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「潔癖症から離脱した瞬間」の話

私はまあまあ綺麗好きだ。


掃除は毎日していたが、最近、2日に一回の頻度に減らす事にした。

毎日するのを当たり前にしていると、掃除が出来ない時に

(あぁっ、なんか汚い感じがする!気持ち悪い!)

となるし、掃除が出来ない時は結局余裕のない時なので、掃除出来ない事が更にストレスになる。


2日に一回にする事で、多少の汚れに慣れる、という画期的な方法を編み出してしまった。

そして、学生の頃は、潔癖症寄りであった。


友人が家に遊びに来てくれた時。

テーブルに髪が落ちたので、友人はそれを床に手ではらった。


( ゚д゚)!!!


「やめて〜!ゴミ箱に!」
 
「え?髪一本もダメ!?」  

こんな感じであった。


これは……聞くだけでも生きづらそうだ。

今の私は、心底そう思える。


そんな私に、潔癖症を卒業するきっかけが訪れる。


私は大学で吹奏楽部に入っていた。

男子も女子も先輩も後輩も、驚く程に性格が良く面白く、とても仲良くしていた。

大学の目の前のマンションに2個下の後輩の女の子が住んでおり、そこは常に後輩女子の溜まり場と化していた。

女子が多数集うその部屋は、「The 汚部屋」と呼ぶに相応しく、

「うわー!こんな汚い部屋見た事ないわー!」

と嘆くも、皆笑うばかりで、掃除をする気はさらさらないらしい。

「えーわ、私が掃除するわー」

と遊びに行っては掃除していた。


そんなある日。

一人の後輩の女の子が懐かしのスーファミでドラクエⅤをしていた。

「おー、懐かしい!」

と横目で見ながら、いつも通り掃除をしていると


ガツッ!

掃除機がスーファミにぶつかった。


「あああああっ!!!」


スーファミはね、少しの衝撃でデータが消えるんだよ。

最近の子は知らんよね。


「ごめーん!」

「もう先輩!」

「スマン……」

「まあ、掃除してもらってるし、文句言えないですけど(笑)」

ええ子〜。・゚・(ノД`)・゚・。


そして、またある日。

「おー、やってんなー」

「そろそろ、ラスボスですよー!」


そして私は、いつも通り掃除を始めた。
 
気をつけてはいたんだ。

前の事があったから……


しかし。その日はいつもに増して、ゴミ袋が溢れかえっており、足の踏み場もなかった。

そして。
 

ゴツッ!


「ウオォォォォー!!!!!」


夜をつんざく様な、悲しみに彩られた悲鳴が響き渡る。

「マジで……マジでゴメン!」

「もう先輩!最後のダンジョンだから、結構戻らないとダメなんですよ?」 

「知ってるよォォォォー!」

思い出しても、少し悲しくなる……

今はデータ消えないからね……嗚呼


私は心に決めた。


「人の家では!頼まれてもないのに、絶対掃除しない!!」


この事件をきっかけに、私は潔癖症を離脱する事になった。

家が汚かろうが、散らかってようが、人それぞれだと思えるようになった。


そして、その部屋の主に彼氏が出来、溜まり場は無くなり、その子の部屋もめちゃくちゃキレイに可愛くなった。

「結局、彼氏かー」

「ねー、ビックリですよねー」


その後、たまにその子の家に遊びに行ったりしたけど、キレイに片付けられたその部屋よりも、あの雑多な、しっちゃかめっちゃか部屋を懐かしく、少し愛おしく思うのであった。


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