10/11 黒木渚 器器回回ツアーライブハウスセット最終日 KTZeppYokohamaと、小説器器回回の感想文

ツアーファイナル(のはずだった)の今日、関東の会場は近くていいなと思いながら電車に揺られる。まじで行きやすい。
前回の名古屋は知らない土地だったし、まだ会ったことのない友達と約束してたからちょっと緊張していたけど、今回は横浜。
あと数駅先に行けば、昔の男が住んでいたアパートがある。東戸塚駅に降りたら、私は懐かしくて咽び泣くだろうか?と思えるくらい近い場所。
今回は2階席だしね、ゆっくり堪能しますわ〜。
そんな気持ちで臨んだ会場。席は宮川さん側。
ゆったりシートに座って、友人から借りた器器回回を読み始める。

ナルセは、私の友人によく似ていた。いや、正確に言うと私の友人たちが持つ特徴を、ナルセも持っていた。
ある友人の不器用なまでに真っ直ぐな心と態度。また別の友人の才能と、それを鼻にかけない生き方。また別の友人の頑固さと、自覚のない美しさ。
見覚えのある要素たちを見て、少し笑えた。
そうだ、私は彼女たちが羨ましい。才能があることも、曲げることが出来ない自分があることも、その伸びた背筋の奥底にあるものを理解出来るものだけが、私の隣に立っていいという態度も。全部全部羨ましくて堪らない。羨ましくて羨ましくて、だからこそ私は彼女たちの隣で、訳知り顔でにこにこしてる。
この子はこういう子なの。ちょっと変わってるけどいい子でしょ、私はこの子が大好きなの。男が近づくなら幸せにしてくれなくちゃ絶対ダメ。上司でも後輩でも客でも、この子を傷つける人は絶対許さないんだから。
隣でそう言って才能ある友人たちを守っているような顔をしてれば、彼女たちは私を大事な友達にしてくれた。
それで良かった。私は何も持ってないから。
そして私は追いかけるアーティストすらそういう女性を選んだ。これはもう性癖だ。私は生まれ持って、強くてかっこよくて、でも本当は不器用で弱くて、今まさに助けて欲しいであろう時に心を閉ざしてしまう女が好きなのだ。
そういう人に、ずっとそばに居るからねって言う自分も好きなのかもしれない。
なーちゃんを好きでいることは、究極の自己愛というか、自慰なのかもしれない。
ライブ直前、やっぱりこんな服似合わない!と明日着る予定だったワンピースに着替えるほど、自己嫌悪に苛まれながら到着した私が至ったその結論は、やっぱり私に自己嫌悪をはいどうぞと渡してきたけど
なーちゃんのような潔白な人を推してる私だってきっと、少なくとも潔白さに憧れはあるんだから、親切な顔した詐欺師よりマシなはずだ……ってそんなこと考えてる間に照明が消えた。いかんいかん、今日はそんなことよりなーちゃんに会いに来たんよ。自己嫌悪ないないしよ。

黒木渚のファンならば、絶対に手拍子してしまうイントロを聞いて「ここの口上、マジでずるい。そんなの好きになっちゃう」なんて思いながらゆっくり瞬きした。イメージは緞帳を上げる感じ。
よし、始まった。最高の夜が。
ライブが始まり、ギターを背負って歌うなーちゃんの、暴れ回る袖や肩の関節の丸みを観ながら思った。
名古屋での夜は熱に浮かされたようだったけど、今日はなんだか芸術や演劇鑑賞のような穏やかな気持ちだなぁって。
私にとって神様だった黒木渚は、前回のライブで人間になった。悲しみだって苦しみだって、みんなと同じように抱えた人間。全知全能のスーパーヒーロー的唯一神みたいに崇拝してる気持ちももちろんあるけど、自分が信仰している人が現人神ではなく、人なのだという理解を得たからこそ抱く気持ちもある。親しみとか、そんな感じのやつ。
単純になーちゃんが乗っている板との距離もあるけど、今夜は本当に堪能させてもらいますよやっぱ。予定通りに美術館のテンションでね。

2階席に座ってると、ギリギリ鬱って診断される前に行った檸檬の棘ツアー思い出すなぁ。あん時は涙止まらんかったわ。
うわぁ、この曲やっぱ好きだし、「エクスタシー」の今の言い方めっちゃセクシー。
ダ・カーポやってる時は絶対柏倉さん見ちゃう。リズム隊かっこいいなあ。宮川さんもセクシーやわ。
うんうん、今ならわかるなぁ最高すぎて苦しいって言葉の感覚。私も今そんな感じ。
ブルーってやっぱ、曲の完成度めちゃくちゃ高い。この曲に救われる人きっと沢山いる。
器器回回、めっちゃ好きなんよなぁ。芸術的。
落雷もめっちゃいい。最近の曲ほんと好きなんよね。
死にたての愛、捨てたこともあったなぁ。バ先のゴミ箱にペアリング投げ込んだなぁ。
Gatsby聴くと、なーちゃんが私を見ててくれてるんじゃないかなって錯覚するよ。
銀河ワプ美のあの衣装だけはまじでごめん、ちょっとニヤッとしちゃうんよな。笑

こんな風にね、今日の私はすごく落ち着いて楽しんでました。
両隣が落ち着いたおじ様だったってのもある。
オレンジジュース飲んだり、時々は手を叩いたりなんかして、めちゃくちゃ優雅に楽しませてもらって
この最高すぎるライブ、来月は無いのか……次は宮崎か……なんて、遠すぎる楽しみな日に思いを馳せて気が遠くなるなどしました。

ライブ後はファン友達たちとお酒を飲み(泥酔して申し訳ない、ありがとうね)、ホテルに戻ってから器器回回の続きを読んで
気まぐれに去っていった命を、取り戻そうと足掻くナルセを見て、やっぱり思った。
なーちゃん、やっぱり私あなたが好きよ。
友達みたいに好きだし、お姫様でも神様でもあるし、とにかく好き。
内緒だけどね、私も自分の健康を奪った者たちのために火つけてやろうと思ったことある。ナルセのそれとは少し違うかもしれないけど、ちょっとだけわかるよ。
狂気じみた妄想をしてる間も自分の中の誰かが私を止めて、自分の中の誰かがいいぞもっとやれと言う。
その声がひとつになり、もっとやれしか言わなくなった時、もしくはその声が一切聞こえなくなった時、きっと私はあの店と一緒に焼け死んでいただろうなと思う。
一寸先の狂気に踏み込めなかった私が、今夜音楽に浸ってたらふく酒を飲み、ご機嫌で眠る。
この瞬間をくれたのは、なーちゃんの「ウェット」だったんだから、なーちゃんのこと嫌いになれるわけないよね。

これから先もなーちゃんの作品に、人間臭さを見出して誰かや自分と重ねて、一生自己愛とセットであなたを愛していたいです。
最高!だいすき!
めちゃくちゃ酔っ払ってるからこの辺で書くのやめとく。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?