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山梨の旬を感じる、やすらぎの空間/古民家カフェ「Cafe 三ツ葉」

木の温もりに包まれた気持ち安らぐ古民家の店内には、ゆったりとした音楽が流れていました。

「地元のおいしいものをお出しして、お客様に喜んでいただきたいです」と語るのは、山梨市三富地域にある「Cafe 三ツ葉」オーナーの池松淑恵さん。

2019年6月にオープンしたこちらのカフェでは、山梨の食材をふんだんに使った料理をいただくことができます。

カフェで空間プロデュース

池松さんは埼玉県出身で、大学では造園や都市計画を学んでいました。卒業後は公園をつくる仕事に就きましたが、次第に都市から地方へ興味が移り、「祖父母の出身でルーツを感じた」という山梨県内で古民家探しを開始。そこでたまたま出会ったのが、三富にある築120年の古民家でした。

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それからしばらくは週末に山梨へと通う二拠点居住をしていましたが、生活環境や地域コミュニティの温かさに触れ、移住を決めたそうです。

「周りは山に囲まれて自然豊かで、近くに温泉もあり、畑も借りることができて気に入りました。家庭菜園とお菓子作りが趣味で、移住したらカフェを仕事にしようと思っていました」

造園業とカフェは一見全く違う業種のようですが、池松さんには2つに共通した軸があります。

「人の居場所づくりをしたいという想いがあります。公園づくりもやりがいがありましたが、心地良いと感じる土地で、自分なりの空間づくりをするのも楽しいかなって」

造園の知識を生かし、今でも古民家や畑のセルフリノベーションを続けています。鹿やイタチなどの獣害と戦いながら、その畑で農薬を使わずに育てられた野菜は、ランチメニューで楽しむことができます。

旬をワンプレートに閉じ込める

地のもののおいしさに魅せられた池松さんは、「季節のランチ」で山梨の旬をふんだんに盛り合わせたプレートを提供しています。食材を選ぶ際は、食べ比べをしてそのおいしさに惚れたものだけを使用し、できるだけ信頼できる農家さんから直接仕入れることを心がけているようです。

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〜とある日のランチプレート〜
・甲州富士桜ポークのクリームミートボール
・天空かぼちゃのポタージュ
・黒あわび茸とワイン椎茸のソテー
・自家栽培のサラダ
・梨北米ご飯
・ぶどう酢のピクルス

素材の味を生かすよう工夫された料理で、改めて山梨の食材のおいしさに気づく地元の方もいるのだとか。身近にあるからこそ普段じっくりと味わうことのない地のものの魅力を、知ってもらうきっかけにもなっています。

「山梨の食材って、お米もお肉も果物も、本当においしいものばかりなんです。三富の水も質が良くて、コーヒーを淹れても違いがわかります。料理はまだまだ勉強中ですが、腕が足りない部分を素材が補ってくれている感じです」

季節によって、旬の食材は変化します。それに合わせて約2ヶ月に1回のペースでプレートの内容を変えるようですが、その度にメニューを考え直すのは、大変ではないのでしょうか。

「おいしい食材に出会えると嬉しくて、それをどう使おうか考える時間が好きなんです。新鮮でおいしいものを食べられるのはとても幸せなこと。地産地消で、その時々の旬を味わっていただきたいと思います」

加工で引き出す素材の魅力

山梨の旬のものといえば、やはり果物は欠かせません。春はいちご、夏は桃、秋はぶどう、冬はキウイなどがたくさん出回りますが、出荷できずに「はねだし」となってしまうものもあります。そのままでは流通に乗せられない食材を加工によって変身させ、お客様に喜んでもらう形にするのは、池松さんのやりがいの一つなのだそうです。

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秋限定、巨峰のムースと梨のスムージー

この地域は、池松さんにとって食材の宝庫なのかもしれません。誰も手をつけず、眠っている資源に光を当て、魅力を最大限に引き出しています。

「三富には、山の恵みがたくさんあります。せっかく昔の人が植えたものが残っているのに、そのままにしておくのはもったいないですよね」

たとえば、養蚕農家であった名残から、店の周りに残っている桑の実を使った「マルベリーチーズケーキ」(※6-7月限定)は大好評だったといいます。他にも、濃い風味が特長である和ぐるみのおにぎりやクッキーなどをつくり、この地ならではの食体験を提供しています。

山梨を知り、ゆっくりできる場所

池松さんから発せられる言葉の一つ一つや、資源をなるべく無駄にしないよう心がけ、丁寧に向き合う姿勢から、山梨食材へのこよなき愛が感じられました。

Cafe 三ツ葉は、地域の話をききながら、地の味を楽しみ、いろんな面から山梨を味わうことのできる場所です。

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「ここで時間を過ごすことで、ほっとしたり、元気になったり、くつろいでもらえるようなカフェでありたいですね」

今後はほうとうなどの郷土料理を引き継ぎつつ、この地に根付いている素材同士を組み合わせ、新たな食の形を模索していくそうです。訪れるたび、山梨の新たな一面に出会わせてくれる予感がします。

Cafe 三ツ葉
営業時間/10:30-17:00
定休日/日曜・月曜・祝日
所在地/〒404-0201 山梨県山梨市三富川浦296-1
電話番号/050-3552-3328

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文・写真=おがたきりこ

(写真は一部、Cafe三ツ葉さんよりお借りしました)

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