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大河ドラマ「光る君へ」第十四話「星落ちてなお」所感

 今回は、史実上のネタバレを含みます。ドラマよりずっと先の話も出てきます。ご了承ください。

兼家パパの終活

 息子たちにあとを託して、鼻歌混じりで出家していく兼家パパ。もしこれが史実だったとしたら、本当に周到に生きた人だったと思います。以前にも少し妄想しましたが、夜中に急遽晴明を呼び出した夜までは、やはり演技が濃かった(もちろん、身体の衰えは多少あったでしょうが)ようにさえ見えてしまいます。少なくとも今回は、妄言がほとんど見られませんでした。
 三兄弟の反応も折り込み済み。道兼はブチ切れるだろうし、道隆はただ素直に従うだろうし、道長はダンマリで見ているだろうし。ここまできたら、視聴者も予想できますよね。
 道綱と寧子さんにもちゃんとお別れ。史実かどうかは別にして、寧子さんよかったね。「蜻蛉日記」は兼家のサポートがないと世に出せなかった(紙高いしね)とも言われているので、憎み合ったわけではないのは確かでしょうね。
 それにしても、段田さんが一回り小さくなってしまったのではないかと思うような見事な最期でした。青い花びらが遺体の周りに散っていましたが、彼自身は生ききったのでしょうね。お見事。

今後が心配 ①道兼

 本人が、というより道兼の言動が道長やまひろ、次世代(一条帝・二人の妃・伊周他)を苦しめることにならないか、という心配です。
 兼家パパ、道兼に「一緒に出家しよう」くらい言ってあげてもいいのに。自分が頂点極めるために、昔彼の悪行を「なかったこと」にしたのだから、責任あるでしょうよ。息子として、彼を俗世から退かせるくらいしたら、兼家パパ完璧だったのに。んでさ、ずっと一緒にいようって言ってあげたら、多分道兼の拗らせた愛着も成仏できたよ。
 まぁ、ドラマでは飲んだくれてましたけれど、史実として道兼はこの後また出仕するようになりますので、八方美人の道隆にいちゃんにまた騙されるが如く使われたらいいとも思います。兼家パパが言ったように、彼はあくまで人間の最大のタブーである人殺しを犯した人ですからね。兼家パパはいざという時に怨霊や呪詛を本気にしていない感がありましたから、昔の殺人をここでも言うと言うことは、やはり命を多少とも重んじていたのでしょうか。本音と建前が、当時の貴族としての建前(庶民の命を軽んじる)へ向かってしまうのでしょうか。道兼は「たかが庶民の女の一人くらい」と思っているでしょうから、本当に命を重く受け止められないのでしょうね。
 でも、恨み倍増で暴れるのだけはやめてほしい。伊周の失脚は道兼の死の後?
 後もう一つ、奥さん出ていきましたよね。ということはあの家は道兼が構えた屋敷?繁子さんは妾?娘の尊子ちゃんは結局どうなる(この辺はあまり詳しく調べてない)? 本人は史実上ろくな最期ではないですし、花山院の事件や彼の最期から逆算してああいう人物として描かれたのでしょう。でも、周りを不幸にするのはもうやめて〜。

今後が心配 ②明子女王さま

 これは、ご本人が心配。あの扇がぶっ飛んだのはどういう意味でしょう?解釈動画を見ると、兼家パパの最期トドメを指したことを表している感じに解釈されている気がしました。ただ、呪詛って晴明くらいなら分かるし、跳ね返せるし。だから子どもが死産になってしまったのでは?いや、むしろ呪詛成就の形代に子ども取られた?あと、めっちゃどうでもいい話ですが、明子さまが呪詛の最後にやーって呪いを放って、扇がバン!と倒れるシーン、昔やっていた遊びを思い出しました。小さな紙を二つ折りにして立てて、自分の両ほっぺから風を持ってきてやーと当て、紙をパタンと倒す遊び。だから、本当は明子女王さまのオッソロシイシーンなのですが、ちょっと可愛く見えてしまいました。
 何はともあれ、兼家パパが亡くなって、明子女王さまはある意味目的を失った感じがしなくはないです。このドラマでは「みんな道長が大好き」設定になる気がするのと、史実として明子さまはこの後沢山子ども産むしで、どうやら道長の妻としては生きていくはずですが。燃え尽き症候群で命尽きてしまうとか、目的を達成したからもう道長のことなんてどうでもいいとか、そんなことにはならないでほしいです。阿部正弘役でにわかファンになりましたので、「カステラ」の笑顔をどんどん見せるキャラになっていってほしいと願うのですが……。

いとさんが面白すぎるのと、意外な背景

 為時パパとのやりとりに笑えました。自分で以前「行くところない」ってまひろに言っていたのに。為時パパの「今更何を」が秀逸。夫と息子を亡くしたばかりだったいとさんが、弟くんを大事に育てたのですね。
 以前、まひろが針を求めてましたが、あれはいとさんの仕立物のためだったのでしょうか。
 そして、兼家が亡くなったと宣孝さまが言った時のガッツポーズ。最高です。お暇退場しなくてよかった。
 一つ疑問なのは、彼女が「裾を引きずる」服を常に着ていることです。お嬢さんのまひろさんは相変わらず足首丈なのに。あれはまひろさんが好きで着てるってことかしらん。

その他雑感

 もはや、道長が兼家パパの遺体を抱き上げたところで、誰も「穢れが」なんて言わない。それにこの時代、やっぱり息子は忌引きしたでしょうから。それならいっそ思う通りにお別れしたんじゃないかしらん。そのために忌引きよ。明子女王さまを見舞ったのもらしい。どのみち喪中です。それでも、中宮と皇后の並立は「ありえぬ」なのね。
 婉子女王さま、親王の姫であるのはいいとして、もうこの際実資のお腹がお気に入りなのもいいとして、花山院の女御さまってどういうことよ。お手がついてなければ他に嫁いでいいってこと?古代の中国では手のついていない皇帝の側室を下げ渡すなんてこともあったやに聞きますが、皇位にある夫の譲位や出家や死に際して、別の人と再婚できるって言うのはなんだか珍しい気がします。
 たねちゃん、声が可愛かった。小さい頃の芦田愛菜ちゃんみたいでしたね。でも、まひろがたつじパパに怒鳴られたとき、なんだか「やっぱり」と思いました。「文字を知らない」という一点だけを見て突っ走ったまひろ。そして、それはまひろのための文字教室に他ならない。んでもたつじパパ、もうちょっと娘に優しくしたげて。
 「己のために生きることが、他の人の役にも立つ」道。古今東西老若男女みんなの願いですね。この時点で、まひろよりききょうさんの方が一段上ですね。まぁ、史実ではもっと年が離れていたらしいです(ききょうさんを若返らせた感)が、このドラマでの同世代からこんなことを言われれたまひろ。また一つハードルを上げて「己の生まれてきた意味」を探さなくてはならなくなりましたね。   
 今回のタイトル「星落ちてなお」のなおは何?なお覚束ず?

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

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