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ケアマネジャーは誰の味方か?~現在の環境から論じる~

ニッセイ基礎研究所主任研究員
三原岳

新聞記者を経て、シンクタンクの研究職として、医療・介護制度の調査・研究業務に従事しています。
国や自治体の役人だけでなく、専門職や市民組織などと接点を持ちつつ、利用者視点や現場本位の情報を発信しています。


ケアマネジャーは本来、「利用者の代理人」として、利用者の味方になる必要があるが、高齢者、介護事業所、行政(国・自治体)の間に置かれた立ち位置の難しさを俯瞰する必要がある。


■ケアマネジャーは誰の味方か?(1)~立ち位置の難しさを俯瞰する~

皆さん、初めまして。ニッセイ基礎研究所の三原岳(たかし)と言います。今回から1年間、コラムを書かせて頂くことになりました。併せて、今年度は「紡ぐ会」の研修、講演にも携わる予定です。私はケアマネジャー(以下、ケアマネ)や専門職ではないため、現場の実践や方法論に弱いところがありますが、「ケアマネがケアマネたりうる為に、私たちの言葉や想いを紡ぐ」という会の趣旨に沿って、できるだけ皆さんの周りで起きている出来事を俯瞰しつつ、ケアマネジメントの充実に向けた論点や方向性などを考察したいと思います。

いきなり挑発的なタイトルにしたのには意味があります。
恐らく「ケアマネは誰の味方か?」と聞かれれば、多くのケアマネさんは「利用者さんのため」と答えると思います。ひょっとすると「利用者の代理人(代弁者)」という答えを返す人もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、その答えは正解であり、異論の余地はありませんが、果たして日々の仕事で実践、貫徹できているでしょうか。
例えば、「事務負担が多いため、なかなか利用者さんに向き合う時間が足りない」とか、「市町村の地域ケア会議に呼び出されて吊るし上げを食らっているので、自信や意欲を失っている」「親会社のプレッシャーが強いので、その人に合ったサービスやインフォーマルケアを調整しにくい」「研修などの機会で、『インフォーマルケアを入れろ』と言われていると、介護保険サービスを組み込まないと報酬を受け取れない現行制度では、タダ働きを推奨されているようで、不思議な感覚に陥る」といった悩みや不満を多く抱えているではないか、と思います。

では、こうした出来事はなぜ起きるのでしょうか。

その答えについては、

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