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大河ドラマ「光る君へ」第八話「招かれざる者」所感

 ネタバレアラート。今回は、ドラマの先の回にあたる史実に関してもネタバレます。また、今回は私個人の妄想がいつもより多めにございます。ご了承ください。

まひろさんの変化はなし

 相変わらず、道長への想いを断ち切ったと自分に言い聞かせるまひろさん。この言い聞かせが、何より想いを断ち切れていない証拠です。今回、いろいろありましたが、まひろ自身はあまり変化のない回だった気がします。相変わらず女子会では若干浮き(まひろはどの男が良かったかとはきかれなかったけど)、ミチカネを憎みながら、本人の前でそれをぶちまけることはせず、散楽で暇つぶし。直秀との会話も、以前は三郎とああいう気楽な口をきいていました。つまり、身分に気兼ねせず話せる相手のところへ遊びに行く。そして、月を見上げて道長を思う。お月様が道長と重なってしまっては、そうそう忘れられそうにありませんね。

知らぬは道長ばかりなり

 道長さんは、本当に知らないことがたっくさんですね。あの、兼家パパが晴明に命じてよし子女御様(のお腹の子)を呪ったことは知らなかったっけ?漢詩の会を開こうって話の時に……してなかったでしたか、その話は。道兼のアザも、為時の家に道兼が行ったことも(知ってたら止めたでしょう、全力で)、直秀のことも。視聴者からすれば、直秀が屋敷のことをあれこれ聞いた時点で「あれま、次盗賊に入るはここか」と思ったのですが、道長はそうは思いたくなかったのでしょうね。ラストシーンの顔がすごうございました。おじいちゃんみたいになっっちゃって(失礼)。

優れた政治家であることは確か。兼家パパ

 兼家がぶっ倒れたとか他のことは後述します。この兼家パパ、ドラマ序盤のヒールだったのでしょうが、優れた政治家として描かれていることは確かです。そして、この政治力が道長に受け継がれるのでしょうね。兼家パパ、人当たりやお人柄はともかく(失礼)、為時パパにしろ実資にしろ、嘘がつけないタイプの人に、優れた政治家であると言及されてます。倒れる直前も、どう見ても兼家パパの言うことが正論、というかどう見ても義親があかんやろ、なんですが。為時パパの「義親、関白、左大臣ではこうはいかない」というのは本当なんだと思います。

転んでもタダでは起きない?どこまでが策略か。(妄想過多)

 兼家パパ、倒れちゃいましたね。軽い脳卒中か高血圧でしょうか。酒飲むシーン多かったですからね(違)。酒とストレスは凄そう。周りは政治的にどっか外れてる人ばかりですし。倒れたタイミングも、ここまでは特に変な感じがありません。ですが、この後の花山天皇退位事件のことも鑑みると、明らかに策略でしょうと思わせるシナリオでした。と、言うことで、どれが本当でどれが嘘か、私なりに妄想してみました。多分、結構外れると思いますが、個人の妄想なので、お付き合いください。
・出来事→嘘か本当か:理由 と述べていきたいと思います。
・兼家パパ倒れる→本当:おそらくは。そういうお年ですし、このタイミングで倒れても兼家パパにとっていいことはあまりない。ただし、これを必要以上に重病に見せて、この後の色々を仕組んだ可能性はあると思います。
・よし子女御様が取り憑いた→嘘、だと思う:最初に晴明がやってきて「瘴気が……」と言って息子達を追っ払い、二人になった時に仕組んだ可能性はあります。晴明一人の祈祷で、すでにあの時ある程度治しちゃった?あの巫女もグル。花山天皇によし子女御は成仏していないと思わせると、後に出家させるときの道具になる。巫女が道長の首を絞め始めた時点で、晴明の合図(もういいって)をすると、晴明が怨霊を封じたようにも見える。何よりも、兼家が何も知らずに巫女が「よし子〜」なんて言ったら、兼家寝たふりどころじゃない、取り乱すでしょう。
・道兼の虐待→嘘:兼家パパがパカっと目を開けるシーン、怖すぎます。そのシーンが挟まれているということは、ここから道兼が策略に参加したということかと思います。少なくとも、身体のあざは今回作ったものだと。ちなみに、帝が直に触れてくるとは思っていなかったのか(でしょうね、普通)、道兼の仰天した顔。為時パパ、以前「お体には……」って言ってたのに、帝が道兼に触れるのは止めないのね。そっちはいいのか?兼家は道兼を泥被りにしていることは確かですが、それによって道兼は父親の役に立っていると思っています。ただし、心理的虐待がゼロだったかというと、怪しいです。
・道兼の孤独→一部は本音:殴られたは嘘かと思いますが「兄弟とは違う扱いをされた」とか、「どこへ行っても居場所がない」は本音かと思います。だから、為時にとってもやたら信憑性があり、帝に告げるに至ったのです。もちろん、この「為時を使って帝に父とは不仲と思わせる」のは策略ですよね。花山天皇が兼家と対立しているのに、道兼と一緒に寺へ行くのはどうなってんのや?と思ってましたが、こうきましたか。
・為時パパと一杯やりたい→本当:これは、ひょっとして兼家パパとの計画にはないムーブ、道兼の一人での行動で、策略的なことは一切ないのかもしれません。為時パパがいい人すぎて、書庫で「おつろうございますね」なんて言っちゃって、道兼の孤独感を癒してくれそうな感じしちゃったから。家飲みの時には、兼家パパの話はしていないし、必要な情報は書庫で提示しています。主人公との対面というハイライトでしたが、正直花山天皇に取り入る策略には必要のないシーンでした。
 と、いうことで、後の火山天皇退位事件につながる策略があると仮定して、どこまでが嘘でどこまでが本当か妄想してみました。しかし、あまりにも思わせぶりな脚本なので「実は策略もへったくれもなく、全部本当でした〜」ってオチもある……あろう、はず、がないか。

道兼可哀想論

 最近は、心底欲と悪意に満ちた「ザ・悪役」というのがあまり登場しない長編ドラマ。韓国中国の宮廷ドラマにもこのパターンあります。もう一つ多いのは、最初穏やかで優しい良い人だと思っていた人が一番の黒幕パターン(笑)。
 悪役になった経緯として、この人はこの人で色々あるんよね的なことが多く語られます。今回の道兼もそうです。第一回でまひろママをグッさりしてしまったことや、その後兼家一家の泥を色々してきた(これから最大をする)のは悪いことです。しかし一部ネットで「もう道兼可哀想」という論があるのも確かです。視聴者の一部にそう言わしめるのは何故でしょうか。
 おそらく、彼の孤独が本物で、それでも彼が愛情や理解を求め続けるからではないかと思います。そもそも、兼家の愛情がどこか他の二人と違うことを、幼い道兼は感じ取っていて、ああいう暴力少年に育った、だったり、彼が抱く孤独や居場所のなさは本当だったり、また、居場所を求めて(よりによって)為時パパのところへ飲みに行っても、その家のみんな実は道兼を憎んでいる、だったり。このまま為時パパを慕い続けて、ゆくゆく自分が誰を殺したか知った時には、ショックで狂っちゃうのでは、とも思います。ある意味自業自得なのですが、自分より弱い立場の人に対してツンツンしている割に、弱々しいところが目立つ人で。個人的には、この後道兼は花山天皇退位事件に関与した後、自分が殺した人が為時の妻であると知って苛まれ、関白になっても既に病は重く、すぐ苦しみながら死ぬ……という、罪と罰を見せてくれると納得できるとは思いますし、黄泉の国では成仏してください、と同情できるかもしれません。

 今回の大河ドラマの中で、途中退場するであろう道兼ですが、今回はもう主役も準主役も霞むほど道兼のターンでしたね。

今回も長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。

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