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スリランカで初めてのパンチャカルマ体験~私が私に戻っていくまで①~


アーユルヴェーダを勉強し始めてかずっと行ってみたかった場所、
念願のスリランカに11月に2週間滞在してきました。

アーユルヴェーダの国で何を体験し、何を感じたのか、
この貴重で大切な体験を忘れてしまわないように書き残していきたいと思います。

まずは2週間どのような生活をしていたのか、アーユルヴェーダのパンチャカルマとはどんなものなのかについて書いていきたいと思います。
その後体や心に起きた変化や気付きについても別の記事にしていきたいと思っています。


アーユルヴェーダの浄化療法パンチャカルマとは


アーユルヴェーダでは私たち人間はワータ・ピッタ・カパと呼ばれる3つの生命エネルギー(ドーシャ)を生まれつき持っていて、そのエネルギーによって呼吸・消化・代謝・排泄などの生命活動が行われていると考えます。
私たちは全員この3つ全てのドーシャを持っていますが、どのような割合で持っているかは人それぞれで、その割合によって体や心の特徴、行動パターンに違いが生まれます。

病気になるメカニズムにもドーシャは深く関わっていて、アーユルヴェーダではドーシャが増えることによって病気になると言われています。
ドーシャという言葉はもともと「乱れやすい・汚れやすい」という意味があり、生命エネルギーである3つのドーシャは行動、食事、生活習慣、時間、天気など色々な影響を受けて絶えず増えたり減ったりしています。
そしてドーシャに影響を与える行動や食事を繰り返していると段々とそれはは蓄積され悪化し病気へつながるというわけです。

その為この増えてしまったドーシャを下げることがアーユルヴェーダの主な治療になります。
浄化療法であるパンチャカルマも体の中で増えてしまったドーシャを排泄させ、人が持って生まれた本来のドーシャのバランスに戻すことを目的としています。
ドーシャのバランスが整っていると健康でその人らしく生きられるということなのです。

もう少しパンチャカルマについて説明すると、
パンチャカルマとはパンチャ(5つ)カルマ(治療)という意味で、文字通り
1.ナスヤカルマ(点鼻療法)
2.ワマナカルマ(嘔吐療法)
3.ヴィレーチャナカルマ(下剤療法)
4.ワスティカルマ(浣腸療法)
5.ラクタモークシャナ(瀉血療法)
の5つの方法があります

またパンチャカルマには3つの段階があり、
まずは前処置で消化力の向上、オイルマッサージやオイルの内服などによるオイル療法、発汗療法が行われ体を浄化しやすい状態に準備していきます。
そして実際に5つの浄化療法を行う本処置が行われ(どの浄化療法を行うかは人それぞれどのドーシャが乱れているのかなどによって異なります)、
最終調整と浄化療法で疲れた体を整え滋養する後処置へと進みます。

初日にドクターとのコンサルテーションがあり、問診に加え、脈、鼻、舌、目、体などをドクターが実際に触ったり診たりしてプラクリティ(持って生まれたドーシャのバランス)とヴィクリティ(現在のドーシャのバランス)を診断、それによって1人1人に最適な治療法と薬草オイル、食事のメニューなどが決められます。
同じ症状を持つ人でもプラクリティの違いや症状をもたらす原因の違いから治療のアプローチの仕方は変わってきます。
これがアーユルヴェーダの面白いところで、私たちはみんな違っていてそれぞれが唯一無二なのだということを実感させられます。

実際にどんな体験をするの?

ここからは実際に私が体験をしたことや、トリートメントを受けた感想などを書いていきたいと思います。

初日のドクターとのコンサルテーション

体質(ドーシャのバランス)を診断するための問診票に加え、ドクターから睡眠、排泄、食事、仕事、家族、住環境、趣味、体の気になるところなど色々な質問を受けそれに答えていきます。

質問に答えている間ドクターの指はずっと私の左腕の脈の上にありました。

その後舌、目、鼻、体を実際にドクターが見たり触れたりして診察していきます。

そしてドクターが診断してくれた私のプラクリティーはピッタ・ワータ
でも今の私はカパがかなり乱れているということでした。

こんな風におおよそのパーセンテージでドーシャを教えてもらいます

カパが乱れているというのはかなり自覚していたところで、
変化を恐れていたり、モチベーションが上がらなかったり、感動とかワクワクすることが少なくなっていたり、心が重くなっている状態が続いていて、
そのことが今回パンチャカルマを受けたかった1番の理由でした。

その他にも私の脈を診ながらドクターが「すごくストレスが溜まっているね」と。

ドクターからは体は元気だから大丈夫、でも心が疲れているから
Always be happy and relaxという言葉と、
カパをこれ以上増やさないために時間がある時はビーチを散歩したり、昼寝はしないことなどのアドバイス、滞在中に出される薬の説明を受けてコンサルテーションは終了しました。

毎日飲んでいた薬達
黄色い粉のトリファラが強敵でした 笑

脈診から色々なことが分かるというのは聞いていましたが、実際に心の重さについて話す前にドクターから指摘されたことにはやはり驚きました。

Always be happy and relaxというシンプルな言葉は、その時の私にとってはとても大きく重みのある言葉でした。

トリートメント

滞在中には色々なトリートメントを受けましたが、その一部についてご紹介します。

①Shiro Abhyanga シロアヴィヤンガ
ヘッドマッサージのことでドクターによって選ばれた薬草オイルを使って行われます。
頭を鎮静させ、ストレス緩和や睡眠の質の向上につながります。
私のようにいつも頭が動き回ってる思考型の人にはとても効果的で、個人的には1番好きなトリートメントでした。

②Abhyanga アヴィヤンガ
ボディーマッサージの1つで体にオイルを塗りこんでいくことを目的としています。
薬草オイルにはワータを鎮静するオイル、ピッタを鎮静するオイル、カパを鎮静するオイルとそれぞれにあるので、これもドクターによって適切に選ばれたオイルが使われます。
今回の滞在で2人のセラピストさんが両側から同時に施術をしてくれるアヴィヤンガを初めて受けることができて(日本では1人のセラピストさんによる施術が多いです)すごく贅沢でした。
時々小声でセラピストさん同士がコソコソ会話しているのも可愛かった。

③Shirodara シロダーラ
シロダーラポットで額に上から温かいオイルやハーブの煎じ液を流していくトリートメントでアーユルヴェーダと言えばこのシロダーラを思い浮かべる人が多いと思います。
脳に働きかけ自律神経を整え、深いリラクゼーションへと繋がります。
とても繊細なトリートメントなので終わった後は帽子を被り、強い日差しには当たらない、できれば読書などもせずに部屋の中でゆっくりと過ごすことなどのアドバイスを受けました。
このシロダーラ、一緒に滞在している人の中には深い瞑想状態に入った人や幸福感を感じた人もいた一方で、体のだるさを感じたり頭が痛くなったりした人もいました。中にはシロダーラを受けてこれからの人生について思考がクリアになったなんて人もいて本当に人それぞれに違った体験をされていました。

④Udvartana ウッドワルタナ
ウッドワルタナもボディーマッサージの1つでハーブのパウダーを使って行われます。
肌の上でハーブパウダーを擦るため強い刺激があります。
新陳代謝を上げ痩身の効果があり、カパを鎮めるために行われるマッサージでもあります。
私は今回初めてウッドワルタナを受けましたが、正直結構痛かった 笑
でも施術の後は体がすごく軽く感じて「今すぐ走り出したい」って思うぐらいスッキリしていました!運動をしていい汗をかいた時のスッキリ感に似ているのかなと思います。
カパを鎮める為のマッサージということにすごく納得がいきました。
肌をスベスベにするハーブが使われるのでシャワーの後は全身がしっとりしていて、これもウッドワルタナの魅力です。

この他にもフェイスマッサージやフットマッサージ、ピンダスウェーダという発汗療法など様々なトリートメントを受けました。

主にシロダーラの施術を受けた部屋

アーユルヴェーダの食事

1日3回の食事は滞在中の1番の楽しみでした。
朝はたっぷりのフルーツとコラキャンダと呼ばれるスリランカの薬草粥、
昼は1番消化力が高い時間なのでスープ、豆や野菜の前菜、カレー、デザートと3食中1番ボリュームが多く、
夜はスープ、カレー、デザートと出ますが昼よりも少ない量でした(アーユルヴェーダでは夕食は少なくするとされています)。

スリランカの料理は辛いイメージですが、アーユルヴェーダで辛味はワータとピッタを乱してしまうのでほとんど辛い料理は出てきませんでした。
出てきたとしても黒コショウがピリッとしていたり、チリが少しスパイシーに感じられる程度で日本人にとっても安心して食べることができました。

食事はとても印象深かったものの1つで、
新鮮な材料で丁寧に作られたご飯ってこんなにも優しくて、スーッと自然に私の中に入って溶け込んでいくんだということを教えてもらいました。
食べたものが私の一部になっていく、そんな感覚を味わいました。

食べた後も全く体が重くなく、丁寧に作られたものを丁寧に食べると心が満たされて少量でも満足できることを知り、食事をするということの本当の意味と大切さを知るかけがえのない体験となりました。

よく「You are what you eat.(あなたはあなたの食べたもので出来ている)」という言葉を聞いたりしますが、この言葉は間違いないと身をもって知る経験となりました。

お昼のメイン料理
自分の体質に合った物が提供されます

何もしないことをする、ただ自分を観察する

食事とトリートメントの時間以外は何も決められたスケジュールはなく、
自由参加で朝のヨガや太極拳、夕方の瞑想などのアクティビティーが用意されていました。
それ以外はただ何もしない、朝は星や朝日を眺めビーチを散歩する、昼間は太陽の光を浴びながら波の音を聞いたり自分のその時の気分に合った本を読んでみる、夕方には沈んでいく太陽を見て、夜には自然と眠りにつく。

私はスリランカに行く前に1つだけ決めていたことがあって、それは自分を観察すること。

日本での生活はやらなければいけないこと、周りの人たちの声、テレビやインターネットから溢れる情報、SNS、さまざまなものに影響されて自分はいったい何を感じているのか、何を大切にしたいのかを見失いそうになることがあります。
自分を知りたくて観察したくても時間がなかったり(たとえ時間があったとしても、ただゆっくり自分を観察するだけなのは生産性がないような気がしてできないのかもしれない)、外側の声が大きくて自分の内側の声が聞こえない、
そんな風に感じていたのでスリランカでは携帯電話からも距離を置き、自分と時間を過ごすこと、自分の感情を深く見てあげること、それだけをしようと決めていました。

自分1人だけでたくさんの時間を過ごしたスリランカでの滞在は自分と会話をするのに最適な環境でした。
毎日のトリートメントで体も心もゆるみ、セラピストやホテルスタッフの皆さんの笑顔や優しさ、ホテルで出会った皆さんとのリラックスした楽しい会話が心を幸せにしてくれる。
そんな中で自分をよりクリアに感じることができたと思います。

どんな気づきがあったのかはまたゆっくりと書いていきたいと思います。

自分のこともこの世界のこともまた少し好きになれた、
それはアーユルヴェーダの優しさに触れることができたからだと思います。
アーユルヴェーダは科学であり、きちんとした理論に基づいているけれど、もっと内側に優しさがある、それは人に対しても自然に対しても。
それに気付くことができてもっとアーユルヴェーダを好きになったし改めてアーユルヴェーダに出会えてよかったと思えた、そんなパンチャカルマ体験になりました。

毎日綺麗に飾られていたお花
セラピストさんは毎朝お花を飾ることからスタートされていました
これも優しさ


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