続IT書紀 基礎資料(2)

1970年代に本格化した「情報化」の流れを、国認可の財団法人や社団法人などが発行した報告書から探って行きます。

報告書1973-06ICA

表題の「パンチ」はデータ入力のこと。アメリカ合衆国の1ドル紙幣と同じ大きさの厚紙に孔を開ける(穿孔)作業を「パンチ」と云いました。

孔が開いていると光が通るので1ビット、孔が開いていないと光が通らないので0ビット。電子計算機にプログラムやデータを与えることができるわけです。電子計算機を動かすプログラム作成と並んで、パンチ業務は当時の"花形"でした。

同年2月、日本情報センター協会の111社と日本パンチセンター協会のデータ入力専業89社を加えた200社を対象に実施した調査をまとめたもの。1カラム(パンチマシンのキータッチ1回+ベリファイ)当たりの価格を、漢字、カナ、英数字の3パターンで調べています。また「パンチャー」の給与、人材像、育成策、データ入力の品質管理などについても調査しています。

報告書1981-05ICA

当時の「データの有効利用」はデータベース・サービスを意味していた。データの収集・入力・処理過程における機密保持、所有権・利用権など諸権利の所在と相互関係、目的外使用の禁止、品質検査と責任範囲、修正、契約のあり方、損害賠償など、指摘されている課題は現在とほぼ変わらない。

報告書1979-11ICA

タイトルからすると100ページ超の規模で不思議はないのだが、前文・目次・奥付を含めて28ページというコンパクトな報告書となっている。

座長・稲葉秀三氏(財団法人産業研究所理事長)以下、委員は奥澤栄一、金岡幸二、桑江和夫、興寛次郎、斎藤忠夫、下佐喬、西川禎一、野見山勉、服部正、堀貞夫、宮川公男、吉岡忠と、錚々たる顔ぶれ。

現状の問題点として、(1)企業規模の過小性、(2)生産性の低さ、(3)マーケティング力の弱さ、(4)技術者の不足、(5)資金確保の困難性、(6)オンライン情報処理の遅れ——の6点が挙げられている。

報告書1983-03SIA

ソフトウェアの品質管理をライフサイクルの観点で捉える意欲が示されている。のちのソフトウェア・ライフサイクル・プロセス(SLCP)につながる概念で、当時としては最も進んだソフトウェア工学の取り組みだったといえる。

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