さなコン最終結果発表について

このnoteで自作の振り返りやら二次選考通過作品感想やらで触れていたさなコン結果が発表されました。自作は二次選考止まりでしたが、ここまで残っていたのが意外という思いが大きいので平常な感じです。全部読んでいるので、これが賞を取ったのかと眺めるだけでも面白いですね。

さて、本作は振り返りでも触れた通り、後半部分があらすじ状態で投稿されました。当然ながら自分の不満が多く、一番欲しかったフィードバックが得られたこのタイミングで作品は非公開としました。とはいえ、「諜報研」の設定は気に入ったので、近いうち(過去の経験上、十年以内)にブラッシュアップしようと思います。ご期待ください。

今回の投稿での感想で気づいたのですが、自分が描く物語は本作のように何かしらに課題に挑むものが多いです。直近に発表した作品も男子高校生たちが低コストロケット打ち上げに挑戦するという“最強”のジュブナイルです。こちらは「完成している」作品なので、ぜひ表題作として収録された本作フォーワンを読んでほしいです。

で。自身が二次選考通過作品の感想を書いたこともあって、他の感想をなんだかんだ探っておりました。この記事では最終フィードバックを含む自作へのコメント(と自分のそれへの感想)を公開された時系列でまとめておきます。

平田さんのコメント

あんたの世界を絶対に終わらせはしないを書いた平田さんによるコメントが一番目でした。連続ツイートで

とても良いです。「現代的な政府機関と研究者が世界の危機にどう対応するか」という多くの作品が避けてきたであろう題材に正面から切り込む挑戦意欲があり、気骨を感じます。
その上で敢えて批判するなら。舞台を現代にして解像度をあげたぶん、絵的な激しさや分かりやすさが抑え目になっており、また最後の一文の風刺には生臭さを感じます。「ファンタジー感」「日常生活を忘れさせてくれるお話」という評価軸にはならないかも。よくも悪くも理性的な作品です。
ただ、これらの気になる点は創作に対する姿勢や信念によるものと推測できるので、他の長所とのトレードオフですね。審査で何が評価される次第かと。挑戦意欲という点ではトップクラスなので、「ある」かも。そんな熱意を感じさせる作品でした。
その意味で「終わる世界は終わらない」は「ワワワールルルドドド」とは対照的ですね。技術や現実に対する解像度、感情の爆発、登場人物のバックグラウンドや規模。理性と感情。どちらが評価されるかは私には分かりませんが、どっちも評価されて欲しい……7という気持ちがあります。
私はエンタメとしての爽快感やアイデアの奔放さを評価基準の最上位にしているので、前者に軍牌を上げますが……後者の緻密さ、真剣さも評価されて欲しい……難しい……
あと難解な概念を扱ってるのに読みやすい文章だったのは、昨今の基準では当然とされがちな中でも流石の練度だと思いました

といただきました。ありがとうございます。
これを見て、まず僕はこの題材が多くの人が避ける対象と認識されているということに驚きました。あの大ヒット作でもあるシン・ゴジラみたいな話をオリキャラでやろうみたいな思いは全人類が持っていると思っており、この手の話は雨後の筍のように色々出てくるだろうと考えていたのですが、自分がニッチ枠になったのは意外でした。批判の部分はもう時間不足だったという言い訳しかなく完全に同意です。最後、タワマン半壊でパニックが起こるはずだったんですよ……。ただ、それでも望外に褒められていて大変嬉しかったです。が、自分の中では前述の通り設定が時間不足で描けなかったこともあって(本当はめくられていくスライド全部内容を描きたかったぐらいで)、ちょっとこのくらいでも褒められてしまう状況にあるのがちょっぴり不満だったりします。がんばります。

坂崎さんのコメント

ファーサイドを書いた坂崎さんに、以下のコメントをいただきました。

面白かったです。SFのSとはったりがきいていて、謎解きのような二人の会話もつっかかることなく読めました。必要な要素を過不足なく設定に詰め、きちんと展開図として提示できた感じです。最後の一文もなかなか皮肉がきいていていいですね。

かぐやSFコンテストで選者を担当している方だけあって、うまく褒めています。わかる。最低限の情報をそれっぽく書いただけですからね、という感じです。ここに書かれていない部分、もっとワクワクする要素、例えば、この問題を解きながらも世界はどうなっていくのか、という日常とセカイ系の中で困惑する主人公の心情とか、セカイ系的状況に巻き込まれた市民の混乱とか、もっと最悪の状況を描けたはずの素材だったんですよね……。こういう部分を(時間的な余裕を持って)きちんと書かないとダメだよなと痛感しました。次はブッ刺さるものを書きたいと思います。がんばります。

木下さんのコメント

コメント自体は坂崎さんより早かったのですがまとめられた時間順で紹介するので、この順になりました。

世界の終わりの七日間とシミュレーション仮説を書いた木下さんに、以下のコメントをいただきました。

ありえない異常事象、それを解明する天才科学者。長い歴史のある、魅力的だけれど今成立させるには高難度の話を、さらりと語って軽やかに腑に落とし込む手際の鮮やかさ! 迷惑ETIもいい味わい。「開会式」当日に読んだので、ラストのワサビがことのほか効きました!

ラストで薬味的な意味でもクスリとしてもらえたようで嬉しいのですが、それはさておき、平田さんのコメントでも書いたことですが、個人的にはこれがそんなに難しい話なのかと本当に驚きを感じました。おそらく、これが今回のコンテストでの自分の一番の収穫な気がします。ここは大切にしていきたいです。

で、僕は個人的な信条として、作者からコメントを貰ったら同じようにコメントを返すべきだろうと思っています。なので

の感想を書きます。高次元の異世界人(神)に人類が交渉を仕掛ける話で、好みに近かったのですが、設定の利用がもっと丁寧であればという気持ちが前面に来てしまいました。面白そうな要素がちりばめられていたのですが、それらの深掘りがなされていない、みたいなところです。例えば、宇宙背景輻射が検出されなくなったことから「現在の研究と反して、宇宙は地球を中心とした有限の大きさである」ということがわかるので、世界の要約に入りそうな物理学は全部書き換えが必要そうです。ここから神が作ろうとした宇宙を逆に割り出すという展開もできそうですね。また一回出たきりの「祭政一致」も面白そうで、アメリカでのテレビ党首討論でキリスト教ベースにこの概念の合意が得られる話とかも面白いのではないかと思いました。あとは天使の要求(超法規的措置の辺り。例えば、ツイートはアメリカ議会図書館が収集していたぐらいで超法規である必要はないはず)が雑すぎるように思えたりしました(これは僕の上位意識の要求で最高だった作品が、正解するカドの前半部という認識というのがありそうです)。ただ何よりこの辺りの撒かれた設定が、後半の神との交渉にあんまり役立っていないのが物足りなかったです。例えば、もしも最初から神と交渉する部分がメインに据え置かれ、前半部分で如何に神を騙すかを世界の俊英たちが検討する(例えば、神連中がいじれた初期物理パラメータを割り出すことで、人類がユニークになった彼らのいじれなかったパラメータを絞り込むことで交渉に持っていく)とかが上記の設定交えて描かれれば、後半の交渉部分がより面白くなったのではないかと感じました。こう思ったのは十六世紀から行われていた孫請け業務がどういうものかがイマイチ想像できなかったからというのもあるかもしれません。まあ、この通りに直って喜ぶのは僕だけなので、これを全部無視した方がより面白くなると思います! ざーっと書きましたが以上です。

さなコン公式のフィードバックコメント

先ほど発表されたさなコンのフィードバックです。

世界の終わりカウントダウンの謎を追う主人公。その謎解き過程の描写が詳細でリアリティに富んでいる。多くの言葉を費やすことなく、端的にイメージを伝えるピースを使って場面を想起させる描写には舌を巻きました。畳み掛けるように進む謎解きは小気味よく、臨場感があります。ラストは若干拍子抜けですが、物語の核は描き切っているのでこれはこれで良いのだと思いました。/世界の危機に立ち向かう人々をリアリティを持って描いています。過程や背景、キャラクターがしっかりしていて、とても楽しめました。

二次選考まで残ったので二つコメントが頂けたようです。途中までが褒められているのは納得ですが、その中でも臨場感があって良いという評価であるのは学びになりました。僕はこれは設定を描いただけだと思ってもいたので。でも、情報の出し方はあれで良いとも言えますね。学びです。最後の拍子抜けという点はもう何度も書いていますが執筆時間の話になるので次回以降気をつけたいと思います。はい。こういうフィードバックが得られたことは大きな経験になったと思います。参加して良かったです。

まとめ

次回作はもっと成長します。頑張っていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?