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モデルハウス見学の一幕での気づき

最近、戸建て住宅の建替え相談が増えています。相談の中で、「ハウスメーカーはダメだと聞くから」と言われる方が時折いらっしゃいます。その根拠は誰かから聞いたり、ネットで読んだりした情報です。設計事務所の中にはハウスメーカーを批判的に捉える声もありますが、規模による価格競争力や研究しつくされた独自工法など、その企業ならではの強みもあり、私はハウスメーカーも批判的にはとらえていません。

なのでお客様によってハウスメーカーの方が向いていると判断すれば、お勧めすることもあります。ある時、間取りや性能、使用する素材などにこだわりを持つお客様が「これだとハウスメーカーでは無理かと思って」と相談に来られました。

情報を整理したスタッフは「ハウスメーカーの方が金額的にも性能的にも要望に合うようですが、正直に言ってもいいでしょうか、うちの仕事じゃなくなりますけど」と相談にきました。「お客様のためになる方法が大切だろう」とその方にはハウスメーカーの情報もお伝えしました。

もし自分たちの手柄にするために黙っていたとしたら、お客様にとっての価値を奪うことになるかもしれません。そしてきっと後にじわじわと自分たちがダメージを受けることになると思います。

また、ある時やはりハウスメーカーを選択肢に入れても良いのではないかという方がいらっしゃいましたのでモデルハウス見学をお勧めしたところ「丸め込まれそうで怖いのです」と不安を口にされ、そのまま私はモデルハウスに連れていかれました。身分をかくしたまま、数週間前に見学したばかりのメーカーさんも見学しました。前回は設計担当の方から構造や性能について詳しく説明を受けていて『さすが大手』と感じ、安心感を抱いていたメーカーさんでした。

しかし、実際にモデルハウス内に入ると、案内していただいた方はマニュアル通りに説明していき、お客様の質問や興味をくみ取らずに端から説明していました。お客様は黙って聞いていましたが、興味がなさそうで時間も気にされていました。私は「これについて知りたいんですけど」と何度も口を挟むことになり、最終的にはお客様と事前に決めていた『帰りたいサイン』によって見学は終了しました。

この日いただいたお礼は私のポケットには入れず、きちんと売上として計上しています。もしかしたらこんな形で私たちのスキルがお役に立つという道もあるのかもしれないと気づいた日になりました。

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