初めての、恋

昨年度の記事の続き。
ざっとおさらいすると、著者は現在中高一貫校の高校3年。春に吹奏楽部を引退し、今は受験勉強に励んでいる。そんな著者は部活の同期でクラリネット吹きの女子と同じクラス5年目。今や友達以上の関係になっている彼女(以下M)に、著者はただの友人とは違う思いを感じつつあった。

高校3年になってやっと、まともにできた行事の数々。6月の音楽祭、9月の文化祭では著者もMも運営側の位置付けで、忙しいながらも3年ぶりの行事に全力で向き合い、心から楽しんだ。
そんな日々の中で、Mへの思いへの違和感は確信に変わっていった。
これは、恋心だ。そうとしか思えなかった。

行事を終え、入試が近づく。放課後学校で自習する人が増え、著者もMもその一人だった。必然的に一緒に帰る毎日。気が付けば、Mに会うのを楽しみに登校している自分がいた。もう、好きでたまらなくなっていた。
でも、Mとの関わりはもう6年目。向こうに著者への恋愛対象としての認識など、微塵もあるはずがない。好きな人と二人きりで話して、帰れて、この上なく幸せなはずなのに、ふと一人になると虚しさを覚える。Mにとって著者はただの仲のいい友達、それが痛いほど分かっているからだ。こんなに近い距離にいるのに、というもどかしさが一層思いを強くさせる。その循環に一度はまったら、もう苦しいほど好きになるまでそう時間は掛からなかった。話しているときは女神のように見える笑顔も、夜に家で写真を見れば著者を苦しめる存在になった。

部活の同期との関係もある手前、この思いをどう処理すべきかずっと悩んできた。同期内でもMとは仲良しで通っているものの、恋愛となれば話は全く変わってくる。今の平穏なバランスを崩さぬためには、著者が我慢するのが一番かもしれない。行動しなければ、誰にも迷惑は掛けない。これまで通り、親友としてMと接しさえすればいい話だ。

そんな思いと裏腹に、日に日に増してゆく好きという気持ち。これを隠し通したとして、卒業後に前を向けるだろうか。気持ちを整理して、踏み出せるだろうか。

答えは、決まった。

3月中旬、卒業式予行の日。
著者の思いが実るかは、そこで決まる。

(続編予定あり)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?