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イラスト/グラフィック/デザイン の境界線の話|京都芸術大学 通信 空間演出デザイン

この記事は2023年度の通信教育部卒業制作展を観に行った際に書いていた下書きを加筆修正したものです。
こちらに書かれている作品は2023年度のものとなります。

こんにちは。
京都芸術大学 通信教育部 空間演出デザインコースに在籍するひじきです。

3月12日から通信教育課程の卒業制作展がはじまったので、さっそく観に行ってきました。
どのコースも力作ぞろいで、とてもいい刺激を受けました!

多くの作品を見ている中で、イラスト/グラフィック/デザイン の境界について感じることがあったので書いていこうと思います。

今回の卒展で非常に印象的だったのは、グラフィックデザインコースの作品でした。
グラフィックデザインと聞くとWebやチラシ、パッケージといったDTPの印象が強かったのですが、今回はもう一歩踏み込んだ、「コト」のデザインをした作品が際立っていました。
学科賞を取った作品は「子どもの性教育」をテーマに、人形を使って楽しく学べるキットの提案をされていたり、ほかにもカラーコーンを周囲の風景に調和させるプロダクトや、京都に暮らす人々のオススメの品を聞き、地図を模した箱に納めたプロダクトなど、もはやグラフィックデザインはDTPの枠から大きく飛び出し、ブランディングデザインの役割を果たしているということを強く感じました。

どちらかといえばプロダクトを使ったデザインは空間演出デザインコースの領域であると思っていたのですが、ブランディングデザインの観点から見れば、もしかしたらその分類は絶対ではないかもしれません。

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good design company代表で『センスは知識からはじまる』という本を書かれた水野学さんもTwitterでこのように発言されています。

ちなみにこの『センスは知識からはじまる』という本。センスは誰にでも身に着けられるという切り口で書かれており、「自分にはセンスがない」と悩んでいる人にこそ読んで欲しい良著です。


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一方で、グラフィックとイラストの境界についても感じる部分がありました。

今回、イラストレーションコースでは「心をゆるめる」をテーマに日めくりカレンダーを制作した作品が学科賞を受賞されていました。
他にも、4種類の紅茶に合わせたパッケージをデザインした作品や、子どもと一緒に遊ぶ絵本などが賞を受賞されており、イラストを軸としたプロダクトはイラストレーションコースの領域になりつつあるのかもしれません。

デザインの定義は様々ですが、私は「デザイン」=「編集」だと思っています。
クライアントの課題を解決するために必要な要素を洗い出し、優先順位をつけて編集することがデザインだとすると、イラストはあくまでその要素のひとつ。語弊を恐れずに言うと、イラストありきのプロダクトはもしかしたらグラフィックデザインの領域ではないのかもしれません。

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そんな自分の考えを象徴するような作品が一つありました。

「漁師と無縁な人 一人ひとりに話しかける」をコンセプトに、12点のポスターで構成された作品です。
印象的なビジュアルと「〇〇なら漁師になろう」というコピーを用いて、漁師とかかわりのない人々に対して「漁師になる」という選択肢をアピールするポスターでした。
このポスターの紙面には子どもの書いた文字や、ポスターの制作者ではない第三者によって描かれたイラストも採用されおり、「グラフィックを作ること」ではなく、「グラフィックを一つのツールとしてデザイン(編集)すること」を意図して制作されていることが伝わってきました。

ここでいうグラフィックとは、イラストに限らず、図形やコピーといった要素と捉えています。
グラフィックデザインに限らず、デザインを考えるとき、私はイラストからコピーからすべての要素を自分で作ろうと考えがちですが、下手をすれば自分の世界観の押しつけになってしまうのではないかという恐怖があります。
「デザインの目的は課題解決」「グラフィックは手段であって目的ではない」ということを常に頭に置いておく必要があるなと改めて感じました。

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イラストとグラフィックの境界線に話を戻すと、今後「イラストを軸としたプロダクト」はイラストレーションコース、「イラストを含む様々な視覚的要素を組み合わせてデザイン(編集)するプロダクト」はグラフィックデザインコースが担うようになるのかもしれません。

そうなると、グラフィックデザインコースと空間演出デザインコースの境界線はどこなのか…。

このままいけば来年度はいよいよ卒業制作に着手します。
空間からモノまで横断的に学ぶ空間演出デザインコースだからこそできることがきっとあるはず。
コースの理念でもある、『「おもてなし」をカタチにする』とはどういうことなのか。
これから1年間じっくり考えたいと思います。

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今年度の通信教育部の卒業制作展は3月10日(日)から。
期間中はWebサイトでも作品を観ることができます。
興味のある方はぜひ。

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