「IoTで第4次産業革命」ってホントかな?

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5感に分類したのはアリストテレス

動物やヒトの感覚を、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五つに分類したのはアリストテレスだそうな。現在ではこのほかに、痛覚、温度覚、圧覚、位置覚、振動覚などがあるとされ、さらに「第六感」を加えることもあるらしい。

それに知識と記憶を組み合わせて、ヒトはその都度、瞬間的に認識し、判断し、新しい記憶として取り込んでいく。なんの気もなく歩いていても、周りの景色や建物の形状、色や光、風や音、温度や振動、道の傾斜、路面の凸凹、自分の体のバランスなど、膨大なデータを瞬時に、かつ継続的に処理しているわけだ。

さて、IT/ICT業界に限らず、「IoT」はいまさら英文表記を加えるまでもないビジネス用語として普及している。分かりやすい例として建物の自動ドアを挙げる人もいれば、究極の姿の一つとして自律型自走自動車ないし自律ロボット型自動車——「自動運転自動車」というのは意味が重複しているようなので——を挙げる人もいる。

どこかで人が関与している

行き先を告げるだけで、自動車が最適なルートを選んで乗せて行ってくれる。携帯端末で呼び出せば自動的に迎えにきてくれる。タクシーの自動配車システム「Uber(ウーバー)」は、どこかで人が関与している。対して自律ロボット型自動車は、人がかかわることがない。

ITの物知りは、「センサーとクラウドとAI、強いてもう一つ加えればGPS。それが第4次産業革命の原動力になる」という。むろんそのすべてを否定するのではなく、なるほど建物の自動ドアはセンサーの成果であって、ドアの前の床が一定以上の加重を検知したり、何かが赤外線を遮ればそれがスイッチとなってモーターが動く。シンプルな仕組みは1950年代に登場していた。

ところが完全な自律ロボット型自動車が実用化されるには、現在の技術ではどうも無理なように思われる。現実的に、人が運転する自動車と自律ロボット型自動車が混在すると、方程式通りには行かないだろう。

量子コンピュータに期待しよう

道路交通法や保険制度をどう適合させていくかという課題もある。さらに自家用車を持つ人が激減すると、自動車産業が成り立たなくなる。ただ、ここで言いたいのはあくまでも技術的なことだ。

冒頭の「五感」ないし脳の情報処理能力の話に戻るのだが、つまり現在は、1951年に登場した0/1の2値でデータ処理を行うノイマン型コンピュータの延長線上にあって、第3次産業革命の最終局面にあると言っていい。

第4次産業革命の幕開けは多面的で複雑系のビッグデータ処理が前提。すなわち量子コンピュータと、新しいプログラミング技術が登場してスタートするのだろう。


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