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「メガネをかけると誰か分からない」の話

かっちゃんはタレ目で目が細い。

ので、自分と同じくタレ目の俳優さんはあまり好きではないようだ。

何となく……の食わず嫌いというヤツである。

ディーン・フジオカさんという、あのイケメン俳優さんを

「んー、あんまり好きじゃない……」

と言って、彼の出る映画やドラマは軽く避けていた。

ある日、かっちゃんは

「ダメな私に恋してください」

というドラマを観始めた。


「面白いから一緒に見ようよ〜」

と誘ってくれたが、私は原作を読んでいたので(ラブ・コンの中原アヤ先生の名作のひとつ)横目でチラ見に留まっていた。

しかし。

深田恭子さんとディーン・フジオカさんという、美しさが過ぎる人々によるコミカルな演技……分かりやすく、楽しい物語の展開に、

あっという間にハマってしまう私……。

「すごい楽しいなあ……」

「だから言ったでしょー」

「それに……深キョンが可愛すぎる……」

「相手役の人もイケメンだよね〜」

「かっちゃんは……ディーン・フジオカ、好きになったん?」

「ディーン・フジオカ出てるん?」

「深キョンの相手役を、誰だと思ってるん?」

「えっ、誰?」

「えっ、マジで気付いてないん?あの人がディーン・フジオカよ!」

「メガネの人?えっ、めちゃくちゃ男前なんじゃけど!」

「かっちゃん以外、皆知ってるわ〜」

「あー……俺、ディーン・フジオカさん、好きかも〜」

「……そっか〜」

「メガネかけて、変装したら、分かりにくいよなあ……」

「変装……」


メガネをかければ変装。

髪型を変えれば変装。

服を変えれば変装。


かっちゃんの手にかかれば、どれもこれも変装になるのだ。




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