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大河ドラマ「光る君へ」第二十八話「一帝ニ后」所感

惟規謎の一言

 「無理……してないよ、別に」ってなんだろうな。普通に考えたら「宣孝さまの子じゃないって知っているけど、宣孝さまの子として育てることにしたんでしょ?じゃあ、父親に似ているところも探さなきゃ」って意味の気もする。けれど、それ意味あるのかな?ゲス展開にもう一人のまひろ(惟規=真宙さん)巻き込まないで。
 オリジナル展開がだいぶイタイですね。朝ドラの再放送も訳分からんセリフが多くなってきました。徹夜で書いてる?視聴者置いていってない?

女院さまが……

 先日の一条帝反抗期爆発によって、すっかり毒気も覇気もなくなってしまった詮子女院さま。けれどその覇気の無い様子に、いっぱいいっぱいの道長は(おそらく倫子さまも)気づく様子はありません。一帝ニ后に賛成するという言質を取っただけで、「女院さまのお言葉に帝は逆らえない」などと思いっきり地雷爆踏みしてお手紙をゲットします。人の気持ちや人を見抜く力、衰えているね〜。
 倫子さまにも「帝の好きなことを」などと聞かれて、ますます落ち込んで。次々に自分の子らの好きなことを述べる倫子さまに、セリフにこそしませんでしたが「いいわね、羨ましい。私もそうやって、帝を手元で大事に慈しんで甘やかして全てを見ながら育てたかったわ」と言わんばかりの切ない微笑みが、辛い。思ったよりダメージ大ですよね。空の巣症候群と、息子による母親としての人格全否定が一気に来て。倫子さまとの会話の最後、倫子さまの表情がちょっとだけ変わりますよね。これ、どっちでしょう「女院さま、何かあったのかしら」か、「そうだわ。帝を幼くして手放された(帝位についた帝を宮中へやった)方だった。お寂しいのになんてことを聞いたのかしら」か。

彰子女御さま

 「笛は見るものではなく聞くもの」のエピは、栄花物語であったようなのですが、本来彰子女御さまはこういう人。「仰せのままに」のセリフも、ローティーンに満たない少女が全てを分かった上、困り果てて出した一言だったように思えなくは無いのです。それ、私が何か言ったらいけないことでしょう?という代わりに。まぁ、独特の世界観持った人であることは、確かですね。
 本来は、詮子女院さまと歌のやりとりもあったようです。なぜそれは描かない。帝の代わりにとばかりに、自分が得た政治手法の全てを話して聞かせるなんてシーンがあればよかったのに。

行成くんのハイライト!

 もう、今回の主役と言っても過言ではない。何せ「定子が傷つく」から彰子女御さまの立后を迷う一条帝。もう、こいつあかんわとも思わせますが、とにかく定子中宮は傾国の美女ってことで。行成くんは、みんなが言いたいことはっきり言いますよね、ここで。こういう諫言をしてくれる側近がいたということが、まだ一条の恵まれていたところです。
 お上はお上。一般人のように一人の妻だけに全ての想いを寄せることはあってはならない。神事もできない中宮(後述)は、役割を果たしていない。(神に近いはずの帝が神事を疎かにするなんて!)だから天変地異が続くんだ。そのために左大臣は娘まで差し出したのに(あなたにも娘できたからわかるでしょうが)、あなたは腹括らんのですか。
 最後の「何もかも、分かっておいででございましょう。お上、どうかお覚悟をお決めくださいませ……お上。」が素敵でしたね。行成くん、男性陣によくモテるでしょうね。

中宮定子

 「これまで、己のことばかりでした」やっとお気づきになりましたか。でも、時すでに遅し、と、それをいうのが内裏の中っていうのが「本当に分かってんのか」感がすごい。それ言うならこのタイミングで内裏に入ってはいけないだしょ。「私はそもそも家のために入内した身、彰子さまと変わりません」「目に見えている姿だけでは無い(彰子も何かを企んでいるハズ)」と、密かに彰子女御さまをディスっています。この会話の流れだと「私はあなたを愛してはいないのよ」も、「彰子さまと同じ」ってことですよね。確かに「従兄弟として幼馴染としてお慕いして」はいたんでしょうがそれは夫への愛ではない。このタイミングで言わないといけない理由もよく分かりませんが、それでも「彰子は自分以下だ」としたこの論法も、なんだかな。そして、結局またお子ができて。あの、中宮さま前回皇子がお腹にいたとき「子を産める立場では……」って言ってませんでしたかいね?
 あと、最近また法衣っていうか袈裟?をお召しですけれど、還俗はしていないってことですか。この辺史実でもよく分かりません。行成が「出家した中宮」と言及していますし、なのに中宮から降りず神事のためのお手当も貰っておきながら仕事していないというのも、行成が諫言した実際の内容のようです。ですが、権記には定子が死んだ時「還俗した」と書いてあったらしく(それはそれで大問題だけれど)、ここはなんだろう、一応清少納言とかを気遣ったのかな。
 まぁ実際、藤原定子という人は、帝を愛していたわけでも帝を慮っていたわけでも無いのでしょうね。
 このドラマの定子は、キャラクターとしてとても機能していたと思いました。とても美しい人、可愛らしい人、素敵な人なのだけれど、皇后としての器がなかった。正妻としての器もなかった。だからパパ死んで兄貴を無理やり内覧にしようとしたし衝動的に髪下ろすしせっかく帝にこっそり会えても兄弟の罪を軽くしてなんて言うし髪下ろした責任も取らず中宮で居続けて内裏のすぐ近くに来て(寺へ行け)内裏にも足を踏み入れ三人も子どもを産む。ドラマの設定としてだけでなく、史実も交えて述べましたので、少なからず定子という人はこういう人だったのだろうと思います。むしろ、どこまでも美しい定子は、ドラマの美化設定として描いてもらった気もします。総じて、紫式部の主人公ドラマでの定子、こうでなくっちゃという感じでした。

明子女王さま、倫子さまの意外な姿

 明子女王さま、ビシバシの教育ママになってた(笑)。もともと身分の高い人で、もっと身分の高いところに養女に行って、こんなガツガツの子育てするとは思いませんでした。
 「うちでお倒れになれば」「我が夫を頼みます」の倫子さまも意外でした。こんな、対抗心バリバリを妾の前で晒すなんて。動揺していたのでしょうね。ちょっと最近の倫子さま、キレがないですね。

晴明のガツガツ

 立后の日付よりも、道長の体調改善の祈祷して。このガツガツ感が「クリーン道長の演出でしょ、気に食わん」という意見も散見いたします。それもあるのでしょうが、晴明は一条帝と定子に心底怒っているのかなと思いました。神事が国の根幹で、天皇はこの時代、私を捨ててでも神に尽くす身。だから国中の臣下や民が従うのでは無いのでしょうか。行成の諫言を聞いたら、飛び上がって喜ぶのでは。

その他

・御堂関白記の塗りつぶしは原本にもある。史実を描いているのに、そこ雑にやらないでちゃんとしよう。
・道長の夢に出てきたのは、本当は道兼だったらしい。まひろの前でいいから、出て来てほしかった。
・道長の危篤を聞いて未だにショックを受けるまひろを見ていられない宣孝さま。切ない。
・まひろの「逝かないで」が道長に届いたって設定ですか。いらんです。っていうか寝言で呟いて明子女王さまにバレてろ。
・まひろの夢見て、目覚めたら明子嬢王様がいて、その背中にすぐ手を回すことができる道長、こういう男ってサイテー。
・まひろ、どのツラしてムーブが多い。そしてちゃんと道長忘れたかと思いきや「逝かないで」と月の下でつぶやく。
・子守唄やお世話の仕方がわからないから、漢文を誦んじるしかないまひろ。もしかして、それしかそらで言えない?
・最後の伊周のギャーギャーはどうでもいいけれど、清少納言が定子を喪ったショックでそれに惑わされないか心配。まひろとは仲良し設定維持してほしいな。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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