕事の定義にもよると思うが、それで生計をたてられているのであれば仕事と言って差し支えないだろう。
でも、仕事と割り切るなら、めちゃめちゃ売れてるごく一部のアイドルをのぞけば、もっと割のよい仕事はたくさんある。
費やしている時間や労力を考えたら、むしろ、あまり割に合わない仕事なんじゃないかと思う。

(業界と無縁の自分が勝手に)想像するに、仕事というより、「自分がやりたいから」、アイドルをしているのだろう。
前のエントリーで書いた「目的」と「手段」の話で言えば、「目的」の部類だ。
だから、つらいことがあっても、割に合わなくても、自分がやりたいから、アイドルをやっている。

「ファンのため」、それは間違いではないし、その要素もあるだろう。ヲタクにとっては本当にありがたいことに。
でも、いちばん大切にしなければならない根っこの部分は「自分の(夢の)ため」であってほしいし、あるべきだと思う。

そして、だからこそ、推しはとても尊い。


推しは、自らの夢に向かって、たくさんの努力をしてステージに立っている。
つらいこともたくさんあるだろう。心がくじけそうになることもたくさんあると思う。想像することしかできないけど。
楽しいことよりつらいことの方が多いのかもしれない。

それでも、推しは今日も笑顔の自撮りを載せてくれる。キラキラしたステージを見せてくれる。
もちろんそれは自分の夢のため。でもそれがヲタクにはとてもうれしいし、何より、推しと夢を共有できることが幸せだから、推しの夢はいつしかヲタクの夢になる。
つまり、推しのための時間やお金や労力を使うことは、推しのためでもあるけど、同時に自分の幸せのためでもあるのだ。

アイドルとヲタク、それぞれが自分のためにしていることが、結果的に相手にとっての幸せにもつながる。
これこそが、アイドルとヲタクの幸せな関係だと思う。


そして、何より、推しががんばっている姿ほど、ヲタクに勇気を与えてくれることがこの世にあるだろうか。
サッカー女子日本代表の澤穂希さんは「苦しいときには私の背中をみて」と言ったそうだけど、メジャーインディーズを問わず、すべてのアイドルはヲタクにとって澤穂希さんです。レジェンド。

自分はでんぱ組からアイドルの沼にハマった人間で、最初の推しがもがちゃんだし、今までの人生でつらい思いをしてきた人たちが、いま、前を向いてがんばっている姿をみると、それだけでもう胸がいっぱいになるし、他の何よりも背中を押してもらえる。

つらかった過去をさらけ出すことはつらいことかもしれないけど、きっと彼女たちには必要なステップだったんだと思うし、それを出せるということは、すべてに折り合いがつけられているわけではないにせよ、区切りをつけて、そして、これから前を向いて歩いていこうという決意の表れなんじゃないかと感じる。

これ以上に美しく、尊いものを自分は知らない。


自分は、仕事柄、困っている誰かを助ける立場にある。と思われている。
でも、実際には、自分は誰も助けてあげることはできない。
別に謙遜も卑下もしていないけど、事実としてそう思う。

自分にできることは、主に、ブレーキをかけたり、立ち止まったり休んだりしても大丈夫である保証を作ること、その程度。
当人を助けられるのはいつだって自分自身だけだ。
だから、その人が自らの足でまた一歩を踏み出せるまで、猶予や保証を作ることしか自分にはできない。

だからこそ、つらくても踏みとどまって、また新しい一歩を踏み出そうとしているひとをみると、自分もとてもうれしい気持ちになるし、その姿にたくさんの勇気をもらえ、背中を押してもらっている。
自分の方がたくさんのものをもらっているなといつも思う。


推しグループのあるメンバーがワンマン直前に書いていたブログを見て、本当に胸がいっぱいになった。
自分はもちろん彼女の担当医ではないけど、もしそうだったら、うれしくて号泣していただろうなと思った(というか関係ないのに泣いた)。
自分が何もしてあげられなくても、やっぱり担当した人が前を向いて頑張っている姿はこの上なくうれしいことだし、自分にもすごく勇気をもらえることだなって改めて感じた。


最後に。
ヲタクは推しからたくさんの幸せをもらっているんだけど、あえて推しに伝えたいことがあるとしたら、ヲタクは「結果」ではなく「過程」をみている、ということ。
アイドルのみなさんが完璧を求めて日夜努力していることは知ってる、でもヲタクはその努力を含めて推しが大好きなのであって、ただ完璧なパフォーマンスがみたいだけなら、すでに完成されている他のアイドルを推してる。
決して「いまのままでいいよ」とか「不完全な方が好きだよ」とか言っているわけではないし、完璧を求めて努力することは演者として正しいんだけど、それだけを至上命題にしているとアイドルでいることがつらくなっちゃわないかな…と、余計なお世話だけど心配になってしまう。
「アイドル」が、本来自分がやりたかったこと、「目的」であることを忘れないでほしい。おこがましいんだけどすごくそう思う。
推しが正しいと思って、前を向いて進んでいっている道なら、どんな茨の道でもヲタクは喜んでついていくから。

ただのド素人のヲタクなのにとても偉そうだけど、アイドルであることを楽しんでいるのが伝わってくるアイドルが自分は好きなので、書かせていただいてしまいました。


でんぱ組から始まったヲタク人生、常にそう思っていた気がするけど、今も胸を張って、今がいちばん楽しい!と言えます。

推しのみなさんのこと本当に本当に大好きだし尊敬しています。いつも本当にありがとう。


また無駄に長くなってしまった…

大好きなアイドルを書こうと思ったのにそれはまた別のエントリーにします。


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