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「内田百閒全作読破【旺文社文庫編】」始めます。

はじめにごあいさつ。


 こんにちは!内田百閒が好きな一介のオタクです!!

 皆さまご存知ですか、内田百閒。岡山生まれ漱石門育ち、独特な世界を持った小説を書いたり軽妙洒脱な随筆をたくさん残したり、借金をしたり前借りをしたりひたすら借金の利子を返し続けたり箏を弾いたり飛行機に乗ったり汽車に乗ったりええと…とにかくサクッと紹介するには要素が多い、キャラ立ち特濃の大変面白い作家です。

 そんな百閒先生は81歳で亡くなるまでにおおよそ49冊(編纂本を除く)の単行本を出しております。結構なボリュームですよね。ひとつひとつの作品は短編やあまり長くない随筆とはいえ、一冊につき大体50本くらい収録されているので、トータル作品数はそりゃあもうえらい量になるわけです。

 その作品をこれから全部読んでいくのがこの企画です。

 どうしてそんなことを…と思われたでしょうがちょっと待ってください、大丈夫です。たぶん既に8割くらいは既読です(大丈夫とは??)

「読む」人の自己紹介。

 私の内田百閒履歴は漫画版『阿房列車』(一條裕子)に始まり、なんとなく面白いな〜と折々に触れる程度だったのが、途中で夏目漱石にハマったおかげで、漱石情報読みたさに漱石の弟子たちの本も漁るようになり、内田百閒『私の「漱石」と「龍之介」』で百閒先生の漱石フリークぶりに落っこちました。

 ちょうどその頃、中公文庫で内田百閒の随筆アンソロジー本が色々と出ていたので、表紙のデザインにもつられてぼちぼちと買い集め、そこから岩波文庫『冥途・旅順入城式』など小説も読み…という具合にじわじわと読み進めたのが始まりで、他は大型書店にずらりと並ぶ、ちくま文庫の内田百閒集成に憧れつつも当時の財布事情ではなかなか手が出せなかったり、ぼちぼち古本市や古本屋で旺文社文庫・福武文庫の百閒本を気まぐれに買っては読んでいました。

 そんなゆる〜い追い方でも、十数年続けるといつのまにかそれなりに本が手元にある。さらに2021年はオタク的な意味で(※某ゲーム実装)いろいろと盛り上がる事象があり、日本の古本屋ヘビーユーザーとなってあれこれしていたら、旺文社文庫の百閒本が、あともうちょっとで全巻揃うところまできていました。

あれ?これ、「ぜんぶ」読めるんじゃない??

 今はなき旺文社文庫の内田百閒本は、生前に刊行された単行本と同じ収録ラインナップで全巻出版されており、ほぼ文庫で読む全集と言っていいものです。(正確には戦後日記や恋文・恋日記など全集にあって旺文社文庫にないもの、そして全集未収録で単行本にしかない戦前戦中日記もあります)

 つまりこの文庫を一冊ずつ読んでいけば、内田百閒の作品を(ほぼ)「全部読んだ」ことになる。

 や、やってみたい……!

 一人の作家の作品を「全て」読み通す。いつかやりたい、やっておきたいと思いながら、(比較的手頃な作品数の)漱石ですら読みきれていない私ですが、百閒先生の本ならやれるような気がしました。だって面白いんだもん。

 私は元々中公文庫などのアンソロジー編集本で百閒作品を読んでいた人間なので、同じ随筆をあっちの本こっちの本で繰り返し読むこともしばしばあります。でも何回読んでも面白い。飽きないしどんだけでもするする行ける。これならきっとどんなに長い道のりでも読みきれる気がします。そもそも、だいたいは既読だし。

どの話が既読で未読なのかわからない。

 例えば古本市で百閒本を二、三冊いっぺんに買ってくる。そしたらその中からパラパラと面白そうなのをつまみ食いして、また次の本に移る。手元に置いて適当に開いて、へえー知らなかった、とか、これは前に他の本で読んだやつだな、などと確かめながら再読する。
 そんな注意散漫な読書スタイルを続けていたおかげで、もうね、百閒作品のどのへんまで既読で、何が未読なのかわかんなくなっちゃったんですよ。

 だって同じ作品があちこちの本に載ってるし…。などと言い訳をするのはもうやめます。順番関係なく無作為に読むの、たぶん百閒先生からしたら嫌なタイプの読み方だろうし(順番に読んで欲しくて本のページ番号を無くしたり、日記の序文で読み飛ばさないでほしいって書いたりする人なので…)。

 それとアンソロジー本は好きなのですが、同じテーマのものを時系列あまり関係なく集めていることが多く、作品の発表年代を踏まえて読むのが難しいんですよね。やはりその作品が書かれた時代背景だとか、百閒先生の年齢と生活上の事件事象(随筆だけ読んでいても先生のプライベートは煙に巻かれてわからない…)も踏まえて、「順番に」読むということをしてみたい。それには、単行本と同じラインナップで収録されている旺文社文庫はぴったりなのです。全集だと重くて持ち歩きにくいけど、文庫本だから気軽ですしね。

というわけで、揃えました。

旺文社文庫39冊。

 思い立った時点であと6冊足せば揃う状態だったので、日本の古本屋をフル稼働して並べました。雑な買い方してるから3種類ほどダブってた。

 旺文社文庫の表紙デザインが好きなので、並べてニヤニヤ悦に浸っていましたよ。

単行本の(だいたい)刊行順。

 旺文社文庫としての刊行順とは違うのですが、ここはあくまで初出単行本の発刊順に、左から読んでいきたいと思います。

第一回目は『冥途』です。

 旺文社文庫では『冥途』と『旅順入城式』が合本になっていますが、発刊順を重んじて『冥途』部分を読んだ後に一旦『百鬼園随筆』に行きます。その後また順が来たら『旅順入城式』に戻る自分ルールです。

 折しも今年は『冥途』発刊から100年ですね!

各種揃っております。

 せっかくなので、余裕があれば『初稿 冥途』他と読み比べもしてみたいと思っています。左から新字新仮名、旧字旧仮名、新字旧仮名。

 ただ読むだけではだらだらと流してしまいそうなので、一冊(単行本準拠)ごとにまとめnoteを書いて行こうと思います。月に一〜二本書ければ御の字かな…というのんびり進行、年単位の個人企画ですが、どうぞ気長にお付き合い頂ければ幸いです。

趣味と手癖で作られたロゴ

 やり遂げるぞ!という気合で企画ロゴも作りました。右下のぶくぶくはビールの泡です。どうぞよしなに。