【観劇記録】宝塚月組『グレート・ギャツビー』

期間限定配信のドラマ消化に勤しんでいるため、週1のnote更新をサボっております。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

季節も秋めいて、先日月組『グレート・ギャツビー』のmy楽を迎えましたので感想を書きたいと思います!

今回私は、ムラで1回(公演中止の影響で、奇しくも初日を観劇致しました)、新人公演の配信、そして東京で2回観劇致しました。

早速ですが、物語のあらすじはこちら。

三井住友VISAカード ミュージカル
『グレート・ギャツビー』
-F・スコット・フィッツジェラルド作“The Great Gatsby”より-
脚本・演出/小池 修一郎

20世紀アメリカ文学の最高峰と言われる「グレート・ギャツビー」。1991年雪組で『華麗なるギャツビー』として世界初のミュージカル化に成功。2008年には月組が日生劇場で再演し好評を博しました。
宝塚歌劇として3度目の上演となる今回、永遠の主人公ジェイ・ギャツビーを演じるのは、傑出した演技力を誇る月城かなと。新たなる大劇場一本立て公演として、月組の魅力溢れるキャストが、豪華なミュージカル作品をお届け致します。
名曲「朝日の昇る前に」はそのままに、更にバージョン・アップした2022年版『グレート・ギャツビー』に、ご期待ください。

宝塚歌劇ホームページより

ネタバレもしてますのでご注意を〜!

大劇場公演で、
『グレート・ギャツビー』?

演目発表があった時、私は『グレート・ギャツビー』という作品について「タイトルは聞いたことある…?」くらいで、内容は全く知りませんでした。

なので、タカラヅカオンデマンドで瀬奈じゅんさん主演の日生劇場版を拝見したのですが、「これを大劇場でやるのかあ…」と正直思ってしまいました。
その時は。

ストーリーはわかりやすいものの、何を伝えたいのかが理解しづらかったのと、登場人物が少ない上に共感できるキャラクターがいなくて、なんだかな〜というところ。
映像なので伝わりづらい部分もあるのかな、と思いつつ、瀬奈さん歌うめえとか、最下級生のちなつさん探しに楽しみを見出すような始末でした(笑)

まあでも、れいこさん好きだし、みちるちゃんもいるし、あみちゃん月組デビューだし!!
観てみよ〜!!
そんなペラペラモチベーションでチケットをゲット。

いざ、劇場の席に座り幕が上がると、

「今の月組でやらなきゃいつやるんだ!!オラ!!!」

と殴られたかのような大衝撃。
まったくその通りでございました。
特にそう感じた部分について、次項から書いていきたいと思います。


役のバックボーンが見える、
月城かなと五感の表現力

いやもうね、まずれいこギャツビーのビジュアルが8億点!!!!!!!!!!(突然の偏差値2)

「私がギャツビーです。」

あの言い方!あの立ち姿!!そして顔!!!
ありがとうイケコ、
ありがとう『グレート・ギャツビー』。
月城さん、貴方こそギャツビーです。
(そろそろやめい)

私は、月城さんの凄いところは、
回想シーン等がなくとも
「役の舞台上にいる“今”の時間だけでなく、“過去”の時間をも表現できる」
ところだと思っています。

彼女のルイジ・ルキーニも観てほしいんですけど(宣伝)、瞳、声、台詞の強弱、仕草、佇まいそして歌…五感のありとあらゆる全てを使って、その人の人生を「今」の場面だけで、表現する。

もちろん脚本・演出による説明もありますが、
月城ギャツビーの芝居の1つ1つに彼のこれまで人生が詰め込まれているのです。
言葉で語らずとも、月城ギャツビーが海乃デイジーを見つめる瞳を客席から観るだけで、

「真面目で誠実で、努力し続けても、時代が、社会が彼を許してくれなかった」

「彼女のためだけに自ら危ない橋を渡り、泥沼を這いつくばってきたんだこの人は」

「いつしか彼女だけが彼の生きる希望になっていった」

「ギャツビーさん………それだけデイジーの事を………(涙)」

と、いつのまにか感情移入させられるのです。
強みも弱みもたくさんある、
人間味が豊かなギャツビー。

『グレート・ギャツビー』には、
人の善とは言えない部分も多く出てきます。
禁酒法時代のアメリカで裕福ではなかった彼が、
別の世界に生きる1人の人間を愛した話を
骨太に演じられるのは、月城かなとだからこそ。

デイジーにだけ見せる優しい目や甘い声が
とっても素敵でした。
彼が歌う『朝日が昇る前に』からは、
彼の黒い過去も思い描く白い希望も、
全てが伝わってきて、
彼を愛さずにはいられなくなりました。
月城ギャツビーさんに睨まれたい人生だった…
(フィラデルフィアからの電話を取り次ぎたい)


ゴリゴリの月組芝居
〜あの日、私は1922年のアメリカにいた。〜

そして、この月城さんのお芝居が活きるのは、
月組だからこそ!!
そう感じられる作品でテンションが爆上がりです。
月組観劇の時、
「ヒイ〜〜!月組芝居浴びてる〜〜〜!」
って感じる瞬間が1番好き(笑)

正直、やはり共感できるキャラクターは少ない(爆)
けど、

「そうね…デイジー…貴方の人生だものね………」
(何ポジ?)(少女マンガのヒロインの謎の友人ポジ)

と納得させられてしまう、
ゴリゴリの芝居力をもった役者揃いですよね。

(共感を得られないヒロインランキング2022優勝筆頭候補のデイジーをあれだけの絶妙な匙加減で演じる海乃美月さん、流石です…………)

(最低小物クズ男ランキング2022優勝筆頭候補のトムをあれだけの絶妙なバランスで演じる鳳月杏さん、流石です…………)

(挙げればキリがないんですが、アイスキャッスルの全ての役者のソロアングルを下さい………)

月組さんは群衆芝居が上手な組だと思っているのですが、役が少ないこの作品で、上級生から下級生まで組子1人ひとりがしっかりその世界観を作るための芝居を舞台の至るところでしています。
ギャツビーのパーティー、灰の谷、そしてアイスキャッスル(強調)
場面の端から端まで至る所に物語があって、見応えありまくり。
一度じゃとても見切れません!

ラウルさん(夢奈瑠音さん)!!!!!
蘭世ちゃんとの関係を教えてくれませんかーーーーーーーーーー?!?!?!?!?!?!


正しさってなに?

この作品の最も強いモチーフ・『神の目』。
そして、大ナンバーの『神は見ている』。

人がした事は事実として挙げられるけれど、
その意味合いは立場や状況によって変わってくる。
『神は見ている』けれど、
『神の手が足りなければ 人が代わりを果たす』から、
正しいかどうかは結局のところ
裁く人に委ねられてしまいます。

ギャツビーとデイジーが選んだ道は、
とある人から見ると間違っていたかもしれないし、
また別の人から見ると正しかったのかもしれない。

物事には多面性がある。
少し前から流行っている歌に、
『君たちったら何でもかんでも
分類 区別 ジャンル分けしたがる』…
という歌い出しのものがあるけれど、
そもそも物事は一緒くたにできないものだと
痛いほど感じさせられました。


ギャツビーの葬式の場面、墓石に掘ってあった
「14:12」の数字が気になって調べてみました。
ギャツビーが亡くなったのは、
朝日が昇る前なのになぜ14時12分?と思ったので。
これはよく見ると「proverbs 14:12」で
聖書の内容だったみたいです。時間じゃなかった。
14:12には、

「人が見て自ら正しいとする道でも、
その終りはついに死に至る道となるものがある。」


との事が書いてありました。
これさああ…

本当、誰がこれを掘るって言ったの(涙)(涙)

ニックなのかな。
ギャツビーの生き方を唯一肯定した人だから。
この作品が「何を伝えたいのかわからない」と思っていた自分を盛大に恥じたのでした。


最後に、好きな場面を挙げると、
ギャツビーとデイジーが
『入り江がひとつだけ』を歌う場面です。
2人の間にあるのは小さな入り江がひとつだけよ〜
と気持ちを確かめ合う場面なんですけど
(そのまんまかい!)
歌う時、身体ごと見つめ合ってはいるんですが

ソファが2人の間にあるんですよ!!!

2人の間の障壁を暗に意味している、
ニクい演出だなあ〜と思いました。素敵。
『時は戻らない』も好きです。
あとはアイスキャッスルの全て(しつこい)


この作品は観る人によって感想が違うから、
感想を漁るのも楽しいです。(笑)
新しい発見もあったり。
またそんな作品を観劇したいな〜と思ったのでした。

では!読んでくださりありがとうございました。

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