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大河ドラマ「光る君へ」第二十二話「越前出会い」所感

風通しのいい部屋だけれど、風通しの悪い人々?

 前回触れませんでしたが、越前に着いた為時御一行。先に宋人のいる館に行き、宋の人たちの「帰らない」言い分を聞きます。朱曰く「船が壊れて、修理もしてくれないし帰れない」。先の越前国守は、どうやらちゃんと対処しなかったようです。
 あれ?と思ったのは、若麻呂さんです。とりあえず宋語が話せる通訳なのですが、為時が「彼らはまことに商人なのだろうか?」と聞いた時の表情。一瞬、目を逸らしたように見えました。それに「船の漕ぎ手以外は」とちょっと強調したように聞こえました。このやりとりを、私が感じたままに妄想すると「漕ぎ手は兵士ですが」というのを付けても成り立つのですよね。それに、宋人は戦を嫌うというのも、歴史的にどうだったかは別として、このやりとりの前に印象付けるように言っています。これ、少なくとも京の朝廷が「宋人が戦さをしにきたのではと疑っている」と知っていないと先には言わない気がするんですよね。
 他にもなんでかわかりませんが、周明は日本語わからないフリをしていましたし(「ご機嫌よろしゅう」は聞いたことなかった可能性はありですが)、朱は朝廷に贈り物をやたらしたがるし(結構強硬だった)、宋側の人たちが、殊更怪しく描かれます。ここまで怪しいと、逆に「この人たちは普通の商人かも」と思えてしまい、ますますカオスに陥ってしまいます。越前人たちとも、ちゃんとコミュニケーションとれていない様子。通訳さんいるのにね。前の国司も、せっかく宋人が「商人だ」というなら、賄賂でもらった金で何か買ってそれを朝廷に見せればいい気もする。本当に、何にもしていなかったんですねぇ。
 道長に命を受けている為時は、すっかり感化されて商人たちを疑っている感じですが、かえってコロッと騙されそうで(コラ)。
 もう一個、これは単に脚本というか、現代日本人が知っている中国語を使おうとしただけだと思いますが「シェシェ謝謝」が個人的にちょっと気になりました。中国の宮廷ドラマを見ていると、自分より身分の高い人や客人に対しては「ドーシェ多謝」を使うことが多く「シェシェ」は小さい子や身分の低い者に気軽に言う感じだと思っていました。宋語は違うのでしょうか。また別れ際の「ザイヂェン再見」(またね)も「ガオツーラ告辞了」かなんかが、日本語の「失礼します」に当たるのでは?中国語は、あんまり分かりませんが。周明の場合、それほど高貴な感じも裕福な感じもないので、これでもいいのかな。ちゃんとした敬語はできません商人だし平民だし、的な?
 国司府についてからも、地方の介さんの慣例行事なのでしょうが、賄賂を差し出され「余計なことはせんでいいからほっといてくれ」と言われる為時。為時も「いやいや、越前にもそなたらにも悪いようにはせんから」とかなんとかやんわり言っておけばよかったのに、思うままに突き返しちゃったものだから、しっかりサボタージュにあっちゃいました。はたからみていると、二人とも素直すぎるんですが、為時はその後(多分)ストレスと過労でお腹痛になってしまいますね。鍼治療をしてくれたのはあの周明でした。宋の方が医学進んでいますよね、この頃は。
 なんか訳あり顔(に見えた)若麻呂さんは、あっさり殺され、朱が疑われます。連れ出された感じを見たら、越前の役人か誰かが殺して朱に疑いをかけた感じですよね。
 もう、みんな怪しい。松原にしても国府にしても、綺麗で風通し良さそう(海風も気持ちよく通りそう)なのに、人の間の風通しが悪すぎる。

明子女王さま!

 この人本当に明るくなった!よかった!嬉しい!子どもも三人いたよ!いい奥さんになってたよ!少々積極的すぎる感はあるけれど、幸せそうで何より!ニッコリした顔が見られて嬉しいですよ〜本当に。
 直接の仇と思っていた兼家パパはもういないし(自分の呪詛も成功したと思っているし)、道長は全然感じ違いますしね。何よりも最初の子が、恨みつらみを全部持っていってくれたのでしょう。

中宮定子さま

 お母さま亡くなっちゃいましたね。定子さまが中宮になってから、ママの方が娘に頼り気味だった気もします。最後の日々で、少しは定子を気遣ってくれたのでしょうか。前回「たった一人の中宮のために」という一説があったので、伊周を思って泣き暮らしたのが容易に想像できますが。
 満を持してというべきか、枕草子のおかげで復活を遂げた中宮さまは、子ができたことを道長に。まぁ一応血の繋がった叔父ですからね。この辺、倫子さまも道長も乗り気でない彰子の入内とどう関わってくるのでしょうか。「この子を守ってやってください」と懇願されたのは、道長の心に残ってくるはずです。道長の悔しそうな顔。そうですよね、今になって、あれほどみんなが望んでいた子が……。史実バレをしますと、ここから三人産む定子中宮さま。中宮さまは、心中せんばかりだった実家の家族を失って、やっと帝の子を授かった。やっぱり、実家への強い思いのベクトルがよくなかったんだとさえ思ってしまいます。まぁ、女性の後ろ盾としての実家が、この時代大事だったのも確かですが。ただ、こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、枕草子がなかったら、定子中宮さまはここまで復活せず、子も生まれなかったと思うと、あとあと事態がややこしくなる(中宮が現役出家した後に子ども産む→中宮の祭祀は?子どもの立場は?)きっかけも作ってしまったのですね。ただ、その先彰子ちゃん入内や道長の権力をより盤石にするきっかけにもなったかもしれない(祭祀出来ない中宮じゃ困る→彰子入内だ!定子亡き後の子どもも従姉の子やし彰子面倒見ます!→一条帝も彰子のところへ来る+源氏物語を二人で読んで仲睦まじく)って考えると、まぁややこしいけれど悪くないのかもしれません。そうやって、定子中宮のことをしっかり昇華しないと、一条帝は次に進めない(花山院に足りなかったのはそれだよね)気もします。ピタゴラスイッチというか、塞翁が馬というか。

その他

・羊を屠っておもてなし、というのは中国大陸北の方、遊牧民族系の習慣に見えました。
・羊を「最高のもてなし」だと言われ、それでも食べられない為時パパ。その様子を見て、ちゃんと食べるまっひー。大人になりましたね〜まひろ!。
・中国語字幕も見たかったです。
・越前建物が朱塗りで豪華。でも宮中ほど落ち着かないかも。
・まひろの服の裾、そろそろ長くしてあげて。艶のあるいい服であの長さ作るのって、逆に贅沢なのかな。
・介たち、クビでよくない?国司に人事権あげてください。
・紫式部の「京を思った和歌」は宋人たちの望郷を慮った歌だったということに、今回なったのでしょうか。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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