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大河ドラマ「光る君へ」第二十一話「旅立ち」所感

落飾の影響

 前回の「那拉氏かっ!」と言いたい落飾シーンから。突発的にも見えましたが、母親に「出家します」と宣言した定子中宮さま。しかも「どうかこれで兄弟をお赦しください!」とか言うわけでもないのだから、一条帝の言う通り「政に文句言った」と思われても仕方がない。というか、そのつもりなのでしょうか。
 覗き見していた少納言ではないですが、ほんと「どうして」ですね。これを持って、中の関白家の没落が決定的なものとなり、また復興もかなり難しくなったのではないかと思います。この後、定子中宮は皇子を産むわけですし、その皇子を盾にしてあくまで「中宮」としての公の(神事ができる)立場を守り続ければ、あるいは。伊周はもう厳しいけれど、隆家はあり得た気がします。この時まだ若かったはずですから、仕方がないのか、よほど実家と運命を共にしたいのか……。
 一条帝、当然ながら大ショックですよね。しかし、現場にいた平謝りの実資を責めるでもなく、泣くにしても家臣の前でもない。しかも「ことの重大さもわきまえず髪を下ろした中宮も(伊周と)同罪である」と。家臣の前であっても、なかなか言えないと思うのです。その後の悲痛な叫び。中宮さまよりだいぶお若いはずの一条帝、おいたわしい限りです。それにしてもちゃんとしてるわ、この帝。

宣孝さまから学んだこと

 第一話からこの人が、可能な限り出てきた理由が、やっぱりというか、ここにあるのだなぁと思わせます。この人は、世の中の常識の代弁者なのです。まぁ史実ではちょっとぶっ飛びな人だったのかもしれないエピソードが残っているらしいですが、彼の変わったところは「みんなが心の中で思っていることをズバッと言っちゃうやっちゃう」というところだった、というキャラ付けになっている気がしました。
 今回の会話もそうですが、父娘二人揃って俗世間や貴族社会の心情噂的なところに疎い為時とまひろ。他の人はあんまりズケズケ言わない(倫子さまサロンがいい例)し、まひろにも視聴者にもこのへんのこと分からない気がします。「ああ、世間はこう思うのだな」とかこういう「ゴシップのあれこれ」とかをズバッと言ってくれるキャラが、少なくともまひろが宮中に入るまでは必要です。宮中では、女房コーラスがヒソヒソ言いますからね。あれ、もっとちゃんとシーンにしてほしい。

高階貴子さま

 あんまりこの人に言及してきませんでしたが、伊周との共依存的にも見える親子関係がちょっと異様に見えました。何よりも、伊周が二条に戻ってきてワーワー言っている時に、自分がついていくって言う?伊周に対しては「突き放す」ってことを絶対にしない。娘との扱いの差よ……。これから家がどうなるか分からないのに、出家してしまった娘に一言かけるか、少納言に「中宮さまを頼みます」とかなんとか言うとかないの?この母親の対応に関しては、定子中宮さまに同情しなくもありません。母や兄たちのために、彼女はここまでやってきたのに。
 引き離されるシーンも、もう哀れなくらいですが。「定子も出家して」って、出家させるのは伊周の方じゃないの?ガチで出家していたら隆家と定子の子に全てかけて、伊周を自分で守るとかできたんじゃないんかね?とまで思います。貴子さまには、本当に伊周しか見えていなかったんですね。

 百舌彦生きてた!

 えっとですね、密かに懸念していたのが百舌彦くんです。歴史的には花山院の事件がある前に、隆家と道長の従者が争って、道長の従者が亡くなるという事件があったそうです。これがドラマで描かれてしまうと、百舌彦が危ない!っと思っていたのですが。二条の火事を知らせる声がして嬉しかったわ〜。

清少納言

 定子中宮さまが、少納言しかいない、くらいの勢いで彼女を愛でた(少納言談)と言うのが、よくわかるシナリオです。世の中で言われている「推し」以上の存在として中宮さまを敬愛している少納言。守りたかったはずの実家の家族も帝との日々も失って+マタニティブルーも重なり、かなりの鬱状態になってしまった定子中宮さまのために全てを捧げます。まぁ、まひろに相談したっていうのはフィクションでしょうけれど、枕草子がなぜ「春はあけぼの」から始まるか、まひろの言葉遊びからだったというのは脚本の遊びとして可愛らしく思いました。ロマンシスというかシスターフッドというか、後宮にありがちな女性同士の関係ですが、帝の子を身籠った定子中宮さまにとって、彼女が(少なくともこのドラマでは)何よりも支えになったのでしょうね。ほんと、偉いよ少納言。他の女房たちはどうしているのか、手桶を持ち運ぶ姿すら見られます。辛い時にちゃんとそばに居て支えてくれる人が、本当の愛情を持ってくれた本当に大事な人だよ。
 それにしても、まひろに「言葉遊びがお上手」と言っていましたけれど、あなたはエピソードトークがお上手。定子さまも書いたもの読んでくれたし、よかったね。

 倫子さま!

 臨月のせいか、物言いがストレートになっている倫子さま。そして、やっぱりこの人は共犯でも主犯でもなく、途中で気づいて犯人隠避か隠密調査をしようとしていたのだな、とちゃんとわかるようになっていました。
 これを、道長の前で女院さまに言ってしまうのが、今の倫子さま。二人に「これ以上大事を起こさないで」と釘を刺しました。まあもうその必要もないかもしれないのですが。

六条廃屋の謎

 今回のシーンではなく、以前の、道長が何も言わなかった(まひろも心の声だけ)のシーンは、もしかしたらまひろの夢の中のシーンではないかとも思っていましたが、今回これがあったということは、あれも現実だったのですね。
 このタイミングで、この場所であって、まして思いを確かめ合う必要があったのでしょうか。それに「越前で生まれ変わりたい」で終わればよかったのですが……。史実に従えば、まひろちゃんあと一年ちょっとで結婚よ?同じ未練があるでも、顔を合わせちゃうとね〜。どうやって結婚に持っていくのかしら。っていうか「妾でもいい」と言ってしまっては「じゃ今からでも…」ってなってもいいんじゃんよ。今からでも、妾になればいいのに。道長左大臣だし。この二人の(いや、定子中宮さまもか)恋愛に関しては、ちょっと共感できかねる感じです。

その他

・惟規文章生おめでとう!お姉ちゃんのせいでボンに見えていただけで、デキる子なのよね〜。
・婉子女王さまいいわ〜。実資も、面白くない仕事していたんでしょうけれど、こんな可愛い奥さんいたら、超真面目な実資が道理を通して頑張れるよね。
・越前編、どうなんでしょう。紫式部は四年全部いたわけではないようですが。ここでそんなに回を費やすの?早く宮中に入ってよ(こら)。次回予告はまるでコメディ回の予感ですが、イケメンも一人増えます。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

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