貞観政要_1

貞観政要その1 君主は欲望のままに動いてはならない

 前回の初投稿で前書きみたいな感じで書いたものに対して「スキ」をつけていただき、ありがとうございます。ご期待に沿えるかわかりませんが、頑張って書いていきたいと思います。

 第1回目の今回は、『貞観政要』から。この内容も有名な一節だとは思いますが、今の日本の状況を見るとここから取り上げるのが一番良いのではないかと思いました。

大意(超訳?)

 君主は人民の生活の安定を一番に考えるべきである。人民を酷使し搾取することは、まるで自分の脚の肉を削いで自分で食べるようなものだ。腹一杯になるまで食べたら、脚の肉はなくなり倒れてしまう。天下の安定を望むのであれば、まずは自分の身を正さなければならない。体は真っ直ぐ立っているのに影が曲がっていたり、支配者が正しい政治を行っているのに人民が反乱したりするということは聞いたことがない。

 君主が身を滅ぼすのは、自分の外に原因があるのではなく、自分の内にある欲望に負けてしまうからだ。美味いものを食らい、音楽や女遊びに耽っていると欲望はとどまるところを知らず、出費はかさんでいく。政治の妨げとなり、人民の生活を乱すこととなる。君主が理屈に合わないことを言えば、人民の心は離れ、怨嗟の声が上がり、反乱もまた起こるだろう。

 私は常にこのことを頭に入れて、道を外れないようにしている。

考察

 この一節は、太宗皇帝が臣下に語った言葉です。国そのものを人の体になぞらえて、君主が自らの欲望を優先して人民から搾取することについて、そのような行為は自分の脚の肉を食べて自分の腹を満たすようなことだと言っています。そのうち脚(=人民)がやせ細って、自分(=国)も立っていられなくなります。このようなことにならないように、政治としては人民の生活の安定を第一として、支配者層は自らの欲望を押さえなければならないと説いています。

 ここで、現在の日本の状況を考えてみるとどうでしょうか。経済の低迷が続く状況の下で消費税増税、法人税減税が行われたり、税金で反社会勢力の方々や自分の選挙区の支持者を花見接待したり、自分のお気に入りの部下が選挙で勝てるように税金から選挙資金を大量投入したり・・・。人民の生活よりも自分たちの欲望を優先させている権力者が多いのではないでしょうか。

 政治に限らず、企業の中でも経営幹部は好きなようにおカネを使い、従業員は酷使され・・・というブラック企業もあるでしょう。もちろん、「うちの会社は違うよ!」という企業もあることは承知しています。

 政治家であれば国民の生活のことを、企業経営者や管理職であれば従業員の生活のことをしっかりと守って、暮らしやすい・働きやすい環境を作っていただきたいと思います。政治家や企業経営者・管理職と呼ばれる人々は、その人を支える民衆や従業員がいないと何もできないということになるのですから。

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