風の大地

風の大地



風の大地を歩ける者でありたい

たとえ、ビルが立ち並び
排気ガスが絶えない街で
生き物の入り込む隙間もない
コンクリートの上を歩んでいても


私の周りには、
どこまでも続く大地が広がっている
碧空を仰ぎ
風の声に呼応しながら
両手を広げて
ただただ果てしない緑の地を歩む

鳥の鳴き声を、風の声が追いかける
私は大地を踏みしめ、大地は私を押し上げる

大地を分断する人間の痕跡と
時間を分断する人間の営み
そんなものは虚構にすぎない
私は人間である以前に、
たった一つの生命である

私の前で虚構の街が崩れ落ち、
無限に広がる孤高の大地と
全てを包み込む碧い空だけが残った

太陽と
瞬く星々が
私をいつも正しい方向へと導いてくれる

雑音の中に潜む
本当の声
私だけに話しかけてくる
数多の声たちだけに
耳を澄ませながら

私と世界
世界と私

私である世界と、
世界である私を引き連れて、
果てしなく続く風の大地を
優しい愛で迎え入れながら

ただ一人、
ゆるぎない歩みを続けられる者でありたい


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