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1手詰から始めるフェアリー超入門 ネコ鮮編1

「ネコ鮮」という能力変化系のフェアリールールを扱います。


ルール

【ネコ鮮】味方の駒が連続して縦に繋がっているとき、上からn番目の駒は下からn番目の駒の性能になる。

説明文に「n」という文字が登場しています。例えば味方の駒が3枚縦に並んでいる場合、nに1、2、3を当てはめて考えます。具体例で確認しましょう。

左下図では攻方の歩・銀・桂が連続して縦に並んでいます。3枚なので、nに1、2、3を当てはめてルールを読みます。具体的には下記の通りです。

  1. 上から1番目の駒は下から1番目の駒の性能になる
    →34歩は桂の性能になる

  2. 上から2番目の駒は下から2番目の駒の性能になる
    →35銀は銀の性能になる(つまり変わらない)

  3. 上から3番目の駒は下から3番目の駒の性能になる
    →36桂は歩の性能になる

右図は駒の性能を表示

つまり、歩と桂の性能が入れ替わっています。

ネコ鮮は、味方の駒が縦に繋がっているとき、真ん中の駒を中心にしてちょうど反対側に位置する上側の駒と下側の駒の性能が入れ替わるルールといえます。

例えば4枚の駒が縦に連結すると、下図のように性能が変化します。歩と銀、香と桂の性能が入れ替わっています。

右図は駒の性能を表示

3枚と4枚の場合を見てきましたが、これは何枚になっても同様に考えます。

なお、ネコ鮮で性能が変化するのは味方の駒同士が縦に連結した場合だけです。例えば左下図では受方玉を含めて4枚の駒が縦に並んでいますが、桂・銀・歩の3枚が攻方の駒なので、この3枚の中で性能が入れ替わります。

右図は駒の性能を表示

もちろん受方の駒も性能が変わります。
左下図では受方の玉・銀・角が縦に並んでいます。そのため、玉と角の性能が入れ替わります。攻方の桂と歩も縦に並んでいるので性能が入れ替わります。

右図は駒の性能を表示

次に、ネコ鮮ルールを利用した王手の仕方を考えましょう。
左下図では歩と香が縦に並んでいるので性能が入れ替わっています。ここで攻方が25飛と打ったとします(右下図)。そうすると、歩・香・飛の3枚が縦につながったので、23歩と25飛の性能が入れ替わるようになり、24香は香の性能に戻ります。右下図は、23歩が飛車の性能で王手を掛けています。

25飛を打つ前後の駒の性能を表すと下記の通りです。

薄々感じられているかもしれませんが、ネコ鮮では駒の性能が目まぐるしく変化するので、局面を把握したり可能な王手を考えたりするのがかなり大変です。少しずつ慣れていくしかないのかなと思います。

ネコ鮮、安南、安北はいずれも味方の駒が縦に並んだときに性能が変わるルールですが、ネコ鮮は安南・安北とは異なる点があります。ある着手の前後でひとつの駒の性能に着目したとき、安南・安北の場合は
・性能が変化していない駒が、別の駒の性能に変わる
・別の駒の性能に変化している駒が、元の性能に戻る
のどちらかです。

しかし、ネコ鮮は上記に加えて
・別の駒の性能に変化している駒が、さらに別の駒の性能に変化する
場合があります。
例えば先ほどの図では、25飛を打つ前後で23歩が香の性能から飛車の性能に変化しています。

上記の差異が、安南や安北に比べてネコ鮮が難しく感じられる理由のひとつだと思います。

慣れるためにもう少しだけ複雑な例を見てみましょう。左下図を考えます。

右図は駒の性能を表示

飛⇔金、桂⇔銀 のように駒の性能が入れ替わっています。23飛は金の性能なので、左上図で13飛成と指すことができます(左下図)。

右図は駒の性能を表示

23飛が縦の並びから外れたので、桂・銀・金の3枚で並んでいることになり、桂⇔金 のように性能が入れ替わるようになります。駒はそれぞれ右上図が示す性能に変化していて、4重王手が掛かっています。
ちなみに、どのように玉を動かしても王手を外せないので、上図は詰みとなります。

次に、ネコ鮮を利用した王手の外し方を見ていきます。安南や安北もそうですが、攻方の駒を取って別の攻方駒の性能が変わりうるので、これを利用して王手を外す手段があります。
例えば左下図では、22歩と24龍の性能が入れ替わっているので、22歩で王手が掛かっています。受方は、32桂で24龍を取ることで王手を外すことができます(右下図)。22歩の性能が龍から香になっています。

左下図も受方玉に王手が掛かっています。それぞれの駒の性能を図示すると右下図のようになります。

右図は駒の性能を表示

右上図を見ると詰みのように思えるかもしれませんが、実は王手を外す手段があります。それは22玉として香を取る手です(左下図)。

右図は駒の性能を表示

22香を取れば攻方23金・24桂の2枚が縦に並ぶ状況になるので、右上図の通りの性能に変わり、王手が外れています。
相手の駒を取ることにより、その駒と縦に繋がっていた相手の駒の性能を変えられるということを覚えておきましょう。

行きどころのない駒
性能変化系のルールでは、一時的に利きが無い駒であっても性能変化によって利きが生じうるのであれば着手可能です。
ネコ鮮の場合、敵陣1段目の桂香歩も2段目の桂もOKです。

打歩詰
他の能力変化系のルールと同様に、ネコ鮮でも打歩詰は禁手です。

二歩禁
他の能力変化系のルールと同様に、ネコ鮮でも二歩は禁手です。

利き二歩有効/無効
性能変化系のルールでは、利き二歩有効利き二歩無効の二種類の問題設定がありました。

  • 利き二歩有効:玉を取ったときに二歩が発生する場合でも、玉を取れる

  • 利き二歩無効:玉を取ったときに二歩が発生する場合、玉を取れない

本連載では基本的に利き二歩有効とし、利き二歩無効の場合はその旨を明記します。

例題

左上図は 23桂 迄の1手詰です(右上図)。23桂を打ったことで歩・桂・龍が縦に繋がるので、歩と龍の性能が入れ替わります。その結果、龍の性能になった22歩で王手が掛かります。23桂を打った局面での各駒の性能は下記のようになっています。

右図は駒の性能を表示

23桂の性能はそのままなので、22歩を玉で取れるように見えるかもしれません。しかし、22歩を取ると23桂と24龍の性能が入れ替わるようになるため、22玉は自玉を王手にさらす禁手ということになります(下図)。

右図は駒の性能を表示

練習問題(1手)

以下は ネコ鮮協力詰 1手 10題です。解答は次回の記事に記載します。

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