1手詰から始めるフェアリー超入門 Lortap編1
今回は Lortap です。過去の記事は下記のマガジンをご参照ください。
ルール
LortapはPatrolの綴りを逆にした名前のフェアリールールで、内容もPatrolの逆になっています。
PatrolとLortapのルールを並べると下記の通りとなります。
$$
\def\arraystretch{1.2}
\begin{array}{l|l}
&\footnotesize{味方の駒の利きで紐が付いて\bm{いない}駒は、} \\
\rm{\small{Patrol}} &\footnotesize{敵の駒を取ることができない。} \\
&\footnotesize{\bm{→紐が付いていれば、駒取り可能}} \\
\hline
&\footnotesize{味方の駒の利きで紐が付いて\bm{いる}駒は、} \\
\rm{\small{Lortap}} &\footnotesize{敵の駒を取ることができない。} \\
&\footnotesize{\bm{→紐が付いていなければ、駒取り可能}} \\
\end{array}
$$
図でルールを確認していきます。
まず、左下図では34香と指すことができません。37香には29桂の利きで紐が付いているため、37香で駒を取る手は禁手になります。
一方、右上図では34香と指すことができます。37香には味方の駒が何ひとつ利いていないからです。
王手の判定にもLortapルールは影響します。
下図はどちらも先手が22銀と打った局面とします。左下図では22銀に金が利いているので、22銀は駒を取ることができません。そのため王手は掛かっていません。
右下図では22銀により王手が掛かっています。
上記を利用すると、王手する駒とは別の駒を着手して王手を掛けることができます。例えば左下図で24金とすると、22銀により王手が掛かります。このように紐を外して王手を掛ける手はLortapらしい手といえます。
当然、受方の駒にもLortapルールは適用されます。
左下図はと金で王手が掛かっていますが、詰みではありません。玉でと金を取られてしまうからです。右下図は33角が玉に利いているため、玉は駒を取ることができません。そのため、右下図は詰みとなります。
左上図が詰んでいないのは、玉にと金を取られてしまうからでした。通常の詰将棋や協力詰であれば、王手駒が取られても玉を取り返せるように、王手駒を別の攻方の駒で支えるのがよくある詰みの形です。例えば、下図は24桂で12とを支えています。しかし、Lortapではこのような詰みの形はできません。確かに玉でと金を取ることはできませんが、Lortapルールのせいで12とは駒を取ることができず、王手が掛かっていません。
一般に、局面が詰みであるためには、玉が王手駒を取れない必要があります。以上の考察から、Lortapでの詰みの形は以下の2通りであることが分かります。
受方駒の利きで玉に紐が付いている(つまり玉は駒を取れない)
受方駒の利きで玉に紐が付いていない かつ 桂または線駒(飛・角・香)が玉に取られない位置から王手を掛けている
次に、Lortap特有の受けを見ていきます。
左下図は13とで王手が掛かっています。11歩のせいで玉は駒取りができないので13とを取ることはできませんし、21や23に逃げることもできません。一見詰みのようですが、23歩の受けがあります(右下図)。31馬の利きが13とに届くため、13とによる王手を外せています。
例題
Lortap協力詰 1手
左上図は 22飛成 迄の1手詰です(右上図)。
龍で王手が掛かっていますが、23角では王手は掛かっていません。11香のせいで玉は取禁状態です。22龍を取ることもできませんし、13や21に逃げることもできません。31銀で龍を取ることができそうですが、取ると23角への龍の利きがなくなるため、23角で玉を取られてしまいます。
練習問題(1手)
以下は、Lortap協力詰 1手 10題です。解答は次回の記事に記載します。
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