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空間演出デザインⅡ-2(造形表現基礎)

この記事は課題内容のネタバレになる可能性があります。


シラバスによると、この授業の到達目標は

“身近な素材から多様な表現方法の可能性を発見する力を習得すること。”

いつものごとく、授業内容はまったく分からず…。
なにかしらの素材を使って造形するのだろうなと察する。
このモヤモヤ感を持ったまま授業に臨み、当日与えられた課題にヒーコラ言いながら全速力で走り切るというのがスクーリングの醍醐味でもある。

事前課題

事前課題はA4ケント紙を8等分し、それぞれ異なる質感を表現するというもの。切ったり、ひっかいたり、曲げたりと、それなりにアイデアは浮かぶものの、自分らしい視点をどう表現するか悩んでいた。
結果、「紙を料理する」というコンセプトを設定することに。

出来上がった作品がこちら。

事前課題

左上から順に

  • トースターで「焼く」

  • カッターで「千切り」

  • おろし金で「おろす」

  • 濡らして「型取る」

  • 麺棒で「叩く」

  • 鍋で「煮る」

  • 水につけて「凍らす」

  • 油で「揚げる」

実は「ぬかで漬ける」というのもあったのだけど、質感の変化がなかったのでボツ案に。(その代わり、においはめちゃくちゃついた。)
ぬか漬けのアイデア自体は周りからとても好評だっただけに残念。
他にも時間をかける系の質感にも挑戦してみたかったけど、締切直前だったので断念した。

事前課題では「アイデアが思い浮かばないから」と先延ばしにしがちだけど、無理矢理にでも形にしてしまったほうが逆にアイデアが発展する可能性あるかもしれない。というかそのパターンがわりと多い。
時間があればいくらでもやり直しができるし、今後はもう少し早めに取り組めるといいかな。

スクーリング 1日目

スクーリングは今回も2クラス構成。
自分のクラスの担当は通学部出身の宮地先生。
上下黒の服でビシッと決めたおしゃれな女性の先生だった。

1日目は2mm角のヒノキ棒を使って「〇〇の器」を作るという課題。
写真を撮ることを考えるとできるだけ実物があるものがいいし、せっかくつくるなら家におきたいと思えるようなものにしたい。
とはいえ、スクーリングに持ってきているのは模型制作道具くらいだし…と、悩む。
「そもそもいま持っているものってそんなに魅力がないものなのか?」という問いをきっかけに、「ものに対して自分の持っている価値観を問い直す」をテーマに据えることに。

選んだのは「100円玉」。
いまでこそ気軽にコンビニで100円コーヒーを買ったりするけど、自分が小学生の頃は100円には100円以上の価値があった。
わずか数百円のお小遣いの中からガチャガチャを回し、ランダムに出てきたフィギュアを大切に机の中にしまっていた。
いま改めて100円で何ができるか問い直す器にしよう、と考えた。

まずは100円玉を観察する。
大きさ、色、特徴的な「100」のフォント。
目をつけたのは表側に刻印された花。
実は100円玉に刻印されている花は桜の花で、山桜は日本の国花でもある。(知らなかった…!)
なので、桜をモチーフに器を作ることに決めた。

そしてできた作品がこちら。

桜の花びらを立体的に表現しつつ、めしべを模した五角柱にトロフィーのように100円玉を鎮座させた。

「すべての材料を使い切る」という条件に苦労し、花弁の補強材でなんとかごまかすも、先生には「補強の主張がつよい」と苦言をいただく。たしかに…。

コンセプトは満足できたものの、全体的に立体というよりは「平面の集まり」となってしまったこと、線材ならではの表現がいまひとつできなかったことが反省点。

授業では講評もそこそこに、すぐさま2日目の準備へと移った。

スクーリング 2日目

2日目の課題は「A5サイズの紙で単一ユニットを20個制作し、学内にインスタレーションをおこなう」こと。
ここにきてアート作品の制作。一気にハードルが上がる。

ひとまず設置する空間の目星を付ける。
学内中央にあるほこら(?)の裏に地層のような見た目の岩を発見。そこから出てくる古代生物をモチーフにすることに。

ユニットのモチーフとして三葉虫やカブトガニをイメージ。
曲線を出しつつ、虫っぽさも欲しい。できるだけキモくならない程度に。
で、制作したユニットがこちら。

A5の紙の上下を丸く切り落とし、あとは折り目だけで表現。
狙い通りの表現ができたし、工程的にもそれほど手は込んでいない。
はじめに型紙を作って、それに合わせて折り目の筋を入れていくだけなので、製作自体はそれほど時間がかからなかった。
3次元ドリルのペーパーバベルでさんざん悩んだあげくシンプルな三角柱にしたことを思えば、まさかこんな造形ができるとは自分でも驚きで、けっこうお気に入りの作品。

量産される蟲たち

想定していた場所に設置したところ、「地層から這い出して来る」感じがうまく出せず、思い切って場所を変えることに。
学内を見て回っていたら、たまたま通信空デの先生方のオフィスを発見。
“空デのオフィスから這い出す蟲。「レッツトライ!」という鳴き声とともに学内を徘徊する”という設定を思いついた。
「なにやってるかわからない」という空デの特徴にも合うし、実際オフィスの中が謎めいて感じたので。

ユニットの造形、インスタレーションとしてのコンセプト設定は自分的に過去作品の中でもかなり上位にくるお気に入りになったのだけど、結果的に蟲ありきになってしまったこともあって、「空間の捉え方が変わる」というところまでいけなかったかなと少し反省。
そして、先生や友人から頭と尾が逆に見えた(オフィスに集まっていくように見えた)との指摘も受けた。
全体フォルムを抽象的にし過ぎて、三角矢印に見えてしまったのが原因だと思う。
(デザインファイルでやった「アフォーダンス」だ。と脳内でひとり進研ゼミ状態。)
自分では「これ」と思ったことが実は周りから見ると違うということはよくあって、手放しで褒めるんじゃなく、ちゃんとフィードバックをいただけるのは本当にありがたい。

2日間の課題を通して、コンセプトはそれなりにまとめられたけど、表現としてもう一歩踏み込んで考える必要があるなと感じた。時間のない中での制作で焦る気持ちもあるけど、一度立ち止まって課題の意図に沿っているか見つめ直すということも今後は意識したい。

成長した点としては、どちらの課題も時間に余裕をもって終えられたこと。大まかにタイムスケジュールを組んで、その時間内はしっかり熟考する、時間が来たらキッパリ切り捨てる、というメリハリが付けられたことがよかった。
ヒノキ棒と紙の可能性をまだまだ引き出せていないという自覚もあるので、タイミングを見てぜひリベンジしたい。

今回は特に発想力が求められる課題というのもあり、自分にできない発想や一度は思いついたけどあきらめた発想を形にしている人の作品を見て、刺激と悔しさと学びを感じることが多かった。
これだからスクーリングは面白い。

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